キャリアの可能性を拡げる“HR×MaaS”実証プロジェクト――ウラガワに込めた想いとは

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パーソルキャリアは、ソフトバンク株式会社やトヨタ自動車株式会社などの共同出資会社であるMONET Technologies株式会社の協力の下、“HR×MaaS”実証プロジェクト「Showfar(ショーファー)」をスタート。HRとMaaS(Mobility as a Service)、一見遠そうに見えるこの2つの領域を結びつける発想はどのようにして生まれたのか。本プロジェクトを通じ、社会に対してどのような価値をもたらそうと考えているのか。執行役員の柘植をはじめ、プロジェクトのキーマンたちに話を訊きました。

テクノロジーを中心にシーズを形にする組織文化――

――まずは、MONET Technologies社と連携して実証プロジェクトを進めることになった経緯からお聞かせください。

柘植:私たちは、自動運転を始めとしたモビリティサービスが創出するであろう新たな価値に着目。そこに人々の“はたらく”未来を切り開く、可能性があると考えていました。ただMaaSに関する知見がない我々にとってはパートナーが必要であると考え、MONETさんがコンソーシアムをスタートしたかなり早い段階で、私たちは接点を取らせていただき、参画が決まりました。ご存じの通り、MONETさんはモビリティで社会課題を解決することを目指しており、HR業界からはとても遠いパートナーに見えると思います。

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パーソルキャリア株式会社 執行役員 柘植 悠太

例えば、スマートフォンが登場して人の時間の使い方が変わったように、自動運転が普及することで移動中の時間の使い方が変わり、かつ1人で移動するときはそれがプライベートな時間に変わることが予測されます。その時間と空間を活用して、HR領域の私たちがサービスを提供できるのではないか、と考えました。

マクロで見たときに、これからどんどん個人が主体的にキャリアを考え、はたらくことを真剣に考えるような時代が間違いなくやってきます。自動運転によって生み出される時間や空間で、“はたらく”について何かしら考えたり、行動したりする可能性があるのではないか。遠い未来を見て、私たちがそこでやれることがあるのではないかと考え、スタートを切った経緯があります。

 

――このコンソーシアムに加盟することで、パーソルキャリアが目指していることが実現できるという狙いがあったということですね。

柘植:そうですね。半分はミッションやビジョン実現に近づいていく手段として捉えています。「はたらく」に関する場面、機会が増えることで、1人ひとりが「はたらく」ということを主体的に考え、選択し、行動する――それらが「はたらいて、笑おう」に繋がり、ビジョンが実現できるのではないかということですね。

そしてもう半分は、少し実験的な要素を含んでいると思っています。私たちテクノロジー本部は、常日頃からテクノロジーを武器に事業やサービスで世の中に価値を生んでいきたいと考えています。今回のプロジェクトは、MaaSの技術や新しいテクノロジーが詰まったサービスモデルや事業領域を展開し、テクノロジーを中心とした付加価値を作れるのではないかと踏みました。そして、周り回ってミッションやビジョンの実現に貢献できるのではないかと思ったのですね。どちらかというとテクノロジーが先で、最終的には会社の方向性に合致するという考え方です。技術先行でその領域にチャレンジしているという姿勢が、テクノロジー本部の特徴でもあり、そういったメッセージを社内外に発信できる、そんなプロジェクトになっています。

 

――MaaSとHRを掛け合わせるといった発想は元々テクノロジー本部内にあったものなのでしょうか?

柘植:本部の中でも、特にデジタルテクノロジー統括部は、その色がより強く出ている組織だと思います。組織を作ったり人を集めるタイミングから、なるべく既存の固定概念にとらわれず、技術領域にどんどんチャレンジしてもらい、事業やサービスのシーズを自由に発想してもらおうと考えてきました。そして筋が良さそうなものが出てきたら会社としても全力でサポートをするという、個人の興味ややりたいことを尊重するような組織運営を大事にしてきました。今回の取り組みに関しても、この組織が大切にしている考えや文化が色濃く表れているというか、経営や会社を主語とすることなく、一人ひとりの興味や主体性から生まれたプロジェクトだと思っています。

今回のプロジェクトは、すぐに形になるものではなく、自動運転が実用的になる少し先の未来を見据えて、時間の使い方や空間、場面ができたときに初めてできることが増えると思います。先んじて動いているという感覚ですね。

 

――経営の判断としては、形になりづらいものに力を入れることは躊躇しがちだと思いますが、今回はどのような判断の中で進めることになったのでしょうか。

柘植:テクノロジー本部を結成したタイミングもそうですが、会社全体が、テクノロジーを活用し経営を加速していくということに投資をしたり、優先順位を置いてきています。人の投資や組織への投資、今回のようなプロジェクトやテクノロジーへの投資というのは、優先順位を高くして経営の中に入れてもらっている状態ですね。その中で当然、短期的に上手くいくもの、いかないものなどあると思いますが、これまでにない発想を武器に経営や事業を伸ばしていくことも、テクノロジーの力のひとつだと思っています。そういう意味では、今回のように上手くいくかもしれないし、上手くいかないかもしれないようなテーマに関しても、しっかりと粘り強く、事業やサービス、技術の領域を作り上げようと会社として考えています。

桑原:今回のプロジェクト担当者として少しだけ補足をさせていただきます。柘植さんをはじめ、経営としてのテクノロジーに対しての挑戦という土壌を得ている話は非常に重要だと思います。しかし、面白ければ何でもいいというわけではありません。柘植さんがおっしゃってくださったような、個人の解決すべき課題に対して、我々がミッションに掲げているような「人々に“はたらく”を自分のものにする力を」が前提にある中、いかにテクノロジーを活用していくかということが重要だと思っています。

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デジタルテクノロジー統括部 シニアエンジニア 桑原 悠

具体的に言うならば、MaaSで何かがしたいと思ったのではなく、我々が解きたい課題に対して今回はMaaSが使えると判断したということですね。

 

――なぜ“MaaSが使える”と思ったのでしょうか。

桑原:先ほどお話が上がっていた、一見すると遠いところにある2つですが、結論から申し上げますと我々はそれが遠くないと思いました。我々の中では当初から個人に対して解決したいものがあり、仮説が事前にあったためにコンソーシアムに加盟しました。なので、我々は始めから“MaaSは遠くない。ここでやれることがある”と思ったので、MONETさんと協働することになりました。そこから先の話は、柘植さんが説明された通りです。

なぜ遠くないと考えていたかというと、それはHRという我々の業態自体が主に、コミュニケーションに重点を置いた事業であるからです。面談やカウンセリング、面接など非常にコミュニケーションに重きを置いている事業形態だと思いますが、我々はMaaSを新しいコミュニケーションの可能性として捉えたということですね。

今までは企業の応接室やカウンセリングルームなどで行われていたコミュニケーションの場自体が、これからはMaaS、すなわちMobility as a Serviceという言葉で表現されるように、移動と一緒に場自体を提供しようということです。コミュニケーションの場が、今回で言うところの車内に変わったりすると、コミュニケーションを主に扱っている我々としては、“個人とのコミュニケーションの場がこれからは決して応接室だけに限定されるわけではない”と捉え、早めにここに対して着手する必要があると考えたのです。

 

MaaSの可能性とサービスの拡張性を提示する――

――ここからは、実際にプロジェクトを動かしてきた主力メンバーであるお二人に、スタートから実証実験に至るまでの流れをお聞きしたいです。

林:そもそも、このプロジェクトは現場からボトムアップで発生したというのが大きなポイントだと思っています。

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テクノロジー本部 アシスタントマネジャー 林 泰哉

2018年の年末くらいに現在のデジタルテクノロジー統括部内で、何か新しいビジネスのアイデアはないかと募ったところ、当初は1人1案出てくれば良いかと思っていたら、思いのほか1人4案ほど出てきたのですね。それからプレゼン大会を開催し、本当は1時間ほどで決めようと思っていたら、数も多く議論も白熱したので、最後に投票して決めることになりました。その中の一つが今回のMaaSプロジェクトでした。当初の案から桑原さんや間舘さんも加わりアイデアをブラッシュアップしていきました。

 

――コンソーシアムに加盟しようという考えは、当時からあったのですか。

間舘:他社さまと組むのが良いのか、自社だけでやるのかを戦略的に考えるところからスタートし、リサーチやヒアリングを重ねた結果、MONETさんと組むことが我々にとってもこのプロジェクトを前進できるだろうという結論に至りました。

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デジタルテクノロジー統括部 リードストラテジスト 間舘 祐太

理由は2つあります。まず1つは、MONETさんが、本気でMobility as a Serviceに取り組み、新たなプラットフォームを作りGAFAをも超える存在になることを見据えていた点に共感し、我々も一緒にやりたいと考えました。そしてもう1つに、このMONETコンソーシアムが、業界や業種の垣根を超えた企業間の連携による共創を掲げていて、我々の目指すものに近しいと感じたことがあげられます。

 

――最初にMONETさんに提案したときの反応はいかがでしたか。

間舘:「とてもおもしろい取り組みですね!」と評価をいただきました。我々を担当してくださった方が、いろいろと繋いでくださって、コンソーシアムの総会に参加した当日にも、副社長とお打合せもさせていただき、スピーディーに話が前に進んだことも本当にうれしかったです。

 

――コンソーシアムに加盟した後、どのようにして実証実験までたどり着いたのでしょうか。

間舘:コンソーシアムに加盟後は、さまざまなパターンを検討しながら、合計で10種類以上サービス設計を行い、MONETさんと話し合いながら進めてきました。パターンというのは、車内にいる個人とどこか別の場所にいる企業の担当者をZoomなどのオンラインでつなぐのか、それとも直接車内で面と向かって話すのか、など、どれが一番適しているのかを見極めるために実際にやってみようという話になりました。

 

――実証実験がスタートし、技術的なポイントやパーソルキャリアとして確認しているポイントなどを教えてください。

林:今回は既存の技術やサービスを組み合わせているので、まだ技術的に語るポイントはありません。自動運転が当たり前の世界になったとき、どのようなシチュエーションで車に乗り込み、車内でリアルタイムにコミュニケーションをしながらスムーズに目的地に到着したり、どれくらいの距離を走るときにどのような内容をどれくらい話すのかということが、今後は見ていくポイントとしています。

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これまで、転職するにあたっては時間や行動の制約などを理由に、1社の内定を獲得するのに、平均して4~5社の面接しか受けずに次の企業を決めていくことがほとんどであったと思います。*1

もちろんその中で納得して転職活動をされる方もいますが、中には忙しいがゆえに、少ない情報の中で選択、判断をしていたり、他の企業の可能性を検討できないまま、内定が出た企業に転職していたりしたケースもあったように思います。そこで、日常の中で苦労せずに時間を生み出して、かつ受け身で複数の企業から話が聞けるという新しい体験というのは、果たして世の中に受け入れられるのかという需要性の確認が今回の一番の目的となります。

世の中にどのように受け入れられるのか。そもそも、乗りたいと思う人がいるのか。乗車中に企業と面談ができるのは良いと思ってもらえるのか。という点を確認するという意味が大きいですね。

※Showfarについて、詳しくはこちらをご覧ください。(当該ページは3月末まで公開予定)

Showfar|通勤時間で運命の仕事とカジュアルに出会う

 

――パーソルキャリアで行う意味が分かってきました。この2年弱を振り返っていただき、お二人が感じた壁と、その乗り越え方についてお聞かせください。

間舘:MONETさんのコンソーシアムには現在、600社超が加盟しています。MONETさんもリソースが限られているので、我々の方から積極的に提案をさせていただく必要があります。もちろんMONETさんの方でも、我々としても魅力的な提案をしていかなければ前に進むことができません。結果的に、こうして一緒に進めることができるようになった、その過程こそが困難の連続だったと思っています。

 

――もちろん、提案内容が良かったこともあるかと思いますが、プロジェクトが進んだポイントはどのようなものだったのでしょう。

間舘:大きく2つあると思っています。1つは林さんからもあった通り、MaaSというジャンルの中でも新しい提案ができたことだと思います。ほとんどの会社が移動手段としての提案を行っていましたが、我々は移動時間で何ができるかという提案だったので、大きく視点が違いました。なのでその可能性を評価していただいたと思います。

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2つめとしては、これはMONETさんからいただいた言葉ですが、「ここまで詰めてサービスを提案する、企画してくれた企業は他になく、詳細に提案をしてくださって、実現性が高いと思った」とご評価をいただきましたね。

 

――林さんはいかがですか。

林:移動時間の中で対人コミュニケーションが取れるということが、このサービスの核となりますが、どうやって乗るのか、どのようなタイミングで乗って、どのような話し方をして、そしてどこに行くのかという、具体的なサービスの中身を詰めていくのに苦労しました。営業の人がアポイントメント先に行く20分の間などに使ってもいいですし、夜、会社から帰宅するときに使ってもいいですし、もしくは時間のある休日に映画館に行くまでの間で使うということも考えられます。いかにシームレスに日常の中に入っていけるのか?というところも含めて、いつどこからどこへ、何回乗って、何を誰と話すのかを詰めていくことに時間を費やしました。

 

――今回の実証実験では、朝の通勤時間に限定したというのは、どのような発想からだったのでしょうか。

林:ポイントは2つあります。1つは、企業の目線からすると時間調整が大変なので、時間帯が固定されている方がいいだろうと考えました。例えば桑原さんや僕も採用面接をしていますが、個人との日程調整だけでなく企業内での面談担当者の時間確保が難航するケースが多いです。それであれば、「この1か月間は8時~9時の間を空けておいて」と言われれば、そのほうが面談担当者も調整しやすいですよね。

もう1つは、個人からすると、日常の中に新しい時間を生み出すのは結構大変ですよね。帰宅してからの1時間や、土日の1時間というよりは、どこかの時間を有効活用すると考えた結果、通勤時間になりました。

 

――このチームの座組を教えてください。

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林:コアメンバーは、桑原さんと間舘さん、僕の3人です。桑原さんは一応エンジニアですが、誰よりもビジネス目線を持っているエンジニアという感じです。最初にビジネス発案プレゼンがあったときは、エンジニアとアナリティクスの人たちもいて、そこから分け隔てなく出た案だったので、そもそもエンジニアとかビジネスといった境界線はありませんでした。

 

――このプロジェクトを通して、お2人の仕事に対する価値観や働き方のスタンスに変化はありましたか。 

間舘:よく言われることかもしれませんが、このプロジェクトをやってみて改めて感じたことは、本当に多くの人に協力をいただいているということです。我々のビジネスサイド、エンジニアやアナリティクスなどの社内だけでなくMONETさん含め外部の方からもご協力いただいたプロジェクト体制になっています。多くの方々の協力がなければ、我々が実現したいこのプロジェクトを作り上げることは非常に難しかったと感じています。

このように多くの人に協力をして動いてもらい、プロジェクトを進めるためには、これがどういった社会的な価値なのか、そしてどう変わるのかということをしっかりと伝えることが、プロジェクトを大きく動かす上で非常に重要なのだと、改めて痛感しました。それは社外もそうですし、社内も同じことだと思います。サービスを実現したうえで、個人や企業に対して価値貢献できるということを言語化し、そこをリードしていくということが、ビジネスサイドとして重要な役割だと感じました。

 

――お二人が、このプロジェクトの中でここまで頑張れたポイントは何だったのでしょうか。

間舘:2つありまして、1つは単純に面白いからですね。新しい何かを作ることに対してのワクワク感ですかね。非常に大変なこともありますが、何か新しいことに取り組むことの楽しさ、0→1で作り上げることの楽しさがあったからこそ、ここまでやってこれたのだと思います。2つめは、小さい頃から社会に対して役に立ちたいと思っていまして、社会課題の解決を少しでもできることに対する喜びもあったと思います。まだ第一歩ではありますが、スタートラインに立つことができたような気分ですね。

林:今、僕たちはフルリモートでやっているので、自由があると言えば自由があります。時間に制限がないので、いつも休めるし、いつも働ける状態です。だからこそ、自分に厳しくなければ何か特別なことをする余裕は日常生活にアドオンできないと思いました。それは転職先候補になる企業の話を聞いたり、キャリアについて考えたりということもそうです。義務ではなくて、自発的にキャリアを考えることを促すサービスというのは、僕にはとても嬉しいと思います。結局、始めたらとても世界が広がるかもしれないのに、始められていない人が世の中にはたくさんいると思っているので、自分の世界を広げるために使ってほしいと思います。

 

――パーソルキャリアの中で新規事業を開発する醍醐味についてお聞かせください。

間舘:林さんからもあったように、トップダウンではないという点があげられます。現場からやりたいことをしっかりと論理立てて説明をし、それにプラスして想いあれば、柘植さんをはじめ、経営の方からの理解をいただき進めることができます。

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“はたらく”という領域は改めて言うまでもなく生活の基盤です。そこをより良くしていくもの、より自分らしく働く世界を作っていく、そして社会が少しでも良くなることに対して携われるサービス開発は人材会社ならではだと思います。

林:そうですね。僕が感じていることは、リソースが豊富であること。人のリソースとしては本当に優秀な方が多く、知見や考え方もさまざまなバックグラウンドを持ちながら適切に考えることができる人が多いです。また、会社として社会的信用があるので、こういった新規事業を開発するにあたっても、話を聞いてくれる企業や個人のお客様に恵まれているということです。大前提は僕たちがしっかりとそこを考えていないといけないのですが。この環境は非常にやりやすいと思います。

一方で、大きい会社であるがゆえに動きが遅く、ある面でやや保守的なところもあります。ベンチャー企業のイメージがありますが、プロセスや中の取り崩し、合議制、権限委譲などの面においては大企業的かもしれません。ただ、少し前であればパーソルキャリアがMaaSを検討するという選択肢すら出ていなかった可能性があるのでテクノロジーへの投資意欲の追い風を受けながら、新規サービスを開発することに醍醐味を感じています。

 

――他の会社とのコラボレーションを続けることで、刺激を受けながらスピード感も変わってくる可能性もありそうですね。今後の展望について教えてください。

間舘:サービス化を目指し、その第一歩を力強く踏み出していきたいと思います。今回の実証実験で受容性をしっかりと確認し、継続的にサービスを提供し続けるということが第一歩です。そして、サービスをより多くの人に使ってもらうということが二歩目だと思っています。三歩目としては、ひとつひとつ需要を確認しながら、新たなサービスの形、適応できる領域を探っていきます。

林:サービス化は1つの目指すべきポイントではありますが、そこが終着点とは思っていません。いかにその先、多くの人に日常的に使ってもらえる存在になるか、プラットフォームになれるかどうかが大事になると思うので、まずは着実にサービス化をしていくということです。また、個人の方に「自分だからこそ、この企業から求められている」という体験を提供したいと思います。

 

事業としてのポテンシャルも見極める――

――今回のプロジェクトを通じ、この先のキャリアの中で、どのような経験を積んでいきたいと感じましたか。

間舘:新規事業というキャリアを考えると、しっかりとリリースをすることが大前提であり、そこから成長させることがポイントだと思っています。なので0→1、1→10というところは、まずやっていかなければならないと考えています。

林:最終的にお金を稼がなければ意味がないので、いかに黒字化していくかというところが重要です。そのフェーズを経験しながらも、新しいことにもチャレンジしないと飽きてしまう可能性もあるので(笑)、次の新規事業やビジネスにチャレンジできたらと思いますね。

 

――再び柘植さんにご登場いただき、最後にお聞きしたいと思います。このチャレンジを通じて世の中に伝えたいメッセージや“思い”があったらお聞かせください。

柘植:2つお話したいと思います。まず1つは、このプロジェクト以外にも、今、“一見すると遠いかも”と思えるような技術領域やサービスのモデルについて、着実に準備を進めてくれていることが他にもいくつかあるということはお伝えしたいです。

それは、本部全体が「テクノロジーの力で人の可能性をひらく」というテーマに沿って、長い目線で事業を進めようとしているからに他なりません。

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一方で、これは社員にも似たようなことが言えると思っていて、興味や好奇心から“あれをやってみたい”“これをやってみたい”ということを追及することで生まれてくるものがあると考えています。特にテクノロジー本部、エンジニアを中心とした専門職の領域は、やりたいことや好きなことが明確で、そこに没頭することで成果が生まれたり、スキルが上がったりする傾向が強いと思うので、なおさら組織運営としては大事にしていきたいと思っています。

やりたいことがあるけれども、なかなか短期的に合理的な説明ができずにプロジェクトが頓挫してしまうことや、コロナの状況になって経営状況が悪化し投資が抑えられてしまう可能性など、さまざまな障壁があるとは思います。しかし、私たちの会社は長い目線で見る投資も続けていきたいと思っていますし、引き続きテクノロジー領域の仲間も募集していく予定です。そこに共感してくれる人が集まって、「面白いことをやっているね」と言ってもらえるような会社や組織だと社内外から見てもらえたらいいですね。

その一方で、単に“面白そうだから”やっているわけでもありません。僕としても冷静に“本当に上手くいけば、ビジネスとしても大きくなる”という見極めや可能性は当然考えています。

コロナの影響により、働き方が大きく変化した中で、ユーザー獲得にとても大きなマーケティング費用の負担がかかってきます。そのレッドオーシャンの中で戦い続けることは、単なる消耗戦になってしまう可能性があります。このShowfarは、転職を考えている人をターゲットというよりは、キャリアについて考えたいという人がターゲットになっているので、レッドオーシャンから少しずらしたところで戦えます。

また企業から見ると、直接、個人の方に接点を持てる絶好の機会となります。今で言うとスカウトメールを送ったり、間にエージェントを挟んだりして、接点を持ちに行くまでが大変ですよね。それを直接個人の方に対して、接点を持てるというのは、価値のある機会になることは間違いありません。

事業としてどれくらいのポテンシャルを持っているのか、本当にうまくいけば、色々なビジネスを大きく変えられる、売上を作れる可能性があるということも冷静な目で見るようにしています。

 

――柘植さん的に、モノになりそうなサービスのアイデアと、ダメそうなアイデアの見極めポイントって、どのようなものでしょうか。

柘植:最初は直感ですが、その直感を紐解いていくと、いくつかの角度から自分の中で判断していると思っています。まず1つは、やはりテクノロジー本部では技術をベースとした話が上がってくることが多いので、その技術が本当に使えるものなのかどうか、実現可能性という尺度を持って見るようにしています。

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2つめは、世の中に無いものかどうかということです。新しい技術領域なので、より早いタイミングで自分たちが新しい技術を使って、そこでサービスを展開していくということが大きなアドバンテージになります。技術やテクノロジーの力を使って商売を大きくしていくということを考えたいので、世の中にあるものなのか、無いものなのかということや、これからの世の中の潮流に乗ってくるのか、乗ってこないのかということは見るようにしています。

そして3つめは、先ほどShowfarの件で話したように、それができることで、どれだけ世の中の当たり前や、世の中への影響度を増すサービスやプロダクトになるのかということを考えています。その辺りから見たときに、もしできたとしたら、世の中の前提を変えるくらいのインパクトがでそうだという、この3点から見ていますね。

今回のShowfarは、この3つの観点すべてで大丈夫ではないかと思っていて、とても大きな可能性を感じているところです。

 

――今回、Showfarで人々にキャリアを考える機会を作りましたが、やはりミッション実現のためには、個人がキャリアを考える機会が改めて必要だということが、柘植さんの経営の立場から見ても重要性を感じていますか?

柘植:まさにShowfarはその“考える機会”を提供できるサービスだと思います。もう少し補足しますと、急に考えようとしても無理ですよね。本当はおそらく、考える前のきっかけのようなものが世の中に必要だと思います。気づきやきっかけがあるから、考える時間に繋がっていきます。そして考える時間に繋がると、“どう考えればいいのか?”、ということに繋がるので、そこで考え方をアドバイスしたりサポートすることが必要になります。そしてさらに、その先に行動するということに繋がります。Showfarは、はたらくキャリアを考えるということと、その後の行動への後押しを担っているサービスなので、そういう意味ではぴったりだと思います。

一歩手前に気づきやきっかけがあり、“やばい、考えなくちゃ”というところからShowfarのサービスを使ってキャリアを考えるということに繋がるのが、本来の理想です。考える前にはきっかけがあり、後ろには行動があることがセットだと思っています。考えるだけでは変わりませんよね。

キャリアの棚卸や紐解き方というのは、パーソルキャリアが一番提供できる価値です。そこが今回のMaaSとうまく組み合わさって、きっかけ作りと行動への後押しの双方ができるというのが、このShowfarの魅力ですね。

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――Showfarが持つポテンシャルと、社会に与えうる影響について深く理解できました。ここからの進化を楽しみにしています。素敵なお話をありがとうございました。

(取材・文=伊藤秋廣(エーアイプロダクション))

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柘植 悠太 Yuta Tsuge

パーソルキャリア株式会社 執行役員

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桑原 悠 Yu kuwahara

デジタルテクノロジー統括部 シニアエンジニア

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林 泰哉 Taisuke Hayashi

テクノロジー本部 アシスタントマネジャー

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間舘 祐太 Yuta Madate

デジタルテクノロジー統括部 リードストラテジスト

※2021年3月現在の情報です。

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