ワーキングマザーにとってのキャリアオーナーシップとは(WSまとめ)

ワーキングマザーにとってのキャリアオーナーシップとは

こんにちは。パーソルキャリアでサービスデザイナーをしている櫻井です。

自分自身の原体験から、キャリアオーナーシップについてさらに深く考え、はたらくをデザインすることにつなげていきたいと思い、自主テーマを設定し、ワーキングマザーたちとワークショップを開催しました。ワークショップ開催に至るまでのプロセスは、前回の記事に書きましたので、ご覧ください。

今回の記事では、ワークショップの実施とそのまとめについて共有させて頂きます。

※本記事はワークショップ参加者の方にも同意を得て掲載しています。

 

”私にとっての”キャリアオーナーシップを見つめなおす――

ワークショップ(以下、WS)では育休中〜復職済みのワーキングマザー8名の方に参加頂き、全体の目的を2つに絞り、進めました。

  • 個人ワークを通じて内省を促すこと
  • ディスカッションで他者との違いを意識してキャリアについて自分が大事にしたい価値観とは何かを可視化すること

流れは、以下の通りです。

 

Work1 | 自分にとってのキャリアオーナシップがある状態、ない状態とは

個人Work1ではキャリアオーナーシップある/ない状態を、主観で書き出してもらいました。

ある状態としては、周りの価値観や世間の情報を基準にせず、自分の欲求を大切にして行動することを信念とした「自分軸」がキーワードになっていました。環境との調和が取れていることや、強みを生かして自己実現できていることなどが挙げられ、それらの結果として、日々の充実やワクワク、安定感があることなどもわかってきたように思います。

 

一方で、ない状態としては、外的要因に振り回される、自己決定感がない、見通しが立っていない、など自分の意思と現実が反している状態が挙げられ、それらの結果として、心理的な余裕がないことや、不安、イライラ、などがありました。

共有のディスカッションの会では、個人のキャリアオーナーシップのある/ない状態を発表しながらも、共感を生むシーンが多く、総じて未来起点で考え、かつ自分軸を持っていられるか、ということを重視している意見が多かったように思います。

育休中の参加者も多かったので、目線が中長期的になっていたことや、現職に対して客観視している方も多かったことも要因かと思いますが、特にワーキングマザー界隈では「自分軸」をいかに持つかをテーマにした題材も最近多いことも影響しているのかな、と感じました。

 

Work2 | キャリアオーナーシップ5つの中心概念を用いて可視化

個人work2では、キャリアオーナーシップリビングラボが提示している、キャリアオーナーシップ5つの中心概念を用いて、各自でキャリアオーナーシップ実現度を自己評価してもらいました。

 

5つの中心概念はそれぞれ以下のように定義されています。

  1. 軸を起点にありたい自分の生き方を構想する
    自分らしく生きるための軸を持つ / 未来起点でキャリアを設計する
  2. 自己を理解し、仕事を通して自己実現・表現する
    仕事を通して自己実現する / 個性を理解し自己を表現する / 挑戦することで未来を切り開く
  3. 心の内側にある好奇心やモチベーションを起点に行動する
    モチベーションを維持する / 精神エネルギーや好奇心を大切にする
  4. 新しいものを受容し、自己変容を積み重ねる
    学びを積み重ねる / 新しいものを受け止める
  5. 自分自身・周囲と調和し、好循環を生み出す
    循環を促し自分自身を整える / 会社や環境と調和する

大きな5つの概念の中に下位概念が2~3つ含まれるため、今回は下位概念において自己評価をして頂きましたが、結果としては、大きな傾向まではみられず、それぞれの項目については各個人の状況によって実現度はさまざまでした。

ディスカッションでは、参加者の現状と合わせて色々な観点で自己評価されており、このような声が上がっていました。

「自己実現と働きやすさの両立って悩ましい」

「自分のやりたいことを模索すべきなのか、今あるものを楽しむ努力をすべきなのか」

「現状と理想のギャップをどのように埋めていくのか、それを埋めようとするには現実的な問題が立ちはだかる」

一方で、今後自身が重視したい項目を3つ選んでもらったところ、8人中6人が「仕事を通して自己実現する」を、8人中5人が「未来起点でキャリアを設計する」「自分らしく生きるための軸を持つ」を重視していました。

これらは、Work1で内省を深めたことでキャリアに対する考え方が整理されたことで、自己実現にも目を向けられるようになったという変化だと感じました。

「自己理解したら自己実現ですね」というコメントもあり、育休中に自己理解を深めて復職後に自己実現していきたいと考える方が多いのだなあと、意識の高さ(というと語弊がありそうですが、いい意味で)を感じました。

 

Work3 | これまでのキャリア観を振り返ろう

Work3、4ではライフチャートを描いてもらい、ディスカッションで共有してもらいました。それぞれの人生観、キャリア観を聞くだけでもお互いにとても刺激になり、励まされるものでした。時間の都合で共有がメインとなりディスカッションがあまりできなかったのが残念ですが、ライフイベントやキャリアの変化で、なぜそのような判断をしたのか、どういったきっかけで変わったのかなど、その人の人生経験に触れる話もできたことはよかったなと思います。

それぞれのライフチャート全体を眺めて興味深かった点としては、自己効力感の変化とキャリア観の変化が連動することが多かったことです。

特に自己効力感が落ち込む時期には、キャリア観の変化、または変えざるを得ない状況にあることが多く、転職や異動、出産など環境の変化がそれらのきっかけになっていることが多かったです。

環境の変化によって、仕事を通じた自己効力感が低くなったときに、自分のキャリア観と向き合い(もちろん、実際はそんなに綺麗なものではなく、足掻いて悩んで、へこんで…の連続だとは思いますが)、キャリア観を更新してきた経緯が参加者みなさんのライフチャートから感じられ、それだけで勇気をもらうな、と感じられた時間でした。

 

今回の取り組みを通して

今回一番印象に残ったのは、「今の私にとってはキャリア=こどもの成長だなぁと思う。」と改めて感じられた方がいたことです。

キャリアに悩む中で、キャリアカウンセリングの資格の取得をした方は、広義の意味でのキャリアは仕事だけではなく人生そのものだと知り、子育てもキャリアと捉えられるようになったという話をしてくれました。

他の参加メンバーからも「今は子育てを優先する、と自分で納得してコントロールできているのもキャリアオーナーシップがある状態だね」という意見もありました。

広義の「キャリア」とした時に、自分自身が「キャリア」をどう捉えるかは本人次第であることや、その意志と環境の方向性がどれだけ合致しているか、その意志の方向性(自分軸)がどれだけ明確になっているか、が我々子育て真っ只中のワーママにとって大事なんだなと、改めて感じました。

 

また、キャリアオーナーシップがある/ない状態を書き出した時に、要因と結果に大きく分類され、要因についてはより解像度をあげることで、「どうすればより、ある状態が維持できるのか」というより踏み込んだ理解ができるのではないかと感じました。

今後の取り組みとしては、キャリアオーナーシップがある/ない状態を左右する要因や、それらを内部要因(自分自身)と外部要因の観点で分析することで、具体的なアクションの方向性が見えるような取り組みをしていきたいなと思っています。

 

キャリアオーナーシップを育む社会を創っていくことに興味のある方、ワーキングマザーやワーキングファザーの「はたらく」や「キャリア」に少しでも興味ある方は、ぜひ一度パーソルキャリアにお声かけください!

 

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 サービスデザイン第2グループ ディレクター 櫻井 乃梨子の写真



櫻井 乃梨子 Noriko Sakurai

エンジニアリング統括部 UXデザイン部 サービスデザイン第2グループ ディレクター

2021年9月パーソルキャリア入社。新卒ではメーカー知財に入るが、人間中心のプロダクト開発がしたく、育休、海外駐在でキャリアが途切れながらもデザインベンチャーにてUXデザイナーへキャリアチェンジ。フリーランスなどを経て現職。家族や子育てなどのライフイベントの中でもキャリアオーナーシップが持てる人を増やすサービス創出したい3児の母。

※2022年6月現在の情報です。