AIといっしょにコンピュータサイエンスを独学する #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

2025年はさまざまなAIツールが台頭した年でした。フロントエンドエンジニアである私も、開発にコーディングエージェントを使うようになりました。エンジニアとして働いている中で、コーディングをすることが好きなことのひとつだったので少し寂しい気持ちもありますが、AIのおかげでまだ知らないことや興味のあることについて学ぶことのハードルが下がったのは私にとって嬉しいことでした。

何か疑問が湧いた時、今まではブラウザでそれらしい単語を用いて検索していましたが、最近はまずAIに聞いてみたり、そこから対話をして深く考えてみたり、回答を手掛かりにブラウザで調べるということが多くなりました(もちろん、AIの回答は間違っている可能性があることを念頭に置きながら)。そんなふうにAIを使うようになったある日、AIがあれば独学でコンピュータサイエンスを学べるのではないかと考えました。

私はコンピュータサイエンスを学んできていません。それでもエンジニアとして働けてはいるのですが、私が今書いているコードやコンピュータというものは、どういう考えから生まれ、どのような仕組みの上に成り立っているのかに興味がありました。そういうわけで、とりあえずやってみることにしました。今回の対象分野はコンピュータサイエンスですが、その他さまざまな分野の独学にも活かせると思います。

対象のコンテンツを決める

まず、何を用いて学習がしたいのかを考えました。用いるものは書籍でもYouTubeでも個人に合ったもので良いと思います。私の場合、わかりやすさよりも信頼できるかどうかを重視したかったことから、MITのOCW(Open Course Ware)を選びました。少し背伸びした内容でも、AIに補助してもらえばなんとかなるだろうと考えたのも、OCWを選んだ理由の一つです。世界中の大学がさまざまな分野の講義や資料を公開してくれているOCWは、コンピュータサイエンスに限らずアカデミックなことを学ぶのには良い選択肢だと思います。

カリキュラムをAIに組んでもらう

独学する際に大切なのが学ぶ順序だと思っています。基礎を飛ばして応用から入ると何もかもがわからなくて挫折しやすいのではないでしょうか。ただ、今回の私のようにその分野に対しての知識がまったくない場合、そもそも何が基礎で何が応用なのかがわかりません。そこで、学習カリキュラムをAIに作成してもらうことにしました。

実際の大学のコースに近い形でカリキュラムにしたかったため、まずMITのコンピュータサイエンスコースの学部情報をAIに探してもらいました。

あとはAIにそのURLを渡し、「https://catalog.mit.edu/degree-charts/computer-science-engineering-course-6-3/ このコースに沿ったカリキュラムをMITのOCWを使って作ってください」と投げるだけです。 私はGeminiで以下の結果になりました。各コースの詳細情報や学習順序も出してくれましたが、長くなってしまうので表だけ載せます。

学習領域 MIT公式コース番号 1 コースタイトル 推奨OCWコース OCWリンク 主要リソースと選択理由
基礎数学 18.01 Single Variable Calculus 18.01SC Link OCW Scholar版。完全なビデオ講義、演習、課題が揃っており、独学に最適。
18.02 Multivariable Calculus 18.02SC Link OCW Scholar版。MLやグラフィックスの基礎となる多変数関数を扱う。
18.06 Linear Algebra 18.06SC Link OCW Scholar版。G. Strang教授による名講義。データサイエンスの根幹。
基礎科学 8.01 Physics I 8.01SC OCW Scholar版。W. Lewin教授による講義。複雑系のモデリングを学ぶ。
8.02 Physics II 8.02SC OCW Scholar版。デジタルシステムの物理的基盤である電磁気学を理解する。
コア理論 6.100A Intro to CS Programming 6.0001 Link MIT流の計算論的思考の基礎を学ぶ。全CSコースの共通言語。
6.1200[J] Math for Computer Science 6.042J Link アルゴリズム解析の数学的ツールキット。オンライン教科書が非常に価値あり。
6.1210 Intro to Algorithms 6.006 (Fall 2011) Link CSの核心。講義と演習ビデオが揃った決定版。効率的な問題解決の基礎。
6.1220[J] Design & Analysis of Algorithms 6.046J (Spring 2015) Link 高度なアルゴリズム設計パラダイムを学ぶ。6.006の自然な続編。
システム 6.1910 Computation Structures 6.004 (Spring 2017) Link トランジスタからプロセッサまでを構築。コンピュータの動作原理を理解する。
6.1800 Computer Systems Engineering 6.033 (Spring 2018) Link OS、ネットワーク、分散システムなど、大規模ソフトウェアの基盤を学ぶ。
ソフトウェア 6.1020 Software Construction 6.031 (Spring 2016) Link 堅牢で保守性の高いコードを書くための方法論。教科書と課題が中心。
AI基礎 6.3700 Introduction to Probability RES.6-012 Link AI/MLの必須科目。edX向けに開発された洗練されたビデオ教材を使用。
専門分野 Elective Artificial Intelligence 6.036 / 6.034 Link 現代的な機械学習(6.036)と古典的なAI(6.034)の両方を学ぶことで、分野の全体像を把握。
Elective Database Systems 6.830 (Fall 2010) Link 大学院レベル。データベースの内部動作を深く探求。論文講読が中心。

AIを使って学習する

次に学習方法です。ここでもAIは助けてくれます。ちなみに私はClaudeを使っていました。

AIに翻訳や解説してもらう

MITのOCWは当然ながらすべて英語です。私は、英語がまったくわからないわけではないけれど、得意というわけでもありません。 そこで、講義動画は、YouTubeで見られるものであればブラウザの拡張機能を入れて日本語字幕を付けながら見ていました。講義資料も英語ですが、テキストをコピペして翻訳してもらったり、スクリーンショットをAIに投げて解説してもらったりしていました。数式について解説が必要な時は、チャットに手入力するのが大変なのでスクリーンショットを投げることが多かったです。

※なお、著作権や機密情報の観点から、AIの設定で「入力データを学習に使用しない」設定をオンにするか、機密情報を含まない公開情報(MIT OCWなど)の範囲での利用に留めるよう意識しています。

AIにひたすら質問する

AIの良いところは、疑問があればいつでも質問ができるところです。単語の意味がわからなかったり、途中の数式がどのように導き出されたのかがわからない時など、ひたすら質問していました。

継続方法

一番難しいのが継続かもしれません。そして残念なことに、ここはAIが代わりにはやってくれません。人によって合う方法は異なると思いますが、何かを続けたい時に私が意識していることを書いておきます。

長い目で見る

1ヶ月後に資格試験があるとか3ヶ月後にとりあえず何か成果を出していなきゃいけないといった状況は別ですが、期限がないのであれば、3年後にできるようになっていたら嬉しい、くらいの気持ちでいた方が私には合っています。また、毎日継続するという目標にしてしまうと途端に義務のように思えてやる気がなくなります。そのため、2日に1回でも、1週間に1回でもいいから3年は続けるという意識で取り組みます。一朝一夕でできるようになることなんてほとんどないのではないかと思います。でも、3年続けたら何かしら少しはできるようになっているのではないかとも思います。

バレットジャーナル

今年の4月ごろからバレットジャーナル(箇条書きで自分の行動や思考を管理する手帳術のこと)を始めました。そのために、ボールペンとちょっといい手帳を買いました。バレットジャーナルと調べるといろいろなやり方が見つかりますが、私の場合は基本的なやり方を、自分が続けられるくらいのシンプルなものにチューニングしていきました。最終的に、その日やることを朝に箇条書きにして、夜にできたものにはチェックを入れ、気が向いたら日記も書く、というやり方に落ち着きました。朝にその日やることを書くことで、面倒だけど頑張ってやろうかな、という気持ちになるので不思議です。ただ、今度はバレットジャーナルをどう継続するのかという問題が発生します。私も途中続けられなくなったことがありました。その時は、ボールペンを少し線が細いものに変えたらなぜか続くようになりました。継続するって難しい。


2025年は、AIに仕事が奪われるというような話をよく目にする年でもありました。そうなのかもしれないし、そうでないのかもしれません。もしたとえAIが人間の代わりにすべてを担ってくれるようになったとしても、自分で何かを理解したり、何かができるようになることはやっぱり面白くて楽しい。その感情は、AIで置き換えることのできない、私が大切にしたいもののひとつです。

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鵜飼琴乃 Kotono Ukai

Business Innovation統括部 HiPro開発マネジメント部 エンジニアリンググループ エンジニア
2019年にアパレル企画営業職からWebエンジニアに転職。Reactを使用した受託開発業務を経験した後、2022年4月にパーソルキャリア入社。現在は HiPro Direct のフロントエンドを担当している。

※2025年12月現在の情報です。