techtekt アドベントカレンダー2022 5日目です🎄✨
こんにちは。
エンジニアリング統括部 UXデザインチームのUIUXデザイナー 松屋です。
新規事業のリードデザイナーとして働きつつ、エンジニアとデザイナーの目線合わせ活動チーム「UX DIG(旧 UXエンジニア会)」や部内OOUI浸透施策などに参加しています。
この記事ではUXの理想的な開発サイクルと、実際の現場で取り組んだUXデザインをする前の「下ごしらえ」についてお話したいと思います。
UXの理想的な開発サイクルはあらゆる本に書いてある
昨今、"UXデザイン"と検索すれば素晴らしい書籍が山のように見つかり、そのHOW TOも解りやすく解説されています。例えば、人間中心設計をフロー化したものに「HCDサイクル」があります。
UX重視の開発を行う際に、各職能のメンバーがアジャイル体制を構築して上図のように「設計⇆検証」のサイクルを回していきます。
- 利用状況の把握と明示
- ユーザーの要求事項の明確化
- ユーザーの要求事項を満足させる設計による解決策の作成
- 要求事項に対する設計の評価
実際に私が携わった「doda転職フェア」プロジェクトでは、①と④はリサーチャーが、②と③はUIUXデザイナーが取りまとめつつメンバーで議論しながら進めていきました。
実際のタスクを当てはめるとこのようになります。
「仮説→検証→修正」の良好なサイクルを作り出すことによってユーザー視点を踏まえた開発が可能となり、結果的にサービスの質を高めることができます。doda転職フェアでは②③の段階で機能要求を具体化する際、開発メンバーにその実現性や工数感なども適宜確認しながら進めたことで、実装フェーズでの大きな手戻りを抑止することができました。
教科書は教えてくれない「つまづき」をどう乗り越えるか
チームでのUXを基軸にした開発は初めからすべてが上手くいくわけではありません。
なかでもUXデザインの「手前」のつまづきポイントは解説してくれる資料も多くありません。そこで、私がプロジェクト初期にやっている「下ごしらえ」について、ちょっとだけお話したいと思います。
1. UXデザイナーって何?問題
世の中にはまだまだ「企画→デザイン→開発」の分業性(ウォータフォール型)の現場があり、デザイナーが企画段階からジョインした経験を持つ他職能の方も多くないのが実情です。
チームの中にUXデザイナーのワークイメージがない場合、(何をしてもらったら良いんだろう?)(何をすれば良いんだろう?)というお見合い状態になってしまうことも…
やってみること
とにかくアウトプットを出すようにします。
最初は議事録から。現在進行している議論を再整理&体系化して共有・ブレストを行ったり、必要だと思った資料を適宜作成します。元々頼まれていないのですから無駄になったって構いませんし、実際には有益なことが多いです。資料を作ることがプロジェクトの情報インプットにも繋がりますし、だんだん「固まりきっていない部分」も見えてくるので、仮説を立てた上で再議論を促すなど、少しずつアウトプットを広げていきます。
2. 開発要件・規模が既に決まっている問題
「既に開発要件が決まっていて、思うような提案ができない」ケース。
もともと根本的なUX開発が予定されておらず、設計の自由度が少ない場合に直面する課題です。
やってみること
プロジェクトが置かれた状況(予算、工数、納期)が大きく影響する難しい課題です。しかし、新規にしろ改修にしろ「課題」があるから案件化したはずなので「改善要求を満たすか?」という観点でチームで話す機会を作るのがひとつの手になります。
アプローチ方法:
UXデザイナー視点で見えている課題点をチームにシェアし、意見を集める
チームが判断しやすいように「既定路線」「ベター案」「ベスト案」の複数の改善案を持ち込み、提案の余地がないか探る
現時点での要件で制作した場合のアウトプットを作成・シェアし、課題感をチームで共有してもらう(動くプロトタイプが効果的)
まとめとこれから
UXデザインは常に不透明な課題に道筋を付け、仮説検証をくりかえす地道な作業です。
問題解決へのプロセスは毎回自分たちで見つけなければなりません。そこが大変であり、めちゃくちゃやりがいのある仕事だと思います。
プロダクトをより良いものにするためにも、チームメンバーに「UXデザイナーはこういう事ができる人ですよ」と知ってもらう事が大事だと思います。
誰かの、何かの参考になれば幸いです。
松屋 有紀 Yuki Matsuya
2007年Flasherとしてweb制作会社に入社。その後フロントエンドエンジニアを経て現在はUIUXデザイナーとして勤務。2018年にパーソルキャリアに入社し「CAREER POCKET」「マイポテ」「HR forecaster」「doda転職フェアオンライン」などに携わる。プロジェクトでは経歴を活かし、BTC領域横断の「通訳」的な動きをしている。
2021年に人間中心設計スペシャリスト資格を取得。
※2022年12月現在の情報です。