パーソルキャリアでは、自律的な学びとキャリア選択のきっかけを得ることを目的とした、グループ内の他部署の仕事を体験するプログラム「ジョブトライアル」という制度があります。
2022年3月にサービスデザイングループでも初めてのジョブトライアルの受け入れを実施。デザインとは異なる職種で就業している3名がサービスデザインの仕事を体験する過程をお届けしました。
今夏、新たに3名の社員がサービスデザインの仕事を体験すべく、ジョブトライアルを実施しました。前回とは異なる仕事体験を通じてどのような学びがあったのでしょうか――話を聞きました。
登場人物
稲葉 萌恵 さん
パーソルキャリア株式会社 タレントシェアリング事業部 HiPro Biz統括部 東日本コンサルティング部
2019年4月新卒入社。まだ4名の組織だった中日本拠点の初めての新卒社員として配属され、製造業を中心に営業活動を実施。2021年から東日本拠点に異動し、現在まで金融・物流業界を担当する営業部隊に所属しています。
中島千香子さん
パーソルキャリア株式会社 タレントシェアリング事業部 HiPro Biz統括部 西日本コンサルティング部
2015年4月新卒入社。当時まだ立ち上げ5年目のHiPro Biz(旧i-common)サービスの部署に配属され、現在は関西地域におけるコンサルティング営業部隊のマネジメント職として従事しております。
山田 篤さん
パーソルキャリア株式会社 採用ソリューション事業本部 採用ソリューション企画本部 制作統括部
2019年8月中途入社。dodaの求人広告制作を行っています。顧客の採用決定のために、求人広告の企画・取材・コンセプト提案・制作・顧客対応業務全般まで、幅広く携わっております。求人広告以外にも、その他メディアの記事作成やインタビュアーのお仕事もやらせていただいています。
受け入れたサービスデザイングループ マネジャーの高橋さん
高橋 靖正さん
エンジニアリング統括部UXデザイン部 サービスデザイングループ マネジャー
2020年3月にテクノロジー本部エンジニアリング統括部UXデザイン部サービスデザイナーとして入社。 新規事業創出における事業企画からMVP開発までのユーザー体験設計やプロジェクトマネジメント、ファシリテーションを行う役割として携わらせていただいています。
同じ部署にずっといる不安と他職種への期待――
――本日はよろしくお願いします!まず、今回ジョブトライアルに参加されようと思ったきっかけを教えてください。
中島:漠然とデザインに興味を持ち始めた中で、ジョブトライアルに新規事業のデザインを担う職種があると、上司から紹介してもらい応募しました。新卒で入社をして以来ずっと同じ事業にいたので、見解の狭さに漠然とした不安があったんです。今、マネジャーとしてメンバーの相談に乗ることもあるのですが、狭い見解の中でアドバイスしているなら申し訳ないような気がしてしまって。
今まで培ってきたことが、他でも活かせるスキルであると自信を持って言語化できれば、もっと今の仕事について輝かしくメンバーに伝えられると思い参加しました。
稲葉:大きく二つあります。一つめは、私も新卒で入社して以来ずっと同じ事業の営業をしていて、違う職種と職場を見たいと思っていたからです。今後のキャリアを考える上で、一つの組織と仕事しか知らないことに不安がありました。
二つめは、領域に対する興味です。営業で主に金融業界を担当していますが、新規事業やデザインスプリントを行っているお客様が多く、言葉の意味を調べるなどしていたのですが、中身を知らずに机上で話している気がしていて。その実情を知りたいと思い応募しました。
山田:入社してあっという間に三年が経ち、他の職種にも触れたいと思い「ジョブトラやってみよう」と安易な気持ちで参加を決めました(笑)
もともとUI・UXデザインや新規サービス創りに興味関心がありました。募集職種を探す中でUI・UXデザイナーやエンジニアと協業し、新規サービスのデザインをリードしていく仕事だと知り、興味のあったことがまとめて経験でき一石二鳥!と思い応募にいたりました。ただ、「サービスデザイナー」の職種については、恥ずかしながら存在すら知らなかったので期待と不安でいっぱいでしたね(笑)
――知見を拡げたり、顧客をより知るためであったりと、三者三様な理由で参加を決められたのですね。受け入れをされた高橋さんにも伺います。前回に続き、なぜ今回もジョブトライアルの受け入れをしようとお考えになったのでしょうか?また前回を受けて、研修プログラムを変更された点などあれば教えてください。
高橋:まず今回の受け入れ理由について話しますね。サービスデザイナーは、多種多様な職種の人と一緒にプロジェクトを進め、そのハブとなることが多いのですが、そこですごく重要になるのが多様性です。
サービスデザイングループのメンバー内でも、もちろん多様性はありますが、どうしてもグループだけで議論してしまうと目線が固定化されていきます。違う部署の方に来ていただくことで、参加した感想などから、その人達の視点を通して自分たちを見つめ直す機会になると思い募集しました。
また今回はプログラムを大きく変え、新規事業を創るデザインスプリントを導入しました。サービスデザイナーの仕事で本当にコアな部分は、実際に手を動かして体験することが、一番の学びに繋がると考えました。進行中のプロジェクトに参加してもらっても月に8時間という限られた時間の中だとできることは少ないのもありますね。加えて良い企画がでたら、そのまま事業を作っちゃおうという邪な気持ちもありました(笑)
限られた時間の中で、生み出したのは〇〇ホリックになれるサービス!?!
――研修プログラムも変更され、実際に参画されたと思いますが、どのようにして進められたのでしょうか。
高橋:デザインスプリントでは、顧客理解から始まり、課題を抽出し、その課題を解決するソリューションを考え、それを実際に届ける方法を示すユーザーの体験を設計までを行います。
今回はあまり時間が取れなかったので、コアの部分である、課題抽出、ソリューション設計、体験設計の三つのみを行う短縮版をやってもらいました。時間でいうと、通常は、1日8時間を5日間の計40時間を使いますが、今回は1日3時間を3日間計9時間でした。
稲葉:我々が考えた最終的なサービスについて紹介します。まずペルソナは、ワーカホリックで健康にも気を使い始めたが、一人では習慣化できない30歳前後の男性としました。目標達成に向けて切磋琢磨する環境があれば、ペルソナは健康的な生活をワクワクして続けられるという仮説をもとに、同志とともにワーカホリックならぬ健康ホリックになれるサービスを考えました。
山田:アイデア出しからゼロベースでやって、サービスストーリーとしてアウトプットをするまで、大変な部分もありましたが、サービスデザイナーとしての0→1の工程を体験でき、非常に学びになりました。
ワークをしてみて、アイデア出しなど自分の得意な部分を改めて知る事ができた半面、課題の構造化や問題定義においては、かなり頭を悩ませ、中島さん、稲葉さんのスキルに救われることが多かったです。お二人がいなければストーリーまで完成しなかったと思いますし、三人で力を合わせて、ゼロから創るのが新鮮でしたね。三人の得意不得意が良い意味でシナジーできたと感じました。
中島:スプリント、すごく楽しかったです。普段使わない脳みそを使っている感覚がありました。ただソリューションを提供するという根本の考えは、普段の仕事とすごく近いとも思いました。営業も、お客さんの課題を解決するために、どういう座組で、何をしたら良いかを考え提案する仕事です。こういう考え方のプロセスでやったら良いのかと、思考がすごく整理されました。
一方で、難しかったのは、ペルソナをついつい忘れてしまうことです。自分だったらこうしたい、みたいに自分主語に時々なってしまいました。一人でやっていたら、煮詰まっていただろうなと思います。三人で意見を出し合うことで、他の人の意見から気づくことがあって、非常にやりやすかったです。
稲葉:普段の頭の使い方や手の動かし方が違う人同士で集まってやったことで、いろいろな視点が得られました。「確かにこういう考え方もあるな」と思うことが、ワークで多々あって面白かったです。新しいことを考えるって、そういうことなのかなという気付きにもなりました。
サービスデザイン業務から得る気づきや学びは現業務にも――
――充実したデザインスプリントだったことがひしひしと伝わってきます。ジョブトライアルに参加されて、どのような気づきや学びがありましたか?
山田:インタビュー記事としては面白くないかもしれませんけど、全てのプロジェクトで学びがありました(笑)業務でmiroを利用したことがなかったので、皆さんが当たり前に利用している初歩的なツールに慣れることから学びのスタートでした。
それぐらいほとんど無知の状態で体験に臨んだのですが、新規事業とかコアビジネスなどのさまざまなフェーズのプロジェクトに参加して、サービスデザイナーの思考法や面白さ、難しさ、奥深さを体感できました。
印象に残っているのは、サービスデザイナーの方々の慎重さです。周りの意見を集約しつつも軸をぶらさないよう当事者意識を持ち、周りをリードして物事を慎重に進めているのが印象的でした。まずは、小さなことからでもデザインとビジネスの領域で学んだことを現在の仕事でも役に立ていきたいです!
中島:個人的に一番学びになったのは、業務よりもオンラインでの飲み会のときの話です(笑)。結構熱い話をさせてもらいました。その中で「どんな仕事であってもスキルや経験は身についているはず。大事なのは、何をしてきたかより、今後自分が何をしていきたいか」という話があり、すごく納得しました。
ジョブトライアル参加の理由でもあった「今まで培ってきたことが、他でも活かせるスキルであると自信を持って言語化する」ことも、この言葉がきっかけでできるようになったと思います。私なんか絶対できないと思っていたデザイナーの仕事が、意外にも私たちの仕事と共通項があると感じていたことも相まって、今の仕事で、学び取れることやできることをもっともっと頑張っていきたいという内省につながりました。
稲葉:今の本業に活かせることがたくさんありました。特に、何人かで集まって一つのことを決めるときに、話し合いがきちんと設計されていることの必要性や、アイデアの出し方など、ミーティングに出させていただく中で、たくさん得るものがありました。営業でのお客さんとの対話のデザインや、社内チームでの議論を生産的な場にするヒントを得られたと思います。サービスデザイナーの方が、意見がつまったタイミングで、次はこのワーク入れてみようみたいに、柔軟に流れを組み立てていたのが印象的でしたね。型がきちっと決まっていて、それ通りにやるだけではなく、状況に合わせ変えていく、それが設計なのかなと思いました。
――サービスデザイナーという仕事だけでなく、現業務に活かせるポイントにもつながったのですね。高橋さんは受け入れ側として学びや気づきはいかがでしたか?
高橋:今回のデザインスプリント、実は結構テーマが難しかったんです。
一人暮らしで社会とつながりたいということと、ダイエットやフィットネスを通して健康になりたいという二つのテーマがありまして、どちらか一つに絞ることもできたのですけど、チャレンジングに二つまとめてやろうとなりました。普通の事業開発で、テーマを二つ重ね合わせてやるケースはあまりなくて、大丈夫かなと最初のスタートは思っていました。
全員: 言ってくださいよ!知らなかったです!(一同、爆笑)
高橋:結果的にアウトプットとして、面白いアイデアが出てきて、すごく良かったと思います。皆さんそれぞれの得意分野があって、それが上手く作用したと感じました。
課題整理、問いの設定、ソリューション出し、それぞれ得意とする方がリードして、支え合って進めていました。ほぼ初見でワークをやってもらった中で、ここまでちゃんとアウトプットを出していただけたことは、我々もすごく学びになりました。
――ジョブトライアルの経験を通じて、今後チャレンジしたいことを教えてください。
稲葉:直近では、今の組織で「違うやり方や考え方」を伝えていきたいです。ジョブトラ期間中にも、営業のやり方を見直して、何が大切なのかを皆で議論する会を開催しました。そういう場を今後も設けていきたいです。
また、関わっているお客様に対して、今まではこういう人材がいますという営業の仕方だったのですけど、こんな発想をしたら良いのではないかなど、もう一歩議論に参加できるようになれたらと思っています。
中島:二つあって、一つが、今の仕事を通じて得られるスキルと経験に自信を持てたので、それをメンバーに伝えていきたいです。またメンバーのためにどういう選択肢がいいのか一緒に考えられるような働きかけをできればとも思っています。メンバーを、それこそ顧客と捉え、彼ら彼女らの課題をどうやったら解決できるかを考えていきたいです。
もう一つは、お恥ずかしい話なのですけど、わたし実は人見知りで、業務外の関係性や同じ事業部でない人とのコミュニケーションが得意ではなかったです。でも今回のジョブトライアルで、普段一緒に仕事をしていない人の話で、気づく視点がすごく大事だなと感じました。これからは、事業部内に閉じずに、外の方々とのコミュニケーションを大事に、もっともっと自分を広げていけたらと思っています。
山田:これまで、PERSOLのdoda以外のサービスにほとんど携わることがなく、上流工程でこんなにたくさんのサービスを皆さんが今も考えていることを知れたのが、自分の中で大きな発見、経験になりました。
最初に「安易な気持ちで応募した」と言ったものの、実は37歳という年齢で新しいこと始めるのことに少し勇気がいりました。でも実際に参加してみて、新しい学びや気付きが、普段の仕事への刺激にもなり参加して良かったと思えました。本業外のものごとや関わっている人を知ることで、今の本業自体もより満足いくものになりそうです。今回知り合えた方々と、今後一緒にお仕事できたらなぁ~と期待しています!
――ジョブトライアル、おつかれさまでした!!!
※2022年9月現在の情報です。