Developer&Designer Advent Calendar 2024 15日目の記事です🎄
はじめに
閲覧ありがとうございます!
HR forecasterという中途採用に悩む採用担当者を支援するプロダクトでマネジャーを担当している西澤と申します。
1年前の9月まではプロダクトの機能開発や開発プロセスの改善等を中心とした役割を担っていたのですが、10月にロールチェンジし、マネジャーになって1年程経ちました。
昨今、「管理職にはなりたくない」と考える人が増えているという話をよく耳にします。エンジニアはその最たる職種の1つで、実は私もその1人でした。
しかし、この1年間マネジャーとして過ごし、自分が抱いていたイメージとの違いを感じる点も多々あったなと思います。本記事ではその「イメージのギャップ」を振り返りつつ、読んでいただいているエンジニアの方がマネジャーに興味を持つきっかけになると良いなと思います。
マネジャーになることを避けていた理由
以下のような理由で避けていました。
- 管理職になるとエンジニアとしての専門性が失われる。それだけでなく、皆の嫌がる仕事を担当するいわゆる雑用係になってしまうのでは、という不安
- 管理職のスキルセットは会社に依存するような業務が多く、且つ抽象度が高いので、自身のスキルとしてアピールしづらく市場価値が高まらない(と思っていた)
- 管理職=会社側の人間になるので骨を埋める覚悟が必要(と思っていた)だが、いつだって仕事選びの選択を自由にできるように身軽でいたい
今になって見返してみると、だいぶ偏見が含まれているなと思う部分もあるのですが、当時は真面目にそう思っていました。
マネジャーになったきっかけ
自分の強みがマネジメント方面の方が活きるような感覚は以前から自覚していました。
ただし、それ以上に消極的な感情が強く、管理職になることには抵抗を感じ続けていました。「いつかその感情が薄れていくタイミングでなれればいい」と思っていました。
しかし、その「いつか」が本当に訪れるかどうかはわかりません。それにタイミングが来たとしても、そのときにチャンスが巡ってくる保証はありません。
打診された時、当時の私はマネジャーの具体的な業務がどのようなものかを詳しく理解していませんでしたし、現場でエンジニアリングに関わり続けたいという気持ちも強く、マネジャーになればその距離感が遠のいてしまうのではという懸念もありました。
それでも最終的に私がマネジャーになると決断できたのは、当時の上司との対話が大きかったです。自分がどのようなマネジャーを目指したいか、どういった形でチームや組織に貢献したいかを正直に伝えたところ、それを受け入れてもらえたのは自分にとって安心感がありました。そのサポートがあったからこそ、「自分の理想のマネジャー像を追求しながらやってみよう」という前向きな気持ちで、この役割にチャレンジすることを決められました。
マネジャーの仕事の種類
皆さんはマネジャーが普段どんな仕事をしているか知っているでしょうか?
エンジニアリングマネージャーのしごとという書籍の中では、マネジャーの仕事は以下の4種類に分類されると書かれています。
- 情報収集する
- 意思決定する
- ナッジング(自分の意見を伝え、決定に影響を与える)
- ロールモデルとなる(実例を示す)
マネジャーの具体的な仕事内容は組織の大きさによって変わってくると思いますが、どの仕事をやるにしてもこれらの分類を意識することで自分の期待役割を整理する事ができます。
自分が担当しているマネジャーの仕事
すごくざっくり言うと、プロダクトが前進していくための全般的な活動を計画・推進する役割であると考えていますが、代表的な業務は以下のようなものです。
- プロダクトが進化し続けていくための組織・技術戦略の立案、推進
- プロダクトの進行の妨げになる障害の排除
- プロダクトを進化させ続けるためのメンバーの成長支援、キャリア実現の場作り、メンタルケア
- プロダクトのスケールに合わせた採用活動
プロダクトを主語に置くことで、活動の指針がブレないように気をつけています。
実際にマネジャーをやってみて感じている事
今まで通りエンジニアとしてのアップデートは必要
前述したマネジャーの仕事の種類で書いた通り、意思決定はマネジャーの重要な仕事です。特にエンジニア組織であれば、エンジニアと会話する事になるので知識や情報が備わってなければ意思決定できません。
ただし、開発をメインでやっていた時とキャッチアップの内容は少し変化があって、ある特定の言語やフレームワークの詳細な機能を必ずしも知っておく必要はなく、技術の活用方法を知っておく事が必要だと感じています。
例えば、その言語・フレームワーク・ツールが自社へもたらす価値の理解や、新しいテクノロジーが自社でどのように活用できるか、そのリスクの理解等です。
他社事例等の情報収集に努め、引き出しを多く持っておく事で周囲のエンジニアと会話する時の意思決定やナッジングができる幅が広がります。
職歴書にかけるような仕事、スキルはたくさん身につく
それぞれの習熟度は異なりますが、この1年でエンジニアリング以外の仕事で出来るようになった仕事を棚卸しすると意外にも色々ありました。
- 組織の方向性を示すビジョンを伝える力
- 採用計画や人員配置等の長期的な組織戦略を考える力
- 求人の募集要件の作成
- 新卒・中途の面接力、カジュ面力
- メンバーのモチベーション管理、目標支援
- メンバーの育成、評価
- 長期的な視点での技術戦略を考える力
- 嫌な仕事、無駄な仕事を減らす力、交渉力
- プロダクトを開発する上でのコスト意識
- 契約等の会社活動で汎用的に使える知識
いずれもプロダクトを作っていくためには必要な活動ですが、これらの経験は開発業務だけでは得られる事が出来なかったと思います。この経験があれば、もし自分がまた開発に戻ったとしても色んな視点を持ってプロダクト開発ができますし、絶対に無駄にならないと思っています。
開発をしていた時と比べると成果が見えづらい
普段のプロダクト開発の現場にいて、メンバーが「インフラコスト削減しました!」「〇〇さんが開発した機能が大活躍だね!」とか話しているのを聞くと心の中で羨ましさを感じる時が未だにあります。
開発の場合は、イシューをクローズさせれば、それがプロダクトに反映されるのでわかりやすい成果になると思いますが、マネジャーが取り組む業務の多くは中期〜長期を見据えた取り組みが基本になるため、今進めている事の成果は半年〜1年先になる事もあります。
加えて、メンバーが知らない裏側で組織の連絡窓口として色んな情報を浴びながら、沢山の雑務をこなさなければなりません。(雑務と表現していますが、いずれもやらなければいけない組織活動)
それもあって自分としては忙しいんだけど、メンバーからすると何で忙しいのか見えづらい状況が生まれているような気がして、自分自身の中で虚無感のような感情を抱く瞬間はあったかなと思います。
今ではその対策として、私はなるべく自分の業務をオープンにするように心がけていて、通常のメンバー同様、その日何やるかを共有したり、スケジュールに作業スケジュール等を見えるようにする、Slackの個人チャンネル(いわゆるtimesチャンネルのような)で呟く等で可能な限り私が何をしているのかを発信するように努めていたりします。
業務内でのエンジニアリングの経験が積めない
これは未だに答えはないです。期待役割が変わるので、業務の中でこれをやっていくのは難しいなと感じます。
個人開発や、今であれば複業の選択等もあるので、外へ求めていくのが健全かもしれません。
一時期、プレイングマネジャーとしてコードも書きつつ、マネジメントもやっていた時期もあったのですが、突発的に入る業務等の対応に追われ、開発業務もマネジャー業務も自分がブロッキングしてしまう事象が発生しました。
マネジャーは突発的に意思決定を求められたり、ナッジングを求められる事が多いです。しかも多くの場合、それが済まないと議論が進まない状況だったりします。なので、早急にそれに答えていき、現場の活動がスムーズに進むようにすることに注力しなければなりません。そのためには、キャパシティに余裕を持たせておく事が理想ですが、開発業務、マネジャー業務の2足の草鞋を履いてしまうと、常に稼働率100%になってしまい、チーム全体の生産性が低下します。(この話題において権限委譲も大事なポイントですが今回は触れません)
チームの生産性を上げる事がマネジャーの重要なミッションの1つなので、それを阻害するような事は避けなければいけない、というのが私の結論です。
ですが、中期〜長期視点での技術戦略等をテックリード陣と決めていく役割はあるので、上流部分の経験を積むことは自身の努力次第では可能かもしれません。
まとめ
約1年前「管理職にはなりたくない」と考えていた私は、実際に1年間やってみて結構楽しくマネジャーをやれています。
私が管掌できる範囲はまだまだ狭いですが、今後も自分が担当するプロダクトを始めとし、事業にとって最適なプロダクトの形を目指せるような環境作りに取り組んでいきたいなと思っています。
こういった視点に気づけたのもマネジャーの経験を通してなので、こういう機会がいただけた事に感謝ですね。
私が思うマネジャーの1番の醍醐味は、自分の思う組織を作っていく事ができることかなと思っています。メンバーの時は、どうしても上位から降りてきた内容について上司に意見を伝えるまでで、それが反映されるかはまた別の話でした。一方、今は自分が直接意見を発信できる立場にあるので、その内容に自分自身が納得したうえで進められる点が大きな違いだと感じています。
私のように消極的な理由からマネジャーを避けようとした経験がある方は1度フラットな視点で再考してみるのも良いきっかけになるかもしれません。プロダクトや事業の中期、長期に対して自分の意見を反映させながら前へ進めていく感覚はなかなか経験できる役割ではありません。
以上です。明日以降もDeveloper&Designer Advent Calendar 2024の記事が公開されていきます。楽しみにしていてください!
西澤 翔利 Shori Nishizawa
クライアントP&M本部 プロダクト統括部 クライアントサービス開発部 HR_forecasterエンジニアリンググループ マネジャー
2021年4月にパーソルキャリアに入社。「HR forecaster」の開発エンジニアとしてジョインし、現在はマネジャーを担当。
※2024年12月現在の情報です。