「マウスを使うな」を真に受けた結果 #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

こちらはdoda BizDevOps Group Advent Calendar 2025 の2日目の記事です。

はじめに

こんにちは。

dodaでWebディレクターをしている大野と申します。

普段は転職サービス「doda」のプロダクト開発に携わり、エンジニアやデザイナーと協働しながらサービスの改善や新機能の企画・開発を進めています。

本日は、私のキャリアの原点とも言える学生時代の体験談をお話しします。
ある上司からの「一言」がきっかけで始まった、1ヶ月間の挑戦についてです。

初めてのフィードバック

皆さんは、初めて受けたフィードバックを覚えているでしょうか。

私の場合、それはタイトルにある通り「マウスを使うな」という言葉でした。

大学1年の終わり、ひょんなことからITベンチャー企業でアルバイトを始めることになりました。

率直に言うと、当時の動機は決して高尚なものではありませんでした。

「デスクワークは楽そうだ」「冷暖房完備のオフィスで働きたい」

そのような理由で応募したのが実情です。(※現在はそのように思っておりません)

しかし、現実は想像とは異なりました。

業務内容は、主にExcelを使用したデータ整理だったのですが、当時の私はExcelの操作経験がほとんどありませんでした。

セルの選択、コピー&ペーストや並び替えといった基本操作でさえ、時間がかかってしまっていました。

周囲の社員が円滑に作業を進める中、私だけが著しく遅いペースで作業していました。

そのような状況を見かねた上司が、ある日私にアドバイスをくれました。

(Excel操作するときに)マウスを使うな

今振り返れば、上司の意図は「ショートカットキーを積極的に活用するとよい」という程度のアドバイスだったのかもしれません。

しかし、当時19歳でバイト先で最年少だった私には、上司の言葉に疑問を呈する余地などありませんでした。

こうして、本当にマウスを使わない1ヶ月が始まることになりました。

最初の困難

マウスを使わないという方針を決めた翌日から、試行錯誤の日々が始まりました。

上司から基本的なショートカットキーを教わりました。

Ctrl+C(コピー)、Ctrl+V(ペースト)、Ctrl+Z(元に戻す)、Alt+Tab(アプリケーション切り替え)などです。

しかし、これらだけでは実務を遂行することができません。

セルの範囲選択、シート間の移動やフィルタの適用など、日常業務で必要な操作は多岐にわたります。

やりたいことは明確なのに、その方法がわからない。しかも、マウスは使用できない。

最初は非常に困難でした。

マウスを使えば数秒で完了する操作に、数分を要することもありました。

しかし、一度「マウスを使うな」と言われた以上、それを守らなければならないと思い込んでいました。

工夫①:付箋に「ブラウザ検索のショートカット」だけ書く

最初に取り組んだのは、「わからないことを調べる手段」を確立することでした。

ブラウザを起動するショートカット(Windows+数字キー)と、検索窓にカーソルを移動するショートカット(Ctrl+L)。

この2つのみを付箋に記載し、デスクトップの端に貼り付けました。

たった2つのショートカットキーですが、これが学習の基盤となりました。

工夫②:わからないショートカットは、そのショートカットで調べる

わからない操作に遭遇するたびに、付箋に記載したショートカットキーでブラウザを起動し、検索を実行しました。

「Excel セル範囲選択 ショートカット」

「Excel シート移動 キーボード」

検索して得た情報をメモ帳に記録し、再度作業に戻る。

このサイクルを繰り返すことで、徐々に習得していきました。

メタ的な学習アプローチでしたが、これが効果的でした。

「ショートカットキーを使ってショートカットキーを調べる」という行為そのものが、キーボード操作のトレーニングになっていたのです。

直接的な効果

1ヶ月後、Excel業務においてマウスをほとんど使用せずに操作できるようになりました。

データ整理の作業は、以前の約半分の時間で完了するようになりました。

セルの移動、コピー、並び替えフィルタリングなど、すべての操作を円滑に実行できるようになりました。

上司からは「あれ、半分冗談だったんだけどな」と笑いながら言われました。

おそらく、ここまで徹底して実践するとは予想していなかったのでしょう。

副次的な効果

直接的な効果以上に、予想していなかった副次的な効果が、私のその後のキャリアに大きな影響を与えることになりました。

1. 学習能力の向上

Excelのショートカットキーを徹底的に習得したことで、他のアプリケーションの学習速度も向上しました。

例えば、その後PowerPointやWordを使用する機会があった際、「Excelで使用したショートカットが、ここでも適用できるのではないか」と試してみる習慣が身につきました。

実際、多くのショートカットはMicrosoft製品間で共通しており、短期間で使いこなせるようになりました。

さらに、ブラウザやテキストエディタなど全く異なるアプリケーションにおいても「類似のショートカットが存在するはずだ」という仮説を立てて試行する癖がつきました。

これは単に「ショートカットキーを記憶した」というレベルを超えて、「新しいツールの効率的な学習方法を習得した」と言えるでしょう。

2. 心理的ハードルの低下

これが最も大きな変化だったと考えています。

PC操作が高速化したことで、「調べてみよう」「試してみよう」という行動に対するハードルが大幅に低下したのです。

例えば、わからない用語に遭遇した際、以前であれば「後で調べよう」と保留していました。

しかし、ブラウザを起動して検索するまでの所要時間が数秒になると「今すぐ調べよう」という判断ができるようになります。

検索、ファイル操作、コピーやウィンドウの切り替えなど、基本操作をストレスなく実行できるようになると、新しい知識を学ぶ際の心理的抵抗が大幅に軽減されます。

結果として、学習サイクルが加速しました。

疑問を持つ→即座に調査する→理解する→新たな疑問が生まれる。

この高速サイクルが、学習速度を飛躍的に向上させました。

今に活きている3つのこと

あれから約8年が経過しました。

現在、dodaのプロダクト開発チームでWebディレクターとして業務に従事しています。

学生時代の「マウスを使わない1ヶ月」の経験が、現在の業務にどのように活かされているか。

具体的に3つの観点から説明させていただきます。

1. 迅速なコミュニケーション

ビジネスにおいて、レスポンスの速さは信頼構築の重要な要素です。

私は社内外とのコミュニケーションにおいて、可能な限り迅速な返信を心がけています。

SlackやTeamsでのメッセージ、メールへの返信、ドキュメントへのコメントなど、あらゆる場面でキーボードショートカットを活用し、レスポンスタイムを最小化しています。

時には「返信が速すぎてbotかと思った」と冗談交じりに言われることもありますが、これはまさにあの時習得したショートカットキーの賜物です。

迅速なレスポンスは、チームの意思決定を加速させ、プロジェクトの進行を円滑にします。

2. 自己解決力の向上

エンジニアとの協働において、質問する姿勢は重要です。

しかし、質問の前に自分で調査する習慣があると、コミュニケーションの質が大きく向上します。

「●●について調査しましたが、××という理解で正しいでしょうか」

このように、事前に調査した上で確認を求める形で質問すると、エンジニアも説明しやすくなります。

また、公式ドキュメントを素早く検索し、必要な情報を抽出する能力はあの時培った「即座に調べる」習慣の延長線上にあります。

結果として、チーム全体のコミュニケーション効率が向上し、エンジニアの時間を本質的な開発作業に集中させることができます。

3. 継続的な効率化の追求

「もっと効率的に実行できないか」という思考が、業務のあらゆる場面で働きます。

例えば、資料作成において時間を要する作業があれば、新しいツールや方法の活用を検討します。

スライド形式が必須でなければ箇条書きのドキュメントで提出したり、最近ではNotebookLMを活用した資料作成に取り組んだり、常に効率的な方法を模索しています。

また、Figmaでのワイヤーフレーム作成、Notionでのドキュメント整備、Slackでのコミュニケーションなど、使用するすべてのツールにおいてショートカットキーを習得し、作業速度を最適化しています。

この「効率化への執着」は、あの1ヶ月間で身についた思考パターンそのものです。

若手の武器は「素直さ」

今思えば、上司の意図は「ショートカットキーも使ってみるといいよ」程度だったのかもしれません。

しかし当時19歳の私は、その言葉を文字通りに受け取り、本当にマウスを使わない1ヶ月を過ごしました。

この「素直さ」こそが若手の最大の武器です。

経験を積むにつれて、批判的に考える力が身につきます。

「本当にそれが最適か?」と疑問を持つことも重要になります。

しかし、経験の浅い時期だからこそ「素直に受け入れて、徹底的にやってみる」ことができます。

結果が保証されていなくても、まず全力でやってみる。

その素直さが、予想外の成長を生み出しました。

1ヶ月間の実践が、8年後の今も私の仕事の進め方に影響を与え続けています。

おわりに

もしかすると、皆さんの周囲にも「素直に受け入れるべきアドバイス」があるかもしれません。

先輩からの助言、上司からの指摘、同僚からの提案など。

それを「参考程度に」聞き流すのか、それとも「徹底的に」実践してみるのか。

その選択の違いが、数年後の成長に大きな差を生む可能性があります。

ショートカットキーの習得でも、新しい技術の学習でも、日々の習慣の改善でも、何でも構いません。

1ヶ月間、何か1つを徹底的に実践してみると、予想を超える変化が待っているかもしれません。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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大野 雅生 Masao Ono

カスタマープロダクト本部 プロダクト企画統括部 サービスデザイン1部 プロダクト&AIストラテジーグループ

2022年にパーソルキャリアに新卒入社。dodaや社内のキャリアアドバイザーの業務システム改善に従事

※2025年12月現在の情報です。