プロダクトゴールについて考える #techtekt Advent Calendar 2021

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このエントリは、techtekt アドベントカレンダー 2021 の17日目です🎄
こんにちは。テクノロジー本部エンジニアリング統括サービス開発部でスクラムマスターをしています佐藤です。
私が所属しているプロジェクトでスクラム開発を行っております。
様々な事情からピポットを考えているような状態で、プロダクトゴールの再設定が必要なタイミングです。
なんでプロダクトゴールが必要であるか、どのようなものであればよいのか再度考え直し、さらに、プロダクトゴールを起点にスクラムを考えてみます。

 

プロダクトゴールとは

そもそもプロダクトゴールとはどのようなものでしょうか。
スクラムガイドによると以下のような記載になっています。

プロダクトゴールは、プロダクトの将来の状態を表している。それがスクラムチームの計画のターゲットになる。プロダクトゴールはプロダクトバックログに含まれる。プロダクトバックログの残りの部分は、プロダクトゴールを達成する「何か(what)」を定義するものである。

プロダクトとは価値を提供する⼿段である。プロダクトは、明確な境界、既知のステークホルダー、明確に定義されたユーザーや顧客を持っている。プロダクトは、サービスや物理的な製品である場合もあれば、より抽象的なものの場合もある。

プロダクトゴールは、スクラムチームの⻑期的な⽬標である。次の⽬標に移る前に、スクラムチームはひとつの⽬標を達成(または放棄)しなければならない。

スクラムガイド p12 確約(コミットメント):プロダクトゴールから引用

 

一言でまとめると、将来どのような価値をどのユーザーに対して届けるかです。
これはスクラムチームの長期的な唯一の目標となります。

 

なぜ必要か

スクラムでは、スプリントの中で「透明性」を担保し「検査」、「適応」を行い、スプリントゴールを達成します。
スプリント毎に最初に作成されるスプリントゴールは、プロダクトゴールを達するためにスクラムチームは何を検証・学習するかを決めることです。
つまり、スプリントゴールがあるおかげでスプリントごとに現在地を確認することができ、どこに向かって進んでいくべきかが判断できるようになります。
逆にプロダクトゴールがなければ、何をスクラムチームが何を学習するかがわからなくなってしまい、漠然と顧客満足度を上げるための局所最適化を行ってしまいます。

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私達はビジネスをしている

私達はビジネスでプロダクト開発を行っています。顧客を満足させるとともに、私達の所属する会社も満足しなければなりません。
プロダクトゴールを作る過程で、プロダクトオーナーは所属する会社がいかに利益や経営資源を増やすかも一緒に考える必要があります。
重要なのは顧客満足・会社の満足両方を考えることです。

 

透明性の担保

プロダクトゴールは長期的な目標になり、スクラムチームが向かっていく目的地点です。
よって、スクラムチームはしっかりと理解し腹落ちさせておく必要があります。
そのため、プロダクトオーナーは、なぜそのターゲットにしたのか(why)、どのような価値を届けたいのかは(what)、なぜそれに決定したをスクラムチームに説明できることが必要です。
また、プロダクトゴールは次の目標に移るまでに達成、もしくは破棄されなければなりません。
つまり、変更が効きにくいものなので、スプリントを回し始める前に、徹底的に検証され、確度の高いプロダクトゴールで有るべきです。
これを達成するにはプロダクトオーナー1人では難しいと思います。開発者(UX/UIの専門家、エンジニア、マーケター)の力を借りなければなりません。

 

透明性と確度を担保するには

最終決定はプロダクトオーナーが行いますが、スクラムチームに材料を出してもらうと良いでしょう。
プロダクト戦略を作る上で市場の調査や、顧客の調査、競合調査や実現することが出来るかなど様々調べることがあります。
プロダクトオーナーは仮説を考え、スクラムチームはその妥当性を担保するために協力してあげましょう。

 

プロダクトゴールの将来は3ヶ月後ぐらいが良さそう

プロダクトゴールの期間が長いと市場や顧客、ビジネスの状況が変わっている場合があります。
1年後の将来のプロダクトゴールを考えたところで変わっているのでムダです。
また、3ヶ月では作れないということを言われるかもしれません。
そのように考えるのではなく、3ヶ月で作れるものを作るのが大事です。
期間と予算を固定し解決すべき課題のスコープで調整するように考えましょう。
自ずと必要最低限の機能になっていくはずです。

 

プロダクトゴールはどのような形で表現されるべきか?

将来どのような価値をどのユーザーに対して届けるかを明確に伝えればどんな形でも問題ないです。
ただし、スクラムチーム全員が理解しておく必要があるので、短くわかりやすいほうが良いかと思います。

一例としてはエレベーターピッチのような形が良いかと思います。
エレベーターピッチとは以下のようなフォーマットで表されます。

 

「顧客課題や機会」したい、
「ターゲット」向けの、
「プロダクト名」というプロダクトは、
「プロダクトのカテゴリー」である。
これは「メリットと退会に見合う理由」でき、
「競合プロダクト」とは違って、
「差別化の特徴」が備わっている

 

スクラムはどの範囲で役に立つか?

スクラムはプロダクトゴールに適応していきます。
なので、プロダクト開発における更にその上流のプロダクト戦略や問題の発見などは含まれません。
プロダクトゴールを作るため必要なターゲティングや問題の発見などは、STP分析、デザイン思考やリーンなどを使用して決めることによって、顧客満足につながらないものを作らないようにする確立は上がると思います。

 

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スタートアップの失敗する理由の35%は顧客にニーズがなかったことです。
上流でしっかりと顧客の学習をしておくと成功するべきでしょう。

※スタートアップが失敗する理由についてはThe Top 12 Reasons Startups Failから引用

 

まとめ

- 顧客とビジネスを意識してサービスを考える
- プロダクトゴールについても透明性を担保する
- プロダクトゴールの将来は3ヶ月ぐらいにする
- プロダクトゴールは将来どのような価値をどのユーザーに対して届けるかを表現する
- プロダクトゴール前の工程は念入りに検証する

 

 

エンジニアリング統括部 サービス開発部 リードエンジニア 佐藤 宏樹の写真



佐藤 宏樹 Hiroki Sato

エンジニアリング統括部 サービス開発部 リードエンジニア

新卒でSIerへ入社。Web系エンジニアとしてJavaを使用し、BtoC系サービスのフロントエンド、バックエンドを担当。自身でプロジェクトを選択できるなど自己実現性に魅力を感じパーソルテクノロジースタッフ(インテリジェンス)に2017年入社。約2年間BtoC系サービスのiOSアプリエンジニアとして大手事業会社のサービス開発プロジェクトに携わる。さらに事業にコミットできる環境に移りたいと考え、キャリアチャレンジ制度で2019年10月にパーソルキャリア入社。

 

※2021年12月現在の情報です。