【ミイダス×パーソルキャリア 対談】変わりゆくインフラ環境を共に考える #インフラトーク Vol.1

ミイダス株式会社大谷様、パーソルキャリア月島と小川の写真

これまでtechtektでは、パーソルキャリアのオンプレミス環境やクラウド移行、AWSでの技術発信など、インフラ環境についてさまざまなテーマでお伝えしてきましたが、本日から新シリーズがスタート。「#インフラトーク」として、時代によって変わりゆくインフラ環境について、ゲストをお招きして一緒に考えていきます。

第一回となる今回は、転職アプリ “ミイダス” を運営する、パーソルグループのミイダス株式会社 CTO・大谷様にお話を伺いました。聞き手は、パーソルキャリアでAWS推進グループを率いる月島と、デジタルテクノロジー統括部 インフラエンジニアの小川が担います。

 

 

厚みのある組織体制で、サービス検討やシステム構築、トラブルシュートまで幅広く対応できるインフラチームに


月島:本日はお忙しいなかお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、まずはミイダス社の現在のインフラ環境と、それにまつわる組織体制から教えてください。

 

大谷:現在はほぼ全てのサービス運用をAWSでやっています。リリース当初は、グループ会社で採用実績のあった国内事業者のクラウドを利用していましたが、リリース2年後あたりから少しずつAWSを使いはじめました。そこから2年くらいかけて全面的にインフラ環境を移行しています。

関連する組織体制としては、インフラエンジニアが7名在籍しています。一般的にワンサービスで7名体制というと少し多いくらいかなとは思いますが……この充実した体制を強みに、社内システムや関連サービスなど新しいものを作る過程で、初期からインフラメンバーが入って一緒にサービスや最適な構成を考えていく文化が根付いているのが特徴ですね。

 

月島:ありがとうございます。それぞれ詳しく伺っていきたいのですが、まずは2年ほどかけてインフラ環境をリニューアルされたということで、どのような形で移行を進められたのかお聞かせいただけますか?

ミイダス株式会社 CTO 大谷 祐司 氏の写真

ミイダス株式会社 CTO 大谷 祐司 氏

大谷:移行作業は他のタスクと並行して行うので、すでにボトルネックがある部分以外はロードマップを引いたり専任を割り当てたりせず、エンジニアリソース状況とタイミングを見ながら臨機応変に進めてきました。

基本的には機能単位で移行しますが、メインのアプリケーションサーバーの切り替えやデータベースのデータ移管など大きなものは、適切なタイミングでメンテナンスをして一斉に切り替えることを繰り返しています。

 

月島:そうなんですね。移行を完了することよりは事業や機能を改善していくことの方を優先する、という考え方はパーソルキャリアで同様の移行をする場合にも共通しそうです。体制としては、保守運用まわりも社内でやられているのでしょうか?

 

大谷:設計を含め、運用まわりのオペレーションから休日・夜間の障害対応まで、全て社内で行っています。

 

月島:素晴らしいですね。インフラエンジニア7名の中で、開発 / 保守など担当は分けられていますか?

 

大谷:誰が保守運用で誰が新規開発で、と明確には分けていません。基本的にサービスには専任がついてチームメンバーと一緒になって取り組んでいますが、タスクが少ない時にはプラスアルファで、インフラのコード化など腰を据えてじっくり取り組む必要があることをバランスを取りながら進めています。 

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー 月島 学の写真

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー 月島 学

月島:レイヤーで分かれているだけで、その中ではタスクの優先度を判断しながら開発もするし、保守運用も改善もするという形なのですね。インフラエンジニアの担当領域としては、どの範囲までやられることが多いのでしょうか。

 

大谷:一般的なインフラエンジニアよりは、管轄範囲がかなり広いと思っています。例えば、新規サービスを作る時にバッチのスケジューリング設計をしたり、負荷が高い処理のコンテナ分割の方針を一緒に考えてその構築を担ったりと、アプリケーション寄りの話をする人もいます。一方で、CloudFormationを使って何かあった時すぐに同じ環境を作れるよう取り組む人もいるなど、タスクはさまざまですね。

 

小川:アプリケーションとインフラで明確に担当領域が分かれていると「ミドルウェアをどちらが担うのか」「うまく動かなくなった時の責任の所在」などの難しさがある、というのはよく耳にする話かと思いますが……その辺りはどのように捉えていますか?

 

大谷:ミドルウェアについては、バッチが正常に動かない際の検証などトラブルシュートも含めて、構築は完全にインフラが担っています。アプリケーションエンジニアは、基本的にはビジネスロジックやアプリケーションを作ることに集中してほしいという思想で今はやっていますね。

確かに担当領域の棲み分けによる難しさもあるとは思いますが、うちはとにかくフットワークが軽い人が多く、またインフラチームの「自分たちがシステムを守るんだ」という思いが強いので、アプリケーション側のエラーも含めて「ここがおかしいんじゃないか」「こうすればいいんじゃないか」と積極的に関わっていくチームになっているのかなと思います。

 

小川:セキュリティについてもお聞かせください。パーソルグループとしてのセキュリティは、基本的には個人情報保護の観点を軸としたものになるかと思いますが、サイバーセキュリティについてはどのように担保されているのでしょうか。

 

大谷:ミイダスでは独自で社内ネットワークを作っていて、グループ会社のネットワーク上には乗っていないので、その環境の中で安全な運用ができるようにリモートデータ消去ツールを入れるなどの対策を行っています。

また本番サーバーやサービス自体のセキュリティについては、アクセスできる人を制限したりAWSにファイアウォールを設けたりという対策は行っていますが、内部においてはできる限り性善説を前提にしています。組織として皆がやるべきことをしっかりやっていると思っていますし、個人情報を大切に守る義務があるのは当然のことながら、データの重要性によってコントラストをつけてルール作りをする必要があるという考え方ですね。

 

最短で最大の効果を生み出すために--サービス視点を持ち合わせたエンジニア組織運営を目指す

月島:続いて、少し視野を広げて組織としてのお話を伺っていきます。インフラにおける組織運営や意思決定については、どのように行われているのでしょうか。企画メンバーや事業責任者、経営陣などが関わってくる場面などもあれば教えてください。

 

大谷:あらかじめ「前年比何%くらい」という形でざっくりとした予算計画を決めていて、その予算内のものごとであれば完全にシステムチーム内で進めています。

開発面では基本的にインフラチームの統括がイニシアティブを持って進めていきますが、より大きな投資計画やセキュリティの意思決定などになると、私を含めた技術組織を運営するメンバー3名も一緒になって決定を下すことがあります。

 

月島:大まかなところは経営陣と握り、詳細は予算内であれば内部的に決済して進める、となるとプロジェクトもスピード感を持って進められそうでいいですね。

 

大谷:そうですね。また、例えば今コンテナ化を進めていますが、コンテナ化が想定よりもコスト削減にならず、むしろ高くなってしまう部分もあるんですよね。こうした場合に、コストだけを見ているとやらない判断になってしまうところを、「チャレンジする組織を作るという視点では、世の中のトレンドを取り入れてやった方がいいよね」「将来スタンダードになる技術だから、一時的にコストが跳ね上がったとしてもやっておくべき」などの判断ができるのも、現役技術者が意思決定をしているからこそかなと思います。

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ シニアエンジニア 小川 由輝の写真

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ シニアエンジニア 小川 由輝

小川:このお話、聞けてよかったです。やはり現場でも、「今流行りのコンテナ管理基盤をとりあえず使ってみよう」→「当然サーバーの台数は増えるので、コストが上がってしまう」→「もとに戻そうか」ということが往々にしてあるので。

 

月島:もちろん管理的な面でも、定期的なアップデートへの追従や運用体制の構築などコストはかかりますが、それでもコストの最適化以外に得られるものをしっかりと考えることや、実際にやってみなければ分からないポイントを探ることが必要なのかもしれませんね。

 

大谷:また逆に、意思決定を技術者が行うことで、ブロックもしっかりできるかなと思っています。例えば、これは「サービスにとって良いから使いたい」ではなくて「試してみたいから使う」と言っているよね、というのももちろん分かります。またスケジュールを見て「これは実際にテストをしないと運用には乗せられないから、テストの期間も見込んだスケジュールにしないと」「〇〇が起きた時のチェックの仕組みはどうする?」など、実際に運用してバリューにするために必要なことを分解して考えることもできます。リスクをきちんと潰した上で、チャレンジしようという判断ができると思います。

月島:今の組織におけるKPT(Keep, Problem, Try)についてもお聞きできればと思うのですが、いかがですか?

 

大谷:Keepとしては、積極的に技術でチャレンジしていこうという文化があります。現状維持でいいやと思った瞬間に進化が止まってしまうと思うので、インフラもアプリケーションもとにかくいい方向にどんどん進化させていきたいと思っています。そのために問題が起きることもあるかもしれませんが、それを責めるよりもチャレンジを推進していこうという風土を作るよう意識しているので、それは維持していきたいですね。 

Problemは、最適な優先順位をつけて開発を進めることです。やりたいことがたくさんある中で、どう優先度を見極めてリソースや工数を配分すれば、最短で最大の効果を出し、また技術者も楽しくやれるのかという点は、まだ分からない部分が多いですし、時間を割かずにその優先度を測っていく必要もありますから。この点は、技術組織のリーダー陣でも課題として話し合っているところですね。

Tryとしては、開発サイドの持つ領域をもっと広げていきたいと思っています。例えば、いまエンジニアの起案で新規サービスを立ち上げたりしていて、そういった例も増えていけばいいと思いますし、またサービスや市場の視点を持って「どうすればイケてるプロダクトになるのか」を考えられるエンジニア組織にしていけたら嬉しいです。

 

月島:やはりエンジニアがサービスの視点を持つことで、技術的にやれることの幅が広がる、ビジネスに深みが出る、という狙いがあるのでしょうか。


大谷:そうですね。ただ開発するのではなく、最短で最も効果が高いものを生み出す方法をエンジニア自身が考えて動くことで、例えば「これをこう変えると工数を減らせる」といった提案もできるようになっていくはずです。そこを目指したいですね。

 

次々に登場する新しい技術を、どのように取り入れるか

 

月島:ここからは、「これからの技術をどのように取り入れるか」をテーマにお話を伺えればと思います。新たな技術を取り入れる際には当然リスクもありますが、ミイダス社としてはその判断をどうすべきと捉えられていますか?

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大谷:ある程度リスクやコストが高くとも積極的にチャレンジすべきだと考えています。やはり一定以上の組織規模になると、意図的に変化を起こさないと「今のままでいいよね」となってしまいがちですし、そうして新しいものを取り入れる組織文化が育たなければ、将来舵を切りたいときに置いていかれる状況になりかねません。チャレンジできない組織になってしまうリスクもありますよね。

ただ、組織やサービスのフェーズによって「やりたい」と「やるべき」があって、そのバランスをとっていくことは求められると思います。「やりたい」をできない組織だと人が離れてしまいますし、今言ったように挑戦する文化も育たない。逆に「やりたい」ばかりを優先させてしまうと、ビジネスが前に進まなかったり、価値のないことに時間を使ってしまうことにもなりかねない。このバランスをみて適切にコントロールすることが、技術組織のトップの役割であり、価値なのかなと思いますね。

 

月島:ミイダス社の場合は、そういった判断やコントロールを理解のある現役技術者がされている、というところも大きいのかもしれませんね。

 

大谷:パーソルキャリアさんは、規模が大きな組織でありながらチャレンジを推進されている印象がありますが、新しい技術についてはどのように考えられていますか?

 

月島:全社的にエンジニアの採用を積極的に進めていて、その背景には「もっと技術的な部分を進化させていかなければいけない」「継続的に新たなものを取り入れていかなければいけない」という経営陣の判断があるのだと認識しています。また「現状をよくしよう」「新しいものを取り入れよう」と考えて発言しているエンジニアもいますし、動き出しているプロジェクトもあるので、全体としてそういった方向性で動いています。

ただ現状エンジニア組織はさまざまな領域に分かれて、各領域で体制が最適化されている状態なので、今後さらに一枚岩となって動いていく必要があると思っています。

 

小川:現場でも、それぞれのチームや部署、立ち位置による意識のギャップが埋めきれていないな、というのは感じています。やはり「新しいことをしなきゃ」と思っている人がいる一方で、サービスの現状を維持するのがベストだという方もいらっしゃいます。

今日大谷さんのお話を伺って、チャレンジしないといずれ取り残されるということを考えると、今まさに動かなければいけないフェーズに直面しているなとより感じました。

 

月島:組織によってそれぞれ特性や特徴が異なる中で、やはり他の組織の話を聞くのは勉強になりますし、純粋に刺激になりますね。同じグループ内でテクノロジーを推進されている様子を伺って、私たちもテクノロジー、エジニアドリブンでやれる環境をさらに実現していきたいなと改めて感じました。

それでは最後に、お二人からも感想をいただいて今回の「#インフラトーク」を締めたいと思います。

 

小川:パーソルキャリアに入社して二年半ほど経ちますが、すでに感覚が社内の文化に染まっている部分もあり、こうして改めて他の現場の話を聞くとためになるなと感じます。本日はありがとうございました。

 

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大谷:私もやはり、規模も組織体制も違う組織・違うサービスの話を聞くのは刺激になって楽しかったです。

また、グループにはテクノロジー推進をしている組織もたくさんありますし、プロダクトの視点からも生の声を聞くことでシナジーも生まれてくると思うので、もっとお互いに連携していきたいなと思いました。企業・サービスのフェーズや規模、やっていることによって適した判断も違ってくると思うので、さまざまなお話を聞く機会を設けて、多角的な情報や判断軸をもとに各社がより良い意思決定をしていけるようになったらいいなと思います。


月島:本日は、ありがとうございました!

 

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大谷 祐司 Yuji Otani

ミイダス株式会社 CTO

サイバーエージェントのネット広告部門で開発組織を立ち上げたのち、2013年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。マーケティング部門のDXを推進したのち、新規事業としてスタートしたミイダスの立ち上げに参画。その後2017年よりスタートアップ2社でCTOを経験したのち、2020年に再びミイダスにジョイン。

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー 月島 学の写真



月島 学 Manabu Tsukishima

インフラ基盤統括部 システム共通BITA部 AWS推進グループ マネジャー

PCメーカーに新卒入社。その後、SIerを経て、自動車流通企業にてインフラ組織のマネジメントを経験。2011年よりAWSを中心に自社とグループ会社のクラウド化の推進や、データセンターの撤廃にプロジェクトマネージャーとして従事。2019年、パーソルキャリアに入社。現在はAWSを活用したクラウド環境の整備、移行推進を担当している。

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小川 由輝 Yoshiteru Ogawa

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ シニアエンジニア

専門学校卒業後、電気工事士として約7年間半従事。 その後キャリアチェンジし、SIer、事業会社での情シス、インフラエンジニアを経て、2018年パーソルキャリアに入社。現在は、Webアプリケーション開発、担当案件のインフラ設計・構築・運用保守を担当。

※2021年8月現在の情報です。

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