なぜ、あなたの理想の「サンドイッチ」はイマイチなのか? #PERSOL CAREER Advent Calendar2025

はじめに

プロダクト開発をしていると、つい「正解のレシピ」を求めてしまいませんか?

でも、最初から完璧な正解なんて、どこにもありません。

それでも私たちは、なぜか“あるはずのない正解”に寄りかかろうとしてしまいます。

そこで今日は、プロダクト開発に関わるすべての人に、たったひとつだけ伝えたい考え方があります。

プロダクトとは、対象へ提供したら価値があると考えている仮説である

この視点を持つだけで、プロダクトの未来は驚くほど変わると私は信じています。

今日は、この考え方をとても身近な例でお話しします。 テーマは――サンドイッチ作りです。



あなたの理想の「サンドイッチ作り」

少しだけ想像してみてください。 あなたは家族とピクニックに行く予定です。

そして、一大ミッションを抱えています。

ミッション

家族にサンドイッチを食べてもらい、 「最高!また食べたい!」と喜んでもらうこと。

材料は10個分。

さあ、どんな作り方をしますか?

ここで、家族の笑顔を目指して、2つのパターンを比べてみましょう。


パターンA:工程ごとにまとめて作る

「完璧なレシピ」を信じる進め方

工程 あなたの行動 出来上がったもの 家族の反応
1 10個分のパンをすべて用意する 🍞 大量のパン (まだ食べられないので無反応)
2 具材とソースをすべて準備する 🍅 具材とソース (まだ食べられないので無反応)
3 10個すべて完成させてドンッ! 🥪 サンドイッチ10個 「うーん、パンがパサパサ。味も好みじゃない…もういらないかな」


あらら、あまり気に入ってもらえませんでしたね。

最初に立てた計画は素晴らしいものでした。

進捗も順調でした。

ついに、あなたの"理想"のサンドイッチが完成しました。


しかし、結果は――「もういらない」

材料も時間も使い切り、修正の余地もありません。 残ったのは、"不人気な大量のサンドイッチ"でした。


パターンB:1個ずつ作って試す

「相手の好み」を探りながら作る進め方

工程 あなたの行動 出来上がったもの 家族の反応
1 一部の材料で、1個だけ作る 🥪 サンドイッチ1個 「ありがとう! でも…ちょっとソース濃いかも」
2 感想をもとにソースを調整して、また1個作る 🥪 ソースを調整したサンドイッチ1個 「ソースはちょうどいい! でも…パンはもっとしっとりが好き」
3 ソースもパンも調整し、残りを作る 🥪 絶妙な仕上がりサンドイッチ8個 「これこれ!パンも味付けも完璧! おいしかった、また作ってね!」


おや、少し変化が見られますね。

1個目、2個目のサンドイッチは"完璧"ではありませんでした。

しかし、「ソースが濃い」「しっとりしたパンがいい」というフィードバック(感想)のおかげで、残りの素晴らしいサンドイッチが生まれました。


この差はいったい何なのか?

パターンAの最大の敗因は、たったひとつ。

フィードバックがなかったことです。

仕事をしていると、

「中途半端な状態で見せるのは失礼だ」

「完璧にしてから出したい」

と思ってしまいがちです。

でも、その"見せていない時間"こそが――

「リスクが積み上がっている時間」

に他なりません。

  • パターンA:「おいしいはずだ」という仮説を、最後まで検証しなかった
  • パターンB:「このソースの味かな?」「このパンの食感かな?」という仮説を、検証し続けた

プロダクトを「仮説」と捉えるならば、私たちの仕事は、

「モノを作ること」ではありません。 「仮説が合っているか、いち早く答え合わせをすること」です。


一発勝負のリスクを手放そう

勘の良い方は、もうお気づきでしょう。

この「サンドイッチを1個ずつ作って試す」というアプローチこそ、アジャイル開発の本質です。

サンドイッチは一つ作って、はい終わり、ではありません。 誰かに届けてファンになってもらい、また食べてもらいたいんです。

もしかしたら、たまたま運よく、1回目のレシピで喜ばれることもあるかもしれません。

ですが、2回目、3回目…と数を重ねていったら、どうでしょうか?



ここでもう一度、最初のテーマを振り返りたいと思います。

プロダクトとは、対象へ提供したら価値があると考えている仮説である

あなたやチームの「これは良いはずだ!」は、提供するまではすべて仮説にすぎません。

そして、「絶対に正しいはずだ!」と信じ込んだ瞬間に、私たちは静かに落とし穴に近づいていきます。


おわりに:あなたの仕事の「サンドイッチ」は何ですか?

これはエンジニアだけの話ではありません。 企画でもデザインでも、あるいはメール一本でも同じです。

自分の中で100点を取るまで抱え込まず、まずは「一口味見してもらう」つもりで、出してみませんか?

そこで返ってくる「ちょっと味が濃いかも」という一言が、あなたの時間を守り、プロダクトをより良いものにしてくれる貴重な材料です。

さて、あなたが今抱えているその仕事。

まず最初の一個を、誰に食べてもらいますか?


*

遠藤 裕樹 Yuki Endo

テクノロジー統括部 テクニカルプロダクトマネジメント部 TPM2部

2024年にパーソルキャリアへ入社。以前は開発チームのスクラムマスター、現在はLeSS Huge導入プロジェクトを推進中。 「また食べたい!」と言われるサンドイッチを届けるために、組織のレシピを日々改善しています。

※2025年12月現在の情報です。