【Agentic AI体験レポート】ビジネス部門からSEまでみんなが使える「Amazon Quick Suite」を体験してみて

 

自己紹介

こんにちは、データ・AIソリューション本部 データ・AIインフラ統括部のデータアナリストの中里です。主にデータ・AI利活用に関連する企画、分析などに携わっています。

同じくデータ・AIインフラ統括部でエンジニアをしております松山です。主に社内のデータ分析基盤の企画、運用をしています。

はじめに

2025年10月に発表された Amazon Quick Suite を試す機会をいただきました。

今回は、この新サービスを体験した感想について、中里が主にデータ・AI利活用の視点で機能の前半を、松山がシステム管理者の視点で機能の後半を記載します。

Amazon Quick Suiteとは何か?

Amazon Quick Suite は、AWSが2025年10月に発表した新しいサービスです。

従来のBIサービスである Amazon QuickSight が進化したもので、BI機能に加えて以下の機能が追加されています:

  • Chat agents
  • Research
  • Spaces
  • Quick Flows
  • Quick Automate

詳細はこちらをご覧ください

https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/reimagine-business-intelligence-amazon-quicksight-evolves-to-amazon-quick-suite/

 

ハンズオン体験

ハンズオンセッションでは、それぞれの機能を以下のような業務シナリオに基づいて体験しました:

  • Chat agents: 毎朝の情報収集を迅速に行う、クイックな情報収集

  • Research:上司からの急なレポート分析を1時間で完了させる、1時間で本格レポート完成

  • Spaces: 収集した知識を二次活用する、組織の知識の資産化

  • Quick  Flows:日常業務をAIに任せ、複雑な問い合わせ対応を自動化する、データ探索業務の自動化

  • Quick Automate: 毎週の憂鬱なレポート作成を出社前に完了させる、市場調査の自動化

各機能についての概要や特長、および業務での活用可能性などの所感について順に記載していきます。

 

まずは、前半の Chat agents 機能~ Spaces 機能について、中里が主にデータ・AI利活用の視点で記載します。

Chat agents日常的な情報収集や文書分析

Chat agents 機能とは?

Chat agents 機能は、自然言語によるチャットでの情報収集、文書分析が可能な機能です。

複数のサイトや、統合先を含むデータ、アップロードしたファイルなどを参照して分析でき、資料としてまとめたり壁打ちしたりできます。

通常であれば半日かかる作業について、30分での実施も可能です。

Chat agents 機能の特長

デフォルトの My Assistant というチャットエージェントの他に、独自のペルソナや機能を備えたチャットエージェントの構築が可能です。

例えば、ファイルをアップロードしてチームのニーズを理解させ、固有のエージェントとして作成・保存もできます。

目的に応じて複数のエージェントを作成しておき、AIとのチャットの際に選択し分けるなども可能です。

その他機能 - 外部知識ベースとのリアルタイム連携可能

Chat agents では Slack、Teams、MCPサーバー、API、SaaSサービスなどにアクセス可能です。MCP (Model Context Protocol)で、LLM (大規模言語モデル)がデータソースやツールに接続する標準化された方法を実現でき、最新サービスや専門的な情報について、外部の知識ベースとのリアルタイム連携が簡易に可能です。

ユーザーとしての所感

ハンズオンとは別に、手元で複数のファイルを読み込ませてエージェントを作成し、企画書を作成してみましたが、リスク分析や財務的インパクトなどもされており、具体の数字が入った企画の詳細化もできました。

固有のエージェントの作成方法次第で、具体化、高度化やそのフォーマット化など、利用方法を戦略的に考えることができそうです。

Research 本格的な調査レポート作成

Research 機能とは?

Research 機能は、比較的短時間で包括的なレポート作成が可能な機能です。通常なら数日かかるような本格的な調査分析が、1時間などの短時間で可能です。

Chat agents 機能がちょっとした情報収集や分析であったのに対し、Research 機能では、意思決定などに必要な要素を網羅したレポートが自動作成されます。

Research 機能の特長

「研究目標」の記入欄があり、デフォルトで記載例のブラッシュアップも可能な状態です。

研究目標を入力、実行するとAIで「研究計画の作成」がされます。計画を修正したい場合は、自然言語で指示をして、AIが作成した計画内容を見直します。

計画が確定すると実行し、レポート作成に入ります。レポート作成が完了すると、メールで通知が届きます。

その他機能 - トーンを変えた要約作成が可能

アウトプットされた調査レポートについて、エグゼクティブサマリー、ビジネスフレンドリーなトーンなどで、要約作成ができます。自然言語でトーンを変えるなどの指示もできます。

要約は、PDF、Wordでのダウンロードも可能です。

作成されたレポートではデータソースが列記されており、データソースを含め、内容確認ができます。

ユーザーとしての所感

作成されたレポートは、「調査レポート」との名前通りの印象で、ユーザーサイドで Chat agents 機能との使い分けを明確に意識することになりそうです。

書き方の例はありながらも、レポート作成前に計画を考えるプロセスが組み込まれているのが印象的でした。効果的な使い方の意識づけも含め、AI利用のコントロールをしたい際に、利用の土壌づくりがしやすいのではとの印象です。

Spaces 組織の知識共有と活用

Spaces 機能とは?

Spaces 機能とは、組織の知識の属人化を防ぎ、チームメンバーが自分で情報を見つけられる環境構築を目指す、組織の知識共有と活用の機能です。

具体的には、Chat agents 機能と Quick sight (BI)、Integrations (SlackやTeams、SharePointなど外部製品を含む接続)の接続が可能です。

Spaces機能の特長

Quick sight (BI)のダッシュボードのデータについて、Chat agents 機能で自然言語で分析可能です。

例えば、AIによるグラフ作成、傾向分析や解説が可能です。AIからの深堀分析の提案などもあります。

その他機能 - 日常的に発生する質問に対する知識の構造化が可能

日常的に発生しがちな「売上データの分析をしたいがどのデータを見ればよいか?」といった質問に対して、AIが自動的に最適なダッシュボードやデータソースの提案をすることも可能です。そこで、人が毎回個別に対応する必要はなくなります。

ユーザーとしての所感

普段、組織内で類似の問いが発生しており、何度もBIのデータを確認・共有するような作業が発生しているような際に、特に役立ちそうです。

また、ダッシュボードのグラフの読み解きや、グラフ作成で苦戦しているような際にも、活用できそうです。

 

それでは、後半の Quick Flows 機能、Quick Automate 機能について、松山が主にシステム管理者の視点で記載します。

Quick Flows複数ステップのデータ処理ワークフロー

Quick Flows 機能とは?

Amazon Quick Suite が提供する Quick Flows 機能は、複数ステップのデータ処理ワークフローを簡単に構築・管理できるツールです。

GUIと自然言語を利用してワークフローを設計できるため、従来のツールよりも直感的かつ迅速にワークフロー作成が可能です。

この機能は特に、定常的で反復的な業務の自動化を目的に開発されており、効率化を追求する企業にとって非常に有用です。

Quick Flows 機能の特長

Quick Flows が際立っていると感じたのは、自然言語を用いた指示に基づき、自動的にワークフローを部分的に生成できる点です。

ユーザーはまず「実現したい目的」を自然言語で記述するだけで、Quick Suite が自動でワークフローの初期を作成します。その後、生成されたワークフローを動かしてみることで発想を具体化し、さらに自身の手で改修を加えるといった柔軟なステップが可能です。

このようなプロセスにより、従来のワークフローツールよりも短いスパンで仮説の検証を繰り返すことができ、実際に思い描いている状況に早くたどり着けそうな印象です。

実際のハンズオンでもデータを自然言語で指示を出し、普段のデータ探索業務を自動化するワークフローを作成しました。言語で指示するため若干ユーザーごとの差分はあるものの、詳細に説明することで差分を減らすことができました。複雑な設定を必要とせずワークフローを組める手軽さと使いやすさを実感してもらえる機能と感じました。

なお、初期生成されたワークフローに頼るだけでなく、空白の状態から完全に手動で作成することも可能です。この点は、特定の業務や環境に基づいて独自のワークフローを設計したいユーザーにとって便利です。

実際私も少し入力する変数を増やしてみたり、内容を変えたりしてカスタマイズしていましたが、難しいことはなくこちらも手軽です。

セキュリティと管理機能

Quick Flows には、ワークフロー全体の品質とセキュリティを保つための厳格な管理機能が組み込まれています。

具体的には、アクセス制御機能や承認プロセスを付与する仕組みがあり、不適切な共有や改変を防ぎます。この機能は非常にシステム導入の際に管理するエンジニアとしてはメリットになると感じており、無秩序なワークフロー運用が企業の業務全体にセキュリティや効率の観点で悪影響を与えるリスクを軽減可能です。

これらの管理機能が企業導入時に大きな安心材料となるため訴求ポイントだと思います。

Quick Automate定期実行や外部システム連携

Quick Automate 機能とは?

Amazon Quick Suite が提供する Quick Automate 機能は、複雑なビジネスプロセスを自動化・最適化するための高度な機能です。

この機能は特に、定期実行が必要な処理や外部システムとの連携を得意としており、Quick Flows と比較してより複雑な処理を効率的に運用することが可能です。

マルチエージェントアーキテクチャを活用し、複数のエージェントを統合して高度なワークフローを実現する点がその最大の特長です。

Quick Automate の特長と強み

Quick Automate は、業務プロセスの複雑化に対応できるツールであり、承認プロセスなどセキュリティを意識した管理機能に強みを持っています。

具体例として、処理内に人による確認や承認のヒューマンインザループのステップを加えることが可能で、安全性やコンプライアンスの担保が容易です。これによりチーム内や組織全体でのスムーズな連携を促進すると共に、モニタリングや制御を強化できます。

またデータソースとして、AWSのS3をはじめとする外部リソースの利用が可能ですが、IAM(Identity and Access Management)ベースのアクセス制御が必須となるため、高いセキュリティを保つ設計です。設定されていないコネクションに対してアクセスすることはできないため、予期せぬリソース変更やデータ管理のトラブルを防ぐことができます。

この設計は管理するエンジニアにとって非常にありがたく、企業全体のセキュリティリスク軽減に寄与します。

UI Agent や高度な処理機能

Quick Automate は処理内で UI Agent と呼ばれる視覚的な確認ステップを含む機能が備わっています。

この機能では、例えば Web ページをクローンして実行するプロセスをブラウザ上で表示し、実際の動作を視覚的に確認することが可能です。

AWSのご担当者がワークショップで「AIに目を与えるような機能」と表現した通り、この技術は業務自動化における透明性や信頼性を向上させるユニークな特徴となっています。実際のハンズオンでは、市場の競合調査として、Amazonの売れ筋ランキングを収集して、分析、レポート化して出力するようなデモを作成しました。当然WEB上からデータを取得する部分もあり、ブラウザを通じて人が操作しデータを取得する形で動作しており、その過程を視覚的に確認できたため、非常に安心感がありました。

さらに、コード実行や分岐処理、例外処理など高度な要求に対応する機能が充実しているため、ビジネスプロセスのさまざまな条件に合わせたフレキシブルな設計が可能です。

この点で Quick Automate は、単なる自動化ツールに留まらず、本格的な業務向けプロセス管理プラットフォームとしての役割を果たしています。

外部ツールとの連携と競合ツールとの差異

Quick Automate はAWSのサービスだけにとどまらず、Microsoft Outlook、Slack、Atlassian Jira Cloud などの外部製品とも接続可能です。この幅広い接続性により、さまざまな業務環境に対応でき、既存のツールと統合した運用が可能となります。

また、競合する他のオートメーションツールと比較しても、ユーザーインターフェースの整理された設計や柔軟性が秀でており、操作性の高さが際立っています。

運用面での課題と重要性

その一方で、Quick Automate を活用するにはIAMやS3などのAWS基盤技術の基本的な知識を必要とするため、未経験者や一般のユーザーにとっては少々ハードルが高いと感じられるかもしれないなと感じました。

しかし、生成AIが支える自動化時代において、このような基本的なクラウド関連知識を習得することはエンジニア以外のユーザーにも安全な運用のための重要なスキルとなるでしょう。

本機能から恩恵を受けるためには、AWS の基礎的な使い方を学び、適切な運用ができる環境を整えることが大切です。

実際のユースケース

Quick Flows は、定常的な業務の簡単なステップを自動化するツールで、Zendesk やSlack などのコミュニケーションツールとの連携が特に有効です。

AWSのご担当者が紹介する事例では、これらのツール内のデータをリアルタイムで分析し、運用効率を改善する方法が挙げられていました。

業務生産性の向上に直結する実用的な活用例として、多くの企業で応用できる可能性があります。

 

実際に私自身、社内データ基盤の運用業務で、ユーザーサポート内容を分析する場面が多々あります。以下のプロセスを経ることが一般的です:

  • データ収集 - サポート依頼や関連ログデータを取得
  • 集計作業 - 必要なデータをまとめて分類
  • 分析実施 - サポート内容や頻出トラブルを解析
  • 最終的なデータまとめ - 分析結果を整理し報告書を作成
  • 施策立案 - 改善や対策を提案

こうした一連のタスクは時間がかかるため、Quick Flows を活用し、データ収集から集計までを自動化することが非常に魅力的です。

この自動化により、施策立案のための時間を確保できることは、より戦略的な業務遂行に繋がると考えています。

 

また Quick Automate は、Quick Flows よりも複雑なタスクを実行できるため、上記の私のタスクで言えば、

  • ログ情報の収集と分析:システムから出力されるログデータを取り込み、現状の課題を詳しく分析する。
  • ベストプラクティスの提案:他社事例やベンダーが推奨する打開策を基に新たな戦略を提示。
  • タイムリーな処理と通知の設計:金曜日の退勤時に承認プロセスを動かし、土日の間に自動的に分析を実行。月曜の出社時点で Teams や Slack などに結果を通知する流れを構築。

などが検討できそうです。

Quick Automate の強みは、複数のプロセスを統合する点にあり、その結果、定常的な分析だけでなく、意思決定に寄与する具体的なアクションを後押しする機能として活用できます。

まとめ

  • Amazon Quick Suite は、QuickSight を進化させたAWSの新サービスで、BI機能に加え Chat agents、Research、Spaces、Quick Flows、Quick Automate を搭載
  • Chat agents:自然言語で情報収集・文書分析が可能。複数エージェントの作成や外部知識ベースとの連携も容易
  • Research:短時間で包括的な調査レポートを自動生成。計画策定→実行→要約までAIが支援
  • Spaces:組織の知識共有を促進。BIダッシュボードと連携し、自然言語で分析や質問対応が可能
  • Quick Flows:GUI+自然言語で複数ステップのワークフローを簡単構築。反復業務の効率化に有効
  • Quick Automate:複雑な業務プロセスを自動化。承認プロセスや外部システム連携、UI Agent による視覚確認機能を備える
  • セキュリティ面ではIAMベースのアクセス制御や承認プロセスを標準搭載し、企業導入時の安心感を提供
  • 外部ツール(Slack、Teams、Outlook、Jira など)との連携により、既存環境との統合が容易
  • ハンズオンでは、情報収集・レポート作成・ワークフロー構築・自動化の実用性を確認。業務効率化に直結

 

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中里 しのぶ Nakazato Shinobu

データ・AIソリューション本部 データ・AIインフラ統括部 AIインフラ部 AIPMグループ

シンクタンクや外資系マーケティングリサーチ、コーチングファームなどでアナリティクスを中心に従事。前職はSIerでBIツール導入支援などに携わり、2019年5月にパーソルキャリアに入社。現在は、データ・AI関連の企画や分析、育成などに従事する。

松山 新 Matsuyama Arata

データ・AIソリューション本部 データインフラ統括部 データインフラ部 プラットフォームグループ

エンジニアとして2025年5月に中途入社、現在はデータ分析基盤の運用を主に担当

※2025年11月現在の情報です。