RubyKaigi 2025 参加レポート

はじめに

みなさん、こんにちは。 はたらく未来図構想統括部 JobQ部でエンジニアをしている長谷川、川村、飯嶋です。

我々が開発しているキャリアや転職に特化した匿名相談サービス「JobQ Town」は、プログラミング言語RubyとフレームワークRuby on Railsを採用しています。 この度は2025年4月16日から18日にかけて、愛媛・松山で開催されたRubyKaigi 2025に参加してきました。本記事では、印象深かったセッションや得られた学びを共有します。

RubyKaigiとは

RubyKaigiは、プログラミング言語Rubyにフォーカスした国際カンファレンスで、毎年日本で開催されています。Rubyの最新の技術動向を議論したり、その未来ついての展望を共有したりする重要な場となっています。 今年は松山市の「愛媛県県民文化会館」で行われ、1,500人の参加者がオフラインで集まりました。3日間にわたり、57のセッションが行われました。

印象に残ったセッションと学び

Ruby Taught Me About Under the Hood

RubyKaigi 2025 一番最初のセッションかつ Keynote になっており、自身が Ruby コミッターになるまでの経緯や、主に開発されている文字コード関連についてのお話をされていました。 irb に家族の絵文字(👨‍👨‍👦‍👦)を入力して削除するとクラッシュする現象に遭遇した事がきっかけで、バグ修正から Ruby の開発に携わる事になった経験をお話してくださりました。 バグの原因とどのように解決したかまで丁寧にご説明してくださったので、文字コードの理解を深める事が出来ました。 その他、日々増え続けるユニコードに対応し続ける大変さや、どのように解決してくかのお話もあり、世界中の文字や絵文字を継続的にサポートするのがいかに大変かを理解することが出来ました。

Make Parsers Compatible Using Automata Learning

parse.yとPrismの互換性問題をオートマトンを使って検出するというお話でした。 (parse.yは古くから使われているCベースのパーサー、PrismはRuby3.3から追加された新しいパーサー) オートマトンの詳しいアルゴリズムについては難しい部分が多かったのですが、アキネーターを使った比喩で解説していただき、大量の入力を投げてパーサーの反応結果をもとに分析していくという概要を掴むことができました。 parse.yとPrismの内部の直接比較は難しく、そこはブラックボックスとして扱い、問題を炙り出すというアプローチが面白いと感じました。

Making TCPSocket.new "Happy"!

Rubyコミッターの Shioi さんによる Happy Eyeballs についてのセッションです。 Happy Eyeballs とは「IPv6が使えなくてもすぐIPv4に切り替えて快適に接続する」仕組みのことです。 C言語で書かれているが故に実装が難しいTCPSocket.newにHappy Eyeballsを導入する過程と、その成果について丁寧に解説してくださいました。

12/25のRuby 3.4.0リリースを控えたタイミングで、TCPSocket.newへのHappy Eyeballs導入が11月中旬にマージされたという箇所が印象的でした。 マージ後すぐにCIが落ちてしまい、OSごとの差やネットワークの繊細な挙動に対応しながら何度もパッチを出されたり、リリース直前にも関わらずユーザー環境での不具合報告に素早く対応されたりと、大変な調整だったことかと思います。 発表を聞いているだけでも緊張感が伝わってくるような内容だったのに、そんなプレッシャーの中で実際に開発を進められていたと思うと、本当にすごいことだと感じました。 普段何気なく使っているRubyが、こうしてコミッターの方々の並々ならぬ努力に支えられていることに改めて気づきましたし、その情熱と取り組みに心から感謝の気持ちでいっぱいです。

アフターイベントについて

2日目に参加したアフターイベントでは参加者の方々とボードゲームを行いました。 写真は「ito」というチーム協力型のゲームを無事クリアした記念に撮ったものです。 ゲームが終わる頃には、一時間前に初めて顔を合わせた方たちとは思えない程の一体感や距離の近さを感じることができました。 相互理解や対話がポイントのゲームなので、チームビルディングにも活かせるのではないかと感じました。 このような素敵なイベントを開催してくださったスポンサー企業様に感謝の気持ちでいっぱいです。 あまりにも楽しかったので、ボードゲームイベントにも今後参加したいと感じるようになりました。

今回いただいたノベルティ

2日目から行われた企業ブースのスタンプラリーですが、残念ながらコンプリートできずでした😭 しかし、スタンプラリーがあるおかげで色々な企業の方とお話しする機会が自然と生まれるので、 次回参加時も是非またチャレンジしたいと思います💪

RubyKaigiのオフィシャルノベルティ。松山市を表すモチーフがかわいい🍊♨️🏯

各スポンサー企業もプロダクトに関連した便利グッズや、企業ロゴを印字したご当地銘菓を配布してくださっており、賑わいを見せていました!

松山での開催

松山在住の長谷川

4歳頃から愛媛県松山市で育ち、現在も松山市からフルリモートで働いています。 (出身は愛媛県八幡浜市です) RubyKaigi 初参戦かつ地元での開催という事もあり、当日を非常に楽しみにしておりました。

初めて訪れた川村、飯嶋

松山在住の長谷川に案内してもらい、地元ならではの観光や食事を満喫することができました。 松山は「コンパクトシティ」を掲げているそうで、交通の便がよく、中心部も歩きやすかったです。歴史があり、落ち着いた雰囲気もあって、とても素敵な街だと感じました。 今度は観光メインに、もっとゆっくり訪れてみたいです!

全体を通しての感想

長谷川(初参加)

普段業務で Ruby を使っていますが、内部実装や詳細な言語仕様について知識不足だと実感しました。 RubyKaigi 初参戦に当たって予習をしていましたが、それでも専門的な知識やコンピュータサイエンスの知識が無いと理解が難しい面が多々有り、改めて勉強し直さないといけないなと思いました。 Ruby についてもっと詳しくなりたいという気持ちが強くなったので、これから Ruby の中身についても勉強していきます。

講演は勿論、懇親会でも様々な Rubyist の方とお話が出来て、とても刺激をいただけた3日間となりました!! 地元でこのような素晴らしいカンファレンスを開催していただき、感動と感謝の気持ちでいっぱいです。 心の底から参加出来て良かったと思います。 キーノートをご担当された ima1zumiさんも愛媛県松山市の出身らしく、同じ地元の方がコミッターとして活躍されているので、私も少しでも近づけるように精進します!

川村(2回目の参加)

今回が2度目のカンファレンス参加ということもあり、会場の雰囲気にはすぐ馴染めました。 登壇でよく出てくる用語を少しだけ予習しておいたことで、去年のように「何もわからなかった…」という状態にはならず、セッションの理解度も上がったように思います。 また、AIと対話しながら理解を深めたり、XやDiscordでのライブ投稿を追いながら学ぶというスタイルがとても良かったです。 Ruby生みの親・まつもとゆきひろ氏(Matz)もAIとの関わり方をKeynoteで語っており、これからはAIとうまく付き合いながら成長していく時代なんだと肌で実感しました。

プログラミングスクール時代の仲間や元同僚、地域rb(Rubyの地域コミュニティ)で知り合った方々に、直接ご挨拶できたのも嬉しいひとときでした。 オフィシャルパーティーや企業主催のドリンクアップでは、初対面の方ともたくさん交流ができ、エンジニアとしてのモチベーションを再確認するきっかけになりました。

飯嶋(2回目の参加)

2回目の参加ということもあり、昨年より更に楽しむことができたと感じています。 具体的には以下です。

  • セッションの楽しみ方

    • 昨年は「全然わからない、やばい...」と焦っていたのですが、参加者の方に聞いてみると「みんなわからない」「それを楽しむのがRubyKaigi」と教えてくださったことからリラックスして楽しむことができました!
    • 内容を無理にすべて理解しようとせず、プレゼンターの方が情熱を持って取り組まれている様子や発表内容を感じて楽しむことを心がけました。
    • 課題や困難に直面しても根気よく楽しんで取り組むこと等、得られるものはたくさんあります!
  • 他の企業の方との交流

    • 昨年はエンジニアチームに異動したばかりということもあり、あまり積極的に会話を楽しみきれなかった気がしています
    • 異動して一年経ったこともあり、ブースやアフターイベントでは開発を進める中での難しさや「あるある」をカジュアルに話すことができました🙌

期間中は会場以外で出会った参加者同士で自然と会話が生まれるという体験をしました。 Rubyのカンファレンスに参加している者同士というだけで人と人との繋がりが生まれます。 世界中に愛され、人と人とを繋ぐRubyというプログラミング言語の力を改めて実感しました。

おわりに

登壇者の皆さま、そして運営スタッフの皆さまへ、心より感謝申し上げます。 また、この貴重な機会を与えてくださったマネジャーをはじめ、サポートいただいたすべての方々にも、この場を借りて深くお礼申し上げます。

次回、北海道函館市で開催されるRubyKaigi 2026が今から待ち遠しいです!

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川村 将矢 Masaya Kawamura

カスタマーP&M本部 はたらく未来図構想統括部 JobQ部 エンジニアリンググループ エンジニア

オンラインスクールでの学習を経て、看護師からWebエンジニアにキャリアチェンジ。好きなものはラジオ、ランニング、居酒屋巡り

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飯嶋 Iijima

カスタマーP&M本部 はたらく未来図構想統括部 JobQ部 エンジニアリンググループ エンジニア

2年間のオンラインスクールでの学習を経て、経理からジョブチェンジしました。猫、野球、日本語ラップが好きです。

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長谷川 和希 Kazuki Hasegawa

カスタマーP&M本部 はたらく未来図構想統括部 JobQ部 プロダクトグループ エンジニア

愛媛県からフルリモートで働いています。趣味はエレキギターとバイクとプロレス観戦です。

※2025年5月現在の情報です。