この記事は、doda Developer Group Advent Calendar 2024の23日目の記事としてお届けします。
こんにちは。パーソルキャリア株式会社の黒田等です。
2年前に入社してから、主にCRM(Customer Relationship Management)に関わる開発を推進しています。企画の方々と協力し、dodaをご利用いただいている個人ユーザーに向けた適切なアプローチを日々検討しています。
今回は、CRMという領域で欠かせないメールアドレスについてお話ししたいと思います。
その前に、突然ですが問題です。
以下のメールアドレスにメールを送信した場合、宛先は別々になると思いますか?
- hoge.hoge@gmail.com
- HOGEHOGE+123@gmail.com
(答えは記事の後半で)
この記事を読んで得られる知見
- メールアドレスで使える文字の世界標準(RFC)
- RFCで定義されているメールアドレスの構造
- メールサーバにおけるメールアドレスの扱い
- メールアドレスのエイリアス
メールアドレスで使える文字の世界標準
メールは主にSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)というプロトコルを使って送受信が行われています。
プロトコルとは、コンピュータでデータをやりとりするために定められた手順や規約を意味しています。
SMTPは世界標準として、RFC 5321という文書で定義されています。
RFC 5321: Simple Mail Transfer Protocol (SMTP) - メールの送信プロトコル。
そもそもRFCとは
RFC(Request for Comments)は、インターネットやその他のネットワーク技術に関する技術仕様や標準を定義する文書です。
RFCは、インターネット技術タスクフォース(IETF)によって発行され、インターネットのプロトコルや手順、サービス、概念などを詳細に説明しています。
RFCは公開されており、誰でもアクセスして読むことができます。
メールに関するRFCはさまざまありますが、ここではメールアドレスに使える文字列に限定してお話しします。
RFCにおけるメールアドレスの構造
RFC 5321では、メールアドレスの定義について以下のように記述されています:
メールアドレスの構造
- ローカルパート: メールアドレスの「@」の前の部分。ユーザー名やアカウント名が含まれます。
- ドメインパート: メールアドレスの「@」の後の部分。メールサーバーのドメイン名が含まれます。
使用可能な文字
- ローカルパート: 英数字、特殊文字(例: ! # $ % & ' * + - / = ? ^ _ ` { | } ~)およびドット(.)を使用できます。 ただし、ドットは連続して使用できず、先頭や末尾に配置することもできません。
- ドメインパート: 英数字およびハイフン(-)を使用できますが、ハイフンはドメイン名の先頭や末尾に配置することはできません。また、ドットで区切られたラベル(例: example.com)で構成されます。
有効なメールアドレス: user.name@example.com
無効なメールアドレス: user..name@example.com(連続するドットが含まれているため)
大文字小文字の区別
- ローカルパート: 大文字と小文字を区別します。例えば、User@example.com と user@example.com は異なるメールアドレスとして扱われる可能性があります。
- ドメインパート: 大文字と小文字を区別しません。例えば、example.com と Example.com は同じドメインとして扱われます。
メールサーバにおける挙動
RFCでは、ローカルパートを大文字、小文字で区別する、と記載されていますが、実際の運用では多くのメールサーバーは、大文字と小文字を区別せずに処理することが一般的です。
例えば、User@example.com と user@example.com は技術的には異なるメールアドレスですが、多くのメールシステムでは同じアドレスとして扱われます。
また、皆さんがよく使っているであろうGmailでは、ローカルパートのピリオドはあってもなくても同じものと認識されたりします。
つまり、
john.smith@gmail.com
jo.hn.sm.ith@gmail.com
JO.HN.SM.ITH@gmail.com
これらはすべて
johnsmith@gmail.com
と同じメールアドレスと認識されます
私も普段使っているGmailのメールアドレスにドットをつけているので、ドットが無視されるのはちょっと意外でした。
あとは、いろんなサービスにメールアドレスを登録しているけど「同じ受信トレイで受信したいけど、このメールアドレスで登録したくないなぁ」ってことありませんか?
一つのサービスを複数のアカウントで持ちたいけど、メールアドレスを複数作成するのが面倒だったりしますよね?
そんなときはメールアドレスのエイリアス機能が便利です。
メールアドレスのエイリアス
メールアドレスのエイリアスとは、元のメールアドレスに対して別名を設定する機能です。
例えば、username+alias@example.comのように、プラス記号(+)と任意の文字列を追加してエイリアスを作成できます。
エイリアスを使うことで、特定の目的やフィルタリングに役立ちますし、スパム対策などの整理にも使えます。
元のメールアドレスに届いたメールは、エイリアスを使っても同じ受信トレイに届きます。
冒頭の問題の答え合わせですが、"."は無視され、大文字小文字も区別されません。+123はエイリアスとして判定されるので、以下の2つは同じ受信トレイにメールが送信されます。
- hoge.hoge@gmail.com
- HOGEHOGE+123@gmail.com
補足ですが、メールアドレスのエイリアスについては、利用するメールサービスによって扱いが異なります。Gmailの場合は、プラス記号(+)を使ってエイリアスを作成することができますが、他のメールサービスでは異なる方法が用いられることがありますのでご注意ください。
メールアドレスの今後
お堅い内容が続きましたが、メールアドレスは今やなくてはならないものになっています。何かのサービスを利用するにも、メールアドレスの登録が必須であることがほとんどです。
私もGmailのメールアドレスを5つくらい持っていて、用途によって使い分けています。また、他のドメインのメールアドレスもいくつか持っています。
Gmailのスマホアプリを利用すれば、YahooやOutlookで受信しているメールも一括で管理できるのでおすすめです!
携帯の電話番号は携帯電話を契約しないと使えませんが、メールアドレスは無料で手に入れられる手軽さがあります。
手軽さゆえの弊害もありますが、これからもコミュニケーション手段として重要なツールであり続けるのだと思ってます。
黒田 等 Hitoshi Kuroda
プロダクト開発統括部 dodaグロース開発部 CRM開発グループ サブマネジャー
2022年4月にパーソルキャリアへ中途入社し、主にCRM領域のPMに従事。その後、CRM開発グループのサブマネジャーとして開発組織を牽引している。
※2024年12月現在の情報です。