
- 今回お伝えしたいことのサマリ
- doda企業PRサービスとは?
- 立ちはだかるコンプライアンスの壁
- 法的に何が問題となるのか?
- 論点の洗い出しもAIを上手く活用する
- とはいえ、リスクを気にしすぎると良いサービスにはならない
こんにちは!
パーソルキャリア株式会社でプロダクトマネージャーをしています、山崎です。
今回は担当しているdoda企業PRサービスについて、コンプライアンス観点で記事を書いています。
「コンプライアンスは守りの要素が強く、難しそう」と感じる側面もありますが、昨今においては切っても切れないテーマだと感じます。
今回はPJTでの学びを簡単に皆さまにシェアできればと思います!
今回お伝えしたいことのサマリ
- サービスで写真を取り扱う場合は個人情報保護法など各種法律に気を付ける
- サービスを作る上でコンプライアンス上何が問題となりうるか、AIと壁打ちしながらしっかり洗い出しておく
- コンプライアンスとUXのバランスを意識する
doda企業PRサービスとは?

doda企業PRサービスはdodaの法人のお客様向けの「無料でdodaの求人に写真を掲載できる」サービスです。
現在競合も含め、人材紹介サービスの求人票はテキスト情報のみであることがほとんど。
転職希望者目線で「この求人だと会社の雰囲気とか分からないな…会社HPやSNSで写真を見てみるか」となった方も多いのではないでしょうか。
とはいえ法人のお客様からすると「写真を載せるとなるとお金(※)がかかっちゃうんだよな… ※有料原稿は写真が掲載できるパターンが多い」となり、なかなか手が出せません。
そんな双方のお悩みを解決するために生まれたのがdoda企業PRです。
立ちはだかるコンプライアンスの壁
サービスリリースにあたり最も難易度が高かった点は、写真の適切な管理方法の検討です。
写真を使用するには著作権や商標権、個人情報保護法などさまざまな法的問題に注意する必要があります。
これらの法律は写真が適切に使用され、個人等の権利が侵害されないようにするためのものです。
法的に何が問題となるのか?
本サービスで特に論点となったのは以下の3点です。
1.許諾のない写真を勝手に掲載することはNG!
許可なく写真を掲載すると肖像権や著作権の侵害となります。
違反した場合には法的な責任を問われる可能性があります。
ただ、難しい点として意図せず許諾のないものが写りこんでしまう場合ってあるかと思います(ポスターが写りこむなど)
そこは文化庁の定める規定として、主体的に写りこんでいなければOKという線引きがあったりしますが、曖昧な点も多いのが事実なのでここは法務担当者などとしっかり基準を定めておく必要があります。
(1)写りこみが問題ないとされやすいパターン(ポスター)
(2)写りこみが問題ありとなりうるパターン(関係のない絵画が主体的に写っている)

2.写真に関連するユーザー情報を第三者に勝手に提供することはNG!
例えば写真を掲載しようとした際に、「この写真の被写体に掲載の許諾を取りたいから、当時アップロードしたユーザーに被写体の連絡先を聞きたい」となり、我々にお問い合わせが来たとします。
その場合、我々から勝手にアップロードユーザーのお名前や連絡先を教えるのは個人情報保護法違反であり、事前にアップロードユーザーから第三者提供の同意取得を得る必要があります。
3.業務委託など契約外の方が勝手に写真を見るのはNG!
法人のお客様の中に採用代行など業務委託の方がいらっしゃることはよくあります。
業務委託先と本サービスについての契約がちゃんと結ばれていない中で写真を閲覧するだけでも個人情報保護法に違反し、プライバシーの侵害になる可能性があります。
論点の洗い出しもAIを上手く活用する
と、ここまでいろいろ書きましたが、
とはいえ社内のコンプライアンス担当の方も忙しくてずっと1つのサービスに付き合ってくれるわけではないし、リリースまでの時間も限られていますよね…
なので今回はよくAIに壁打ちをしてもらっていました。
例えば…
- 利用規約のひな型を作成してもらう
- 被写体などから写真の削除請求が来た場合、どこまでデータの削除をしないと法的に問題があるのかを確認する
など。
AIだと気が済むまで深堀りが出来るので気楽ですし、事前に知識をつける&論点を洗い出しておくとその後の対人との議論もスムーズになるのでとても便利でした。
とはいえ、リスクを気にしすぎると良いサービスにはならない
個人情報の保護等については法的要求に対応するだけでなく、ユーザーの信頼を得るためにも可能な限りの対応を行うことが求められます。
ただし、UXとのバランスを取ることは重要です。
過度な制約を設けるとユーザー体験が悪化しますが、逆に保護が不十分だと信頼を失います。
適切なバランスを見つけることが、成功するサービス提供の鍵だと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
それでは皆さま良いクリスマス&お年を!

山崎 佳奈 Kana Yamasaki
プロダクト&マーケティング事業本部 クライアントプロダクト本部 プロダクトマネジメント統括部 PdM2部 第2グループ
前職はweb制作会社で営業・ディレクターを担当。パーソルキャリア入社後、新規事業の立ち上げやdodaサイトの改善を担当後、現在は法人向けサービス『doda企業PRサービス』を担当。
