- まずは自己紹介
- 今回開発したアプリは?
- 当初どのようなアイデアがあった?
- どのような問題意識があった?
- なぜAppSheetで解決しようと思った?
- 開発過程での苦労ポイントは?
- 本アプリの限界は?
- アプリ開発を通して得たものは?
- おわりに
まずは自己紹介
みなさん、こんにちは。私たちは人事本部 戦略人事部です。普段は人事として、担当事業固有の人と組織の課題解決に邁進しています。今回は、人事本部におけるDX人材育成プログラムの一貫として、4名でGoogle AppSheetの開発に挑戦しました。以下では、そのプロセスにおいて抱いた課題意識や、開発における苦労ポイント、得た学びを共有します。些細なものでも、みなさまにとっての気づきがあれば幸いです。
※戦略人事の業務詳細が気になる方は、こちらをご参照ください。
www.talent-book.jp
今回開発したアプリは?
私たちが開発したアプリは「スキル可視化アプリ ~KAIKA~」です。このアプリには以下の4つの効果があります。次いで、その開発プロセスをご紹介いたします。
- スキルマッチングの改善
- チームビルディングと共同作業の促進
- パフォーマンス評価と成長のサポート
- ナレッジマネジメントの促進
当初どのようなアイデアがあった?
私たちは普段、戦略人事部として事業の人事課題解決に向けた仕事をしています。人事本部内でも最も事業に近い立場にいるからこそ、解決したいと思う課題のネタは多く転がっていました。
どのような問題意識があった?
多くの課題を挙げていった中で、最終的に「スキル可視化」に絞り込んだのは、以下の課題認識がメンバー内で共通していたためです。
- 自身の経験値が可視化されない
戦略人事は業務カバー範囲が非常に広く、経験年数や担当事業により経験業務にばらつきがあるが故、経験の有無が対応できる業務に影響しやすい構造がありました。また、事業固有かつ抽象的な業務が多いため、ともすると前進感を得づらいことが懸念でした。
- 誰が何に詳しいか分からない
前述の通り、業務カバー範囲の広さや担当事業の違いにより経験業務にばらつきがあるため、誰がどの業務に詳しい(経験済み)か分かりづらいことや、リモートワーク中心のため、気軽な質問や相談に工数がかかる状況でした。
- チームの採用・育成・学びの方針があいまい
チーム全体で、何が得意で、どの経験があるメンバーがいるのか可視化されないことで、人材採用の方針(どんな適性がある人を採るべきか)や、育成・学びの方針が曖昧となっていました。
なぜAppSheetで解決しようと思った?
上記の課題をAppSheetを導入することで解決しようと考えた背景は、以下の3点となります。
- 自組織から始めることができ、他組織への汎用性が高い
組織ごとに必要なスキルを設定できるようにすることで、汎用性のあるアプリにすることができます。会社全体としてリモートワークが普及する中で、同じ課題を持つ組織も多いと考えました。
- 入力情報の閲覧制御が可能
社内では頻繁にExcelが使用されていますが、人事情報を扱う際には、ファイル毎にアクセス権限を設定する必要がありました。AppSheetであれば、ユーザー毎に閲覧制御をかけることでき、メンバーは自身のスキルを認知する、マネージャーは配下メンバーのスキルを把握しながら組織編制を検討する、といったようにユーザーに応じた用途設計が可能でした。
- スキル可視化からコミュニュケーションを一気通貫で行える
サンクスポイント機能*1を付与することで、Excelでは実現できないコミュニケーション促進を果たせると考えました。
開発過程での苦労ポイントは?
私たちの狙いを実現するためには、以下5点を乗り越える必要がありました。
1.スキルマップフレームワークの作成
チームメンバーで議論し、アプリの前提となるスキルマップフレームワークを作成しました。こちらを埋めていただくことで、どの組織でも使用できるようなアプリとなっています。ポイントとしては、スキルの評点の付け方がぶれないように、経験を問うような形にしたところは、メンバーの拘りが詰まった箇所となります。
2.テーブル設計
アプリの中核を担うテーブル設計が重要でした。スキルカテゴリ、サブスキル、メンバー、保持スキル、組織などのテーブルの設計を検討しました。データの関連付けなど複雑な構造についても苦労しました。
3.動的できる要素と静的でできる要素の見極め
アプリの汎用性を高めるために、できる限り動的な要素を意識しました。組織やユーザーの追加、サブスキルの追加などは動的に対応できるようにしました。ダッシュボードの表示数やグラフの最大値は静的な要素としました。(AppSheetの仕様上、静的にせざるを得ない要素もありました・・・)
4.AppSheetで対応できる範囲の見極め
ダッシュボードのチャート表示やグラフの改善などは、AppSheetの機能アップデートを期待しています。APIの利用も検討しましたが、現時点では社内で使用できる権限がありませんでした。将来的に活用できればと思っています。
5.その他
ただのスキルマップアプリに閉じずに、コミュニケーションの一環としてサンクスポイントの付与の機能も追加してます。こちらは、マスタ画面で使用するしないを設定できるようにしております。
本アプリの限界は?
スキル可視化をあくまで「効率的に」推進するツールとなります。使用する組織に応じて、どのような目的で、どのような課題に対し、打ち手としてツールを導入するのかは、関係者で合意する必要があります。また、絶えず運用を見直す必要もあります。一度導入して終わりではなく、運用過程で出てきた課題に応じて、スキル項目やツール活用前後プロセスをアップデートすることが、効果最大化に繋がると想定しています。
アプリ開発を通して得たものは?
最後に、私たちが一連の開発を経て得た学びを共有します。今回は研修の延長としての開発となりましたが、今後の実務にも活かせる気づきを得ることができました。
- 業務プロセスを可視化し、課題を特定する重要性
普段空中戦で課題を議論することもありますが、事象のプロセス/フローをfactで捉え、どこをツールで置き換えると課題解決に繋がるかを考える必要がありました。
- 人材アセスメントの奥深さ
スキル項目は詳細化すれば運用が複雑になり、簡易すぎると必要な人材群に分けられないという、トレードオフが存在しました。組織固有の課題に応じて、どの粒度でアセスメントを実行すべきかは、スキル可視化における奥深さの1つであると実感しました。
- 四人寄れば、文殊の知恵
今回、普段業務上で繋がりが薄いメンバーでチームを組成した。担当業務が異なることで、同じ事象に対する捉え方も異なっており、課題解決に向けて協業する面白味を感じました。
おわりに
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
アドベントカレンダー15日目はスキル可視化ツールを開発しました!
次回は氏兼さんにバトンタッチしようと思います!引き続き人事によるGoogle AppSheetのアドベントカレンダーは続くのでぜひご笑覧くださいませ!
nekobass
人事本部 HRBP統括部 戦略人事部 第1グループ メンバー
戦略人事所属のHRBP。銀行→人材ベンチャーを経てパーソルキャリアに入社。キャリアアドバイザーおよびキャリアアドバイザーのトレーナーを経験した後、現在は主に新卒事業と、パーソルキャリアのミドル・バック系企画組織の組織・人材開発に携わる。
ちょうせいeeeee!
人事本部 HRBP統括部 戦略人事部 第2グループ メンバー
前職ではWeb系のエンジニアやプロジェクトマネージャーとして働きながら、人事の立場でも採用や人材・組織開発に関わりました。パーソルキャリアには2023年7月に入社し、現在は戦略人事の一員としてHRBPとして活動しています。パーソルキャリア内ではまだまだDX化が進んでいない状況である点と、人事DXに強く魅了され、このプロジェクトに参加しました。
やぶき
人事本部 HRBP統括部 戦略人事部 第1グループ アシスタントマネジャー
生命保険会社で営業企画→パーソルキャリアでキャリアアドバイザーを経験後、現部署にてHRBPを担当。(営業系事業部担当)
かとりょー
人事本部 HRBP統括部 戦略人事部 第1グループ メンバー
2015年4月に新卒でパーソルキャリア入社。製造業領域のリクルーティングアドバイザー、キャリアアドバイザーを経験後、現在はHRBPとしてdoda系事業を担当。
※2024年3月現在の情報です。
*1:他メンバーの得意領域を確認した後、相談をしたことに対する感謝を示す機能として搭載を検討した。