UXリサーチを起点に、パーソルキャリアを次のステージへ。キーワードは「リサーチの民主化」

これまでtechtektでもご紹介してきましたが、パーソルキャリアにはUXリサーチを専門に扱うチームがあり、新規事業から既存事業まで幅広いサービスのUXリサーチを担っています。

 

今回は、UXリサーチの役割やチームの展望について、リードUXリサーチャーである金に話を聞きました。そこには目先の効率化だけでなく、UXリサーチをパーソルキャリアの新たな強みにしたいという想いが見えてきました——

 

UXリサーチは事業を前に進めるための必要条件

――まず、金さんの経歴や、役割について教えてください。

SIer・コンサルティングファームなどを経験し、メーカーの新規事業開発室にてPMとして活動をしてきました。新規事業立ち上げや、アプリのUXデザインを行う中で、徐々にUXリサーチを専門として仕事にしていきたいと考え、パーソルキャリアへと転職しました。
パーソルキャリアでは、UXリサーチチームのリードとして、新規事業のUXリサーチから、リサーチ組織づくり、メンバーの育成まで幅広く行なっています。

 

――パーソルキャリアで、UXリサーチに取り組む意義はどんな部分なんでしょうか?

パーソルキャリアでは、「doda」を中心とした既存事業はもちろん、新規サービス事業も進めるなどさまざまなチャレンジをしています。スピード感も求められる中で、「誰に向けたサービスなのか?」を、正しく見極めることは非常に重要です。
仮説を仮説のままにせず、顧客が求めているものをしっかり把握することで、パーソルキャリアにしか提供できない価値を提供していけると考えています。
そのため、新しいチャレンジを続けるパーソルキャリアにとって、UXリサーチは(十分条件ではなく)必要条件だと捉え、日々リサーチ活動を行っています。

 

 

さらなる事業貢献のために、スピーディな分析や、過去のリサーチの活用が必要に

――UXリサーチャーとして、直近はどのようなことに取り組んでいますか?

直近では、分析の効率化やデータ管理のしやすさに取り組んでいます。
これまで、過去のリサーチデータが整備されていない状況でした。分析に使われた大量のホワイトボードツールのファイルはあるものの、当事者しか内容や背景が分からず、リサーチに対する振り返りも情報共有もしづらい状況でした。
また、分析にも時間がかかっており、特に新規事業などでは、スピーディに検証を進めたいので、分析を効率化する必要がありました。

そこで、分析の効率化やデータ管理のしやすさを実現するために、ユーザーインサイト管理ツールCentouの導入もスタートしました。

 

 

Centouを活用し、過去データの蓄積と分析の効率化を実

――UXリサーチの活動には、ユーザーインタビューなどを実施する「実査」と言われるフェーズ以外にも、さまざまなフェーズがありますが、現状はどのようなプロセスでリサーチを行っていますか?

 

これまでリサーチは以下のようなステップで行っていました。

  • 設計
  • 実査
  • 一次分析(ファクトの洗い出し)
  • 統合分析(インサイトの抽出)
  • レポーティング(事業部への共有)

現状では、各事業部からの依頼(案件)を受けてリサーチを実施し、1つの案件でおよそ5〜20人程度のユーザーインタビューなどを実施しています。
これまで、一次分析や統合分析といった分析フェーズに多くの時間を要していたのですが、Centouの導入によって半分以上も短縮されました。

また、リサーチ結果の共有についても、これまではプレゼンテーションツールでまとめたり、ホワイトボードツールでまとめたり、プロジェクトによって共有方法がバラバラでした...。
Centouを使うことによって、インサイトから根拠となる調査データまで、一貫して見られるので、リサーチ結果の共有もしやすくなりました。

――特にこれまでとの変化を実感したタイミングはありましたか?

ある時、新規事業のリサーチ案件を進めている時、スケジュールの都合上、1週間で実査からレポーティングまでを行う必要がありました。
そんな時にCentouを利用して、分析から共有を進め、無事に1週間でレポーティングまでを終えることができたのです。

これは今までの分析フローやツールだったらできなかったことだなと実感しました。

 

 

目指すはリサーチの民主化、リサーチチームは次のステージへ

――分析の効率化やデータの一元管理に取り組んでいる最中だと思いますが、今後はどんな展望を描いていますか?

一言で言うと、リサーチの民主化をしていきたいと考えています。

現状だと、まだまだ仮説のみで進んでしまう施策もあったり、利用シーンやユーザーを捉えきれていない場面もあります。

プロダクト開発や事業づくりにおいて、当たり前のようにユーザー調査がされていくように、組織全体の基準を高めていく必要があると感じています。

そのためには、リサーチ結果を必要な時に取り出せるようになったり、分析プロセスを標準化していくことが重要です。リサーチの結果だけではなく、プロセスも含めてオープンにしていくことが、リサーチの民主化だと考えています。

 

――リサーチの民主化の先に、どんなビジョンを描いていますか?

ユーザーのことを深く理解することによって、パーソルキャリアでしか出せない価値を提供したいと考えています。競合調査ももちろん重要ですが、ユーザーにとって真に価値があるものを提供することで、さらなる事業成長を実現できると期待しています。

今も絶賛模索中ですが、チーム一丸となって、UXリサーチがパーソルキャリアの強みとなるように進んでいきたいです。

 



 

金 厘慧 Rie Kin

テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部 UXリサーチ第2グループ リードディレクター

2023年2月、パーソルキャリアに入社。複数プロダクトにおけるリサーチリードやメンバ育成、リサーチ組織開発に従事。 副業でもUXリサーチ・UXデザインの支援を実施中。最近はほぼリモートワークのため移住先候補を探して遊びに行くことにハマっている。

※ 2024年2月現在の情報です。