
こんにちは!イネーブリング統括部 品質管理部、QAエンジニアの吉満です。
私が所属する品質管理部は、開発生産性を測る基準や仕組みづくり、開発品質向上に向けた文化醸成や改善支援に取り組んでいます。 プロダクト開発に関わる一人ひとりが品質に責任を持つために、まず必要なのは品質やテストに対する解釈のズレをなくす「共通言語」です。私たちは半期に一度のペースで、世界基準のソフトウェアテスト知識をインプットする『QA輪読会』を開催しています。
本記事では、過去7回にわたる開催実績から積み上げた、輪読会を成功へ導くための工夫や、活動を形骸化させないための継続ノウハウをお伝えします。そして、今期からスタートする『QAラボ』への進化についてもご紹介します。(QA = Quality Assurance の略)
なぜ「QA輪読会」を始めたのか?
「ちゃんとテストしてる?」と聞かれて言葉に詰まった経験はありませんか。
開発現場では、「テストの知識が特定の人に偏る」「品質の考慮が後回しになる」といった課題に加え、「そもそも『ちゃんとテストする』とはどういう状態か」という定義が曖昧なまま、自信を持てずに進めてしまうケースが少なくありません。こうした現場の迷いや属人化を解消し、全員が確信を持って品質に向き合える土台を作るために、私たちは「QA輪読会」を開催しています。
実績としては、これまでに7クール開催していて、延べ58名もの方々に参加いただきました。開催テーマは「ソフトウェアテスト基礎」からスタートし、現場のニーズに合わせて「性能テスト」や「テスト自動化」といった実践的なテーマへと幅を広げています。
現場から育む品質文化と目指す未来
QA輪読会は、単なる知識のインプットの場ではありません。私たちの最大の目的は、品質文化を現場レベルから醸成していくこと、品質エバンジェリストを創出していくことです。
品質やテストに関わる共通の基礎知識を持つことで意識を変え、感覚や勘ではなく、理論に基づいた確かなテスト戦略をチームで描ける状態を目指します。 この地道なステップの積み重ねが、プロダクトが生み出す価値を品質の面から強固に支えられる状態を作り、最終的にはサービス利用者へのより良い体験の提供と、事業の持続的な成長を牽引する力になると信じています。
ただ読むだけで終わらせない。学びを加速させる4つの仕掛け
決められた時間に集まってテキストを黙々と読むだけでは、日々の業務に追われて形骸化したり、途中で挫折したりしてしまいがちです。参加者が主体性を持ち、楽しみながら学びを深めるために、運営側で大切にしている4つのポイントをご紹介します。
1. 世界基準の「共通言語」をチームに
まずこだわったのは「教材」です。私たちは、世界基準のソフトウェアテストの知識が凝縮され、かつ無償で公開されている『JSTQBシラバス』を活用しています。 あえてこの教材を選定しているのは、単に正しい知識を得るためだけではありません。組織内に「世界基準の共通言語」をインストールすることで、メンバー間の解釈のズレをなくします。ズレがなくなることで、テストの考え方が「個人の感覚」から「チームの共通ルール」に変わります。無償公開されているからこそ、誰でも、どこでも、今日から学び始められる。そのアクセスの良さも、文化醸成には欠かせない要素です。
2. 「教わる」ではなく「対話する」
次に「開催形式」の工夫です。本輪読会は、講師が一方的に教える講義形式ではなく、グループによる「自学自習形式」を徹底しています。 事前に個人でテキストを読み込み、要点のまとめや疑問点の洗い出しを行った上で、当日は「ディスカッション」に多くの時間を注ぎます。シラバスに書かれている内容を自分たちの業務に置き換えて議論することで、より「自分ゴト化」されていきます。その結果、教科書通りの理解で終わらず、「これなら明日から使える!」という実業務で活用できるイメージを作ります。
3. 安心感が生む、役職や部署を超えた「学びのシナジー」
本活動では、1グループ5〜6名の少人数制を採用し、有識者が常にアドバイザーとして同席しているため、初歩的な質問もためらわずに発信できます。有識者にすぐ聞ける環境が「正しい理解」という土台を作り、そこから参加者同士、現場目線の一歩踏み込んだディスカッションを生み出しています。
輪読会には、若手からマネージャーまで役職や職種を問わず多様なメンバーが参加しています。普段の業務では接点のない他部署のメンバー同士が、同じテキストを囲んで対等に品質を語り合う——。
こうした部署を超えた議論や意見交換は、参加者アンケートでも満足度を高める大きな要因として評価されています。多種多様な視点が混ざり合うことで、一人では辿り着けない学びの広がりが生まれています。
4. 学びを最大化する「前後の仕掛け」
輪読会を「ただ読んで終わり」にしないために、私たちは最初と最後のステップも大切にしています。
まずは「キックオフ」で参加目的を共有し、各自が目指すゴールを言語化。そして、全章を読み終えた後に「ふりかえり」を行い、「Fun・Done・Learn」のフレームワークを使ってポジティブに活動を締めくくります。参加目的の達成度をふりかえると同時に、実務での活用案なども自由にディスカッションしたり——。「キックオフ」と「ふりかえり」の一連のサイクルは、参加者一人ひとりの「意識」を、「行動」へと変える重要なスイッチです。
満足度100%!数字で見るQA輪読会の成果
13名のメンバーで駆け抜けた、QA輪読会 第7クール(2025年度下期開催)
アンケートを覗いてみると、参加者の意識や行動にポジティブな変化が起きていました。
理解度の向上と高い満足度
参加前は、ソフトウェアテストについて「理解していなかった」が多数でしたが、参加後は参加者の92%(「ある程度理解できた」77%、「十分理解できた」15%)が理解度の向上を実感しています 。さらに別の設問で、総合満足度は100%、他メンバーへの推奨度も100%という非常に高い評価を得ました 。

学習達成度:輪読会参加前後で、知識がどれくらい向上したか

参加者の熱意と、形になった学びの成果
何よりも素晴らしいのは、参加メンバーの圧倒的な熱量です。忙しい業務の合間を縫って、それぞれが現場の課題を「自分ゴト」として捉え、ひたむきに学びを深めようとする姿には、運営メンバーも大きな刺激を受けています。
その熱意は確かな成果として表れており、アンケートではほぼ全員が「学んだ内容をチームで実践・共有したい」と回答。QAフローの改善やE2Eテスト自動化、テスト計画やテスト内容の見直しなど、現場に直結したアクションが次々と生まれています。
さらに、嬉しいニュースも届きました!アンケートで「JSTQBの資格を取得したい」と宣言したメンバーの、なんと2名がFoundationレベルの試験に挑戦し、見事合格を果たしました!!

「QAラボ」始動!実務に直結するワークショップが仲間入り
そして、これまでの「QA輪読会」が、今期からさらにパワーアップしました。
従来のJSTQBシラバスを中心とした輪読会に加え、新たに実務直結型の「QAスキル研修」をスタート。知識として「知っている」から、実務で「使いこなせる」へのステップアップを後押しする場として、『QAラボ』という新名称で始動します!
新設された「QAスキル研修」は、元々、パーソルキャリアのdoda開発チーム・アジャイルCoEグループ主催でdoda領域のみで実施されていた内容で、以下3つの実践的なコンテンツとなります。
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テスト計画・テスト戦略
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テスト設計基礎
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シナリオテスト
「品質の作り込みを基礎から学びたい」「具体的なテスト戦略の立て方を身につけたい」という方にぴったりの内容です。座学に留まらず、ワークショップ形式で手を動かしながら学ぶことで、すぐに業務に活かせるスキルの習得を目指しています。新しく始まった『QAラボ』での取り組みや、そこで得られた知見については、また別の機会にご紹介できればと思います。
私たちの工夫やノウハウが、皆さまのチームにおける改善のヒントになれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

吉満 恵子 Keiko Yoshimitsu
テクノロジー本部 イネーブリング統括部 品質管理部
開発会社にて幅広い業種の品質保証(QA)に従事し、テスト戦略の策定やプロセス改善、アジャイルQAの推進をリード。2023年にパーソルキャリアへ入社。現在はこれまでの知見を活かし、開発組織が自律的にプロダクト品質や開発生産性を向上・維持できる仕組みづくり、および改善支援に取り組んでいる。
※2026年5月現在の情報です。
