「事業を素早く改善、拡大して行くために」―――AWS推進グループが支える最適なインフラ基盤とは

alt

キャリアと年齢を積み重ねるにつれ、新しい世界へ飛び込むことを恐れてしまう人も多いのではないだろうか。今回は17年務めた会社から、新たにパーソルキャリアでAWSの推進に携わる決断をした月島にインタビュー。

所属するAWS推進グループが目指す「最適なインフラ構築」について、また新型コロナウイルス感染症の流行にともない変化した全社への貢献について、存分に語ってもらいました。不測の事態にも柔軟に対応する組織が持つマインドをぜひ感じ取ってください。

45歳で異業界への転職―――

――月島さん、本日はよろしくお願いします。まずは、月島さんのこれまでの経歴を教えてください。

月島:最初に就職した会社はパソコンを作るメーカーで、品質管理や保証をメイン業務としていました。続いてネットワーク系のSIerに転職。エンジニアとしてのキャリアはここからスタートしました。

最初はネットワークを主に担当していましたが、その会社は当初は規模が小さいながら急成長を続けていたということもあって、最終的にはサーバーからPC、お客様の環境設定など幅広く担当するようになり、その会社には5年ほど勤務しましたね。

その後、ガリバーインターナショナル(現:株式会社IDOM)に転職し、インフラ全般を見ていました。そこでは、インフラチームの立ち上げから携わって、17年半ほど勤めました。様々な経験を重ねてきましたが振り返ってみると結局、キャリアの中で事業会社のインフラ構築に関わってきた期間がもっとも長く、組織や事業理解をベースとした企画から提案、構築まで、すべて手掛けてきたので、自分自身、そこに強みがあると自覚していました。

alt

――前の会社に17年在籍して、なぜパーソルキャリアに転職したのか教えてください。

月島:どこに転職しようと決めていたわけではなくて、“そろそろ転職のタイミングだ”と思って、まず辞めることを先に決めていました。個人的にも納期を決めてから動く人間なんですよね。辞めようと思ったのは、ほぼAWSへの移行のためデータセンター撤廃後、あまり自分自身の成長が感じられなかった事やリーダー全員で取り組んだエンジニアも含めた全体的な人事制度が変わり切らなかったことなども要因の一つでしたね。挑戦する文化が感じられなくなったこともあり、そのときに自分が45歳だったので、これからのことを考えると、他の場所で再スタートしたほうがいいと考え、転職を決めました。 

――45歳で新しい業界に飛び込むのは、むしろかなりチャレンジングなのでは?と思いますが。

月島:昔ほどではないですが、確かに転職の際に年齢が高いことによるハードルはそれなりにあるとは思いますよ。

いま、私自身もこの会社で採用活動に携わっていますが、やはり年齢が高ければ、それだけ求めるものも高くなるのは当然のこと。柔軟さは絶対に必要で、今までの経験を活かすだけでなく、クラウドやデジタルトランスフォーメーションができる人材かどうかが重要ですね。私自身は、そうですね…自分が思っているほど保守的な人間ではないのかもしれませんね。

――パーソルキャリアに転職を決めた理由は?

月島:「はたらく」というテーマの大きさや、エンジニアのありかたに携われると感じたのが大きいですね。

「はたらく」とは人生そのものだと思うので、それを扱えるのはおもしろいと思いました。また、1人で何かをするよりは、組織に入って大きなことをしたいと思っていたので、パーソルキャリアのチャレンジングな風土にも惹かれました。当初からAWS推進グループを立ち上げる話を聞いており、本気で変わって行こうとしている所に惹かれていたのも大きな理由のひとつです。

――実際に入ってみていかがですか?

alt

月島:そうですね。ホールディングス管轄のグループITとその配下にある各会社の役割や統制のされかたや位置関係には少しギャップを感じました。誤解を恐れずに言うと、グループITは、ホールディングス全体を統制・管理しなければいけない立場なので、事業寄りではなく、そちらに目が向きがち。パーソルキャリアはスピード感をもって進める文化なので、グループITとも意見交換をする方ですが、他のグループ会社がどのように進めているのかはあまり見えていなくて…シナジーが生まれづらい環境にあると感じました。あとは、セキュリティがとても厳しいですね。厳しいのは良いことですが、セキュリティの考え方もそれぞれの立場で統一、整理されていません。

これは当初の統廃合という考え方から、今は事業最適にすべきという動きになっているから生じる良いギャップであり、役割的に動けているからだと思います。これがワンチームで動けるようになると、より強力なグループ、企業になると思いますし、そう進んでいると感じています。

でも、これは決して、パーソルグループ特有のものではなく、他社でも似たようなことはあると思います。逆に形骸化して、統制ができていない会社もあるのではないでしょうか。パーソルキャリアは、テクノロジー目線での中期経営計画を立てて、意思を持って動いておりますし、リードして行こうという姿勢もあり、ホールディングスや他のグループ会社と連携が取れてきているように思います。エンジニア採用や投資にも注力しているので、今後より良くなっていくはずです。

――月島さんはAWS推進グループに所属していますが、そういった状況を目の当たりして、何か自分からギャップを解消するためのアクションを起こしているのでしょうか?

月島:何とかしたいという思いはあるのですが組織が大きいので、1人でどうにかするのは難しいです。なので、仲間づくりや情報共有、情報発信をすることが大事だと思って行動しています。

同じ思いを持っている人は一定数いると感じていますし、今までのやりかたに慣れていて気づいていない人もいるはずです。共感してもらえるだけでも心理的安全性は上がると思います。これからさまざまな人と連携やコラボをして、情報発信をしていきたいです。

AWS化を実施することで生まれる、新しい価値

――ここからは、AWS推進グループについてお聞きします。まずは、グループのミッションを教えてください。

月島:2020年4月に新設されたグループで、今はdodaを中心にオンプレミスの環境からAWSへの移行を推進しています。

より事業を素早く改善、拡大して行くためにクラウド(AWS)化を行っています。開発のサイクルを上げたり、無駄なものを消したり、新規で何かやりたいというときにもすぐに対応できる状態を作っています。

――そもそもなぜAWSを選択したのでしょうか?

月島:今は、社内でも社外でもAWSが非常に多く活用されているので、何か新しいことをしようとした際に外部の助けを借りやすくなります。また、プラットフォームとしてさまざまなレイヤーが整っているのも良い点です。たとえば、GCPでは今のオンプレミス的な使いかたは難しいです。先進的に1からGCPでやろうというときは問題ありませんが、ハイブリッドでやろうとなるとGCPでは難しくなります。AzureだとMicrosoftに寄り過ぎてしまいます。そういった意味で、AWSはこれまでの環境も活かしながら使うには最適です。

――AWSへ移行するにあたり、これまでのオンプレミス的な使い方を意識していたんですか?

alt

月島:クラウドのメリットを最大限に活かすには、現状のオンプレミスの環境をただ踏襲するのではなく、本来の要件をもとに、場合によっては要件自体も再設計しなければなりません。たとえば、「データベースはこれでなくてはならない」と縛られてしまうと作ることはできません。そのデータをどのように使いたいのか、定義がきちんと決まっていれば、極端な話、データベースでなくファイル形式でも良い場合もあります。

今ある形を、これからのことも予測しながらより使いやすく再構築していく―――そういった発想が必要ですね。アプリやインフラのレイヤーは単純な役割でしかないので、そことうまく協力したり連携したりすることが重要です。このプロジェクトは、業務設計とセットで進める必要があるのでとても時間がかかるものですが、クラウドサービスも活用しながら、我々のビジネスのコアな部分のシステムを考えていきたいですね。

――AWS推進グループのメンバー構成や進め方について教えてください。

月島:AWS推進グループを主務にしている人は僕を入れて5名、兼務でプラス4名の計9名です。採用も続けているので、あと1~2名は増えると思います。

9名しかいないので我々だけで物事を進めることは難しいので、事業側を担当しているBITAメンバーと協業したり、役割分担しながら、インフラ部分を担うケースが多いですね。 

――グループが立ち上がって早々に、新型コロナウイルスにおけるリモートワーク環境の構築にも携わったと伺いました。

月島:そうなんです。短い期間で5000人規模の環境を構築しないといけなかったので、グループ初の大仕事でした。AWS(クラウド)のメリットに、急にシステムを立ち上げて大量に使おうとした際にも対応できる点があります。今回はできるだけ早く、全社員のリモート環境構築を対応する必要があったので、我々のグループが対応しました。

セキュリティレベルを一定担保しながら、事業が適切に前に進むように、VPNの構築をしています。

具体的には、先日開催されたAWSユーザーグループJAWS-UGが主催する「JAWS DAYS 2020」で当社の事例を話したので、是非ご覧ください(笑)

www.youtube.com

  

――VPNとVDIでは、構築のハードルの差はどれほどあるのですか?

月島:VDIのほうが関係者や連携する仕組みが多いですね。VPNの場合は、パソコンは今あるものを使うので、途中のネットワークの問題を解決するだけです。しかし、VDIはパソコンや入れるソフトの選定、動作確認なども必要になります。そして、さらにそれがリモートでも機能するかどうか確認する必要もあります。

今は、部署ごとで業務に必要なツールがバラバラです。実際に業務をする際には、メールで連絡をしたりExcelを使ったり、さまざまなツールを使います。業務内容によって使うツールも多岐にわたるので、最低限必要なものは何か線引きをする必要があります。使いたいツールと実際に動くツールはどれかという調整もしています。使いたいツールが実際に動くかどうかは別の話ですが、全社員が滞りなく業務がでいるように環境が整えられるように動いています。 

――リモートワーク環境構築はかなり突発的な対応だったと思いますが、この経験を通じて何か得られたことはありますか?

月島:今回の対応は、AWS推進グループだけでなく他の組織とも協力し、助け合いながら取り組めたと感じました。個に力があるからこそ、グループとしては立ち上がったばかりで文化醸成される前でも達成することができたと思っています。この経験を経て、人のつながりはとても良いと感じられたので、ここから同じようにチーム連携しながら進めてたいと思いますし、十分にそれができると感じました。もっと連携し、スムーズにできればシナジーも生まれ、大きなことも早く進められるので、さらに踏み込んでいきたいです。

また、リモートワーク環境構築をきっかけに、自分たちがやっていることの意味や意義を再認識することができました。まさに大規模なインフラ環境を整える仕事をしているんだ、と思いましたね。模索しながら他部署の人と関われたことも、「協力者がたくさんいる」と認識することができたので良かったです。

エンジニアはものづくりだけでなく、問題を解決することが得意

――月島さんが描く理想の組織と今課題に感じていることはありますか?

月島:理想の組織は、情報の共有や連携ができて、困ったときにお互いが持っている知を共有できることですね。それには、自分の業務内容を社内・社外問わず表に出していくことがとても重要になってきます。

「事業を素早く改善、拡大して行くためにシステムを変える」という我々のミッションに立ち返ると、その人だけが頑張るレベルでは到底達成できません。たくさんの人を巻き込まなければ不可能です。そのためにはお互いを知ることが重要で、知ることで有益な情報を得ることができ、より作業を早くすることができると考えています。

組織構造やツールの問題はありますが、今は情報連携をするために多くの時間を取られているのが課題点ですね。その点はもっと交通整理をしたり、フラットに聞ける環境を整えたりすることも必要ですし、自分たちが「○○屋である」ということをもっと開示していく必要もあると思います。そして、疑問などはすぐに聞けるように、たとえば全員がSlackを使うようにするといいのではないでしょうか。ツールを上手に活用して、もっと連携が楽にできると良いなと思います。

――今後の目標を教えてください。

月島:大きく3つあります。1つ目は、dodaのAWS移行を進めていくことです。ただ単純に移行するものと、クラウドネイティブな移行の仕方をするものとさまざまありますが、シフトすればするだけAWSの恩恵を受けられるので、これはしっかりと進めていきたいです。2つ目は、ただ持っていくだけではトラブルに対応できないケースもあるので、基盤や仕組みの部分もきちんと構築していきたいです。3つ目は、グループITにもAWSを担当するメンバーがいるので、彼らと連携してより良いAWSの使いかたや基盤整備を行っていきたいです。単純にAWS移行するよりは、やりかたなども含めてもっと良い方向に変えていきたいです。

alt

――移行後に何をするかも重要ですね。

月島:AWS移行は単純なきっかけでしかないので、これからもずっと改善には取り組み続けると思います。クラウドに乗せれば終わりではなく、どんどん変わっていく世の中に合った運用に常に変えていかなければなりません。

たとえばクラウドのセキュリティは、クラウド側が見る部分と我々が見る部分で分かれています。アップデートは半強制的なものなので、我々もそれに合わせていかなければ、動かないというトラブルが起きてしまいます。しっかりとアップデートにたいおうしていれば、その部分のセキュリティは担保されますし、今までと比べて運用が楽になります。なので、運用の仕組みはどんどん作り、さらにそれをアップデートさせていくことが重要になります。

――AWS移行することでできることが増えるということは、AWS推進グループが提案して変えるきっかけを作ることも、今後のミッションとして存在しているのでしょうか?

月島:そうですね。たとえば「このような機能が使える」と広くアナウンスすることによって、今までスクラッチ開発に使っていた工数を他のところに回せるので、積極的にきっかけ作りはすべきだと思います。しかし、いたずらにやっていくとそればかりに追われてしまうので、そこは見極めながらやっていきたいです。

――今、新しい人材がAWS推進グループに入ることの価値は何でしょうか?

月島:事業と直結しているので、自分がやったことが分かりやすいのは魅力だと思います。SIerでは成果はなかなか見えない部分だと思うので、事業会社ゆえのおもしろさですね。AWSのサービスの範囲は広く、常に進化しており、それらを自ら操作できるので、主体的に取り組めるので、言われたことをやるタイプだと大変かもしれません。自分でもっと変えてみたい、実際に触ったり提案したりしたいという方は合うと思います。

自分で新しいことにチャレンジしていきたい人、自分のやっていることがどこに寄与しているのか興味がある人、事業に興味がある人と相性が良い組織です。また、アプリやインフラはあくまで役割なので、さまざまなレイヤーに携わりたいという人も良いと思います。まだルールもない状態なので、おもしろいですよ(笑)

――ルール作りの段階から加わることで、エンジニアとしてどのような力をつけることができますか? 

月島:エンジニアはものづくりだけでなく、問題を解決することが得意だと思います。その問題をより理解したり、本質的に見極めたりする能力が築けると思います。場合によっては「それは作らないほうがいい」と判断を下すことができるエンジニアになれるはずです。例えば、顧客の間違ったオーダーに対し、そのまま作って、不要になりそうなものを提供する店よりは「もっとこうしたほうがいい」とアドバイスできる店のほうが価値ありますよね。エンジニアもそうあるべきです。そういった判断をする力は身につきやすいと思います。

――最後に、AWS推進グループに興味を持つ方に向けメッセージをお願いします。
月島:これからもみんなと話し合いながら、「オープンにすること」は意識して取り組んでいきたいと思っています。無理に進めるのではなく、少しずつ文化形成ができたら良いと思いますし、それに共感してくれるメンバーと一緒におもしろいことをやっていきたいです。 

――ありがとうございました!

(インタビュー・編集=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/執筆=The Text Factory(エーアイプロダクション)/撮影=古宮こうき)

alt

alt

月島 学 Manabu Tsukishima

テクノロジー本部 インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー

PCメーカーに新卒入社。その後、SIerを経て、自動車流通企業にてインフラ組織のマネジメントを経験。2011年よりAWSを中心に自社とグループ会社のクラウド化の推進や、データセンターの撤廃にプロジェクトマネージャーとして従事。2019年、パーソルキャリアに入社。現在はAWSを活用したクラウド環境の整備、移行推進を担当している。

※2020年6月現在の情報です。

▶パーソルキャリアの求人ページはこちらから