
皆さんこんにちは、テクノロジー統括部プロダクト開発1部法人サービスアプリ刷新グループの北川です。今年の春、パーソルキャリアにエンジニアとして新卒入社しました。大学院では情報系の研究科に所属し、IT人材育成に関する研究を行っておりました。そのような背景もあり、縁もあって研究内容と近しい業界である人材業界のエンジニア職として就きました。今回は、新卒エンジニアだからこそお伝えできる内容があるかと思い、本記事を書いていきたいと思います。
- はじめに
- 資格取得で得られたスキルと知識
- 実務とのギャップ
- 資格内容で補えない部分はどうしたか?
- 基本情報技術者試験を取得して良かったこと
- 資格取得に意味はあったのか?
- キャリアスタート時にあると心強い資格
- これから資格を取る人へ
- おわりに
はじめに
新卒エンジニアとして良いキャリアスタートを切るため、入社前に基本情報技術者試験などの資格勉強やシステム開発に取り組みました。本記事では、資格勉強によって得たスキルや知識が実務でどのように役立ったのか、反対に資格内容と実務との間にどの程度ギャップがあったのか、この2つの視点から振り返ってみたいと思います。
資格取得で得られたスキルと知識
資格取得を目指す中で最初に挑戦したのは、基本情報技術者試験でした。この資格はITに関する幅広い知識を網羅している資格であり、具体的にはアルゴリズムの設計や、ネットワーク構成、そして情報セキュリティの原則などといった、エンジニアとして必要な基礎部分をしっかりと学ぶことができます。さらに本試験はITに関する内容のみではなく、マネジメントや経営に関する内容も含まれているため、技術的な視点のみならずビジネスの視点を持つきっかけにもなりました。
この基本情報技術者試験の資格勉強を通じて、効率的な処理を考えるアルゴリズムの思考法や、ネットワークの仕組みに疑問を持ち理解しようとする力、そしてセキュリティに関する基本的な考えを身につけることができました。そしてこれらは、後に実務で新たな技術を学ぶ際の礎となり、技術的な面での理解を早める助けとなったと感じております。また基本情報技術者試験の取得と同時に、より一層の学びを深めたかったことから、応用情報技術者試験に向けた学習を実施し、より専門的な知識を獲得することができました。
実務とのギャップ
一方、入社し実際の業務に参画してみると、資格試験で学習した内容と現場で求められるスキル・能力とでは大きな違いがあることに気づきました。特にAWSなどのクラウドサービスに関する知識や、SaaS型オブザーバビリティツールであるDatadogのモニタリングツールの知識は基本情報技術者試験などの国家資格ではほとんど触れられなかったため、概念の理解や操作は非常に戸惑うことが多かったです。
また開発業務では資格試験で学んだ論理的な知識は役立ったものの、実際に使用する開発ツールの操作方法や、複数タスクを同時に管理する能力・スキルに関しては資格試験では網羅されていない部分となります。具体的に現場では、APIを開発する際に対応したクリーンアーキテクチャなどの設計方針に沿って開発する必要がありました。こうした設計思想や関連技術は、資格試験では触れられないため、実務経験を通じて試行錯誤しながら知識や経験を身につけるしかありませんでした。この時、資格勉強で得た知識は、「理解の助け」にはなるものの、現場では即戦力になるわけではないという現実を痛感しました。
資格内容で補えない部分はどうしたか?
資格で獲得した知識だけでは対応できない場面が多かったため、実務に必要なスキルを身につけるために積極的に手を動かしました。具体的には、AWSでEC2やIAMの設定、VPCエンドポイント周りの構築を実施しました。クラウドサービスの知識が全くなかったため、最初は概念や権限周りで課題がありましたが、公式ドキュメントや技術的なブログを読み、トライ&エラーを重ねることで理解を深めることができました。
またAWSでの取り組みに加えて、Datadogのダッシュボード作成ではメトリクスの設定や閾値の決定に苦労しました。どの指標を重視すべきかを学ぶため、先輩エンジニアに「なぜこの値にしなければならないのか?」を質問し、設定値の背景や理由を理解しました。こうした取り組みにより、資格試験では得られない「現場ならではの判断力」を身につけることができました。
基本情報技術者試験を取得して良かったこと
それでも、資格取得という工程は非常に大きな意味があったと思います。まず、アルゴリズムやセキュリティの基礎部分(専門用語や様々な概念)を知識として把握していることで、先輩やチームとの技術的な会話がスムーズに実施できました。これは用語が分からず立ち止まる工程が何度も入らないことから、知識がない状態での会話と比較した際、コミュニケーションの質が大きく変わります。また、資格を所持していることで「自分自身、基礎部分は抑えている」という自信が生まれ、業務に取り組む際の心理的なハードルが下がったことも挙げられます。
さらに資格勉強を通じて身につけたのは技術的な知識の獲得だけではありません。資格取得の過程である資格勉強にて培った継続力は、タスク管理や自己学習を実施する際の抵抗感を減らすという意味において非常に役に立っています。このようなことから資格取得は単なる知識の証明ではなく、学び続ける姿勢を養うきっかけにもなったとも感じております。
資格取得に意味はあったのか?
結論から言うと、資格取得には確かな意味がありました。
資格勉強は、エンジニアとして、ひいてはIT業界で働くための基礎部分を固めるのではなく、学習に対しての嫌悪感・抵抗感を減らし、良い学習習慣を身につける機会でもあります。一方で、実務で必要なスキルは資格勉強で獲得できる知識内容の範囲を超えております。しかし、基礎部分があることで新しい技術を理解・習得するスピードは確実に速くなると言えるでしょう。そして何より、資格勉強・資格取得は、「学びの証明」として自信に繋がっていきます。
キャリアスタート時にあると心強い資格
新卒エンジニアとして実務を振り返ると、クラウドサービスを扱う機会が非常に多かったため、AWS認定資格を取得しておけば、よりスムーズに実務に取り組めたと感じています。特に、AWSが提供する各種サービスの役割やクラウド環境の設計や運用に関する知識は頻繁に求められるため、事前に理解を深めていれば、スムーズに対応できたと感じています。
これから資格を取る人へ
資格は取得するのがゴールではなく取得してからがスタートです。
資格取得の意義は、学ぶためのきっかけを作り、参画する業種(エンジニア)に向けて基礎を固め、そして自信を持てるように業務へ臨むための準備にあります。なので極端なことを言ってしまえば、資格のみでは現場で必要なスキルは身につきません。だからこそ、資格勉強で培った学ぶ姿勢を続けていくことが大切であるといえます。そして、実務経験を積みながら知識をアップデートし続けることがエンジニアの成長として繋がっていきます。
おわりに
資格取得を通じて獲得した知識は、実務上では役に立つことが数多くありました。しかし、資格だけでは埋まらないギャップがあることもわかりました。このことから資格取得は、あくまでスタート地点であり、実務での経験を積み重ねることで、その真価を発揮するといえます。そしてこれからも継続的に学び、成長していきたいと思います。
最後に、このブログがIT業界でキャリアをスタートする方々にとって少しでも参考になれば幸いです。

北川 慎一 Shinichi Kitagawa
テクノロジー統括部プロダクト開発1部法人サービスアプリ刷新グループ
2025年4月に新卒でパーソルキャリアへ入社。現在はdoda CONNECTの基盤改善チームに参画。
※2025年12月現在の情報です。
