Cursorなどの生成AIコーディングツールで企画をするときに気を付けたいこと

※本記事は筆者個人の業務経験に基づくものであり、特定ツールの推奨を意図するものではありません。

 

 

こんにちは。リードストラテジストの當瀬です。2026年4月に職名変更があり、2記事目で自己紹介の職名が変わりましたが、職務内容は大きく変わっていません。

生成AIを仕事で使う場面が増えてきた方も多いかと思います。

私自身も、Cursorを使いながらサービス企画・コンセプト案・フロントエンドのプロトタイプなどを作っています。

使っていて強く感じるのは、Cursorは企画そのものを丸投げする道具ではなく、「自分の苦手な工程を高速化してくれる道具」だな……ということです。

企画を作るうえでは、アイデアを考える力だけではなく、過去の資料を読み込み、前提を整理し、論点を分解し、相手に伝わる形に落とし込む力が必要です。

私は構想を考えること自体は比較的好きなのですが、それを緻密な資料にしていく工程には時間がかかります。今までもやってきましたし、できないわけではないのですが、明らかに人より時間がかかるな……という感覚がありました。

Cursorは、時間がかかる作業部分を補ってくれるのです。

Cursorで企画をすると便利なこと

特に便利だと感じているのは、過去メモや既存資料をコンテキスト(前提情報・背景)として読み込ませられることです。

何も前提を渡さずに生成AIへ相談すると、どうしても一般論に寄りがちです。しかし、過去の検討メモ・要件・制約・既存資料などを読み込ませると、提案の精度が上がります。

たとえば、複数のメモやファイルを整理し、企画検討に使いやすい形へ加工するような作業も、かなり速く進められます。これにより、「まず材料を集めて、読んで、整理して、それから考える」という工程の負荷が下がりました。

しかも、その資料を読み込んで整理するためのコード自体もCursorに書いてもらえるんです。

結果として、企画のたたき台を出すスピードが、驚くほど速くなりました。

数字でお伝えすると、私の場合、新規系の企画だと、すべて手作業の場合は数日~1週間くらい作業にあてていました。しかも、考え込む時間も込みで。

しかし、Cursorを活用すると、半日程度のやり取りで、チームで議論できるレベルのたたき台が作れます。体感でも大幅に短縮されたと感じています。

企画が早く作れるようになると、サイクルが小さく、速く回るようになる

単に作業時間が短くなる、という話だけではありません。

たたき台が早く出ると、「具体的に作る」という動きを手前に持ってこられます。頭の中で悩んでいる時間が短くなり、仮説を形にして、見て、直すサイクルへ早く入れるようになります。

企画は、頭の中で考えているだけでは前に進みません。何かしらの形にして初めて、ほかの人も「これは違う」「ここは良い」「この方向ならいけそう」と判断できます。Cursorを使うと、最初の形を作るまでの時間が大幅に短くなります。

Cursorへの正しい任せ方

ただし、注意点もあります。

1番大きいのは、制約やコンテキスト無しにCursorに「企画案を作ってください」と丸投げすると、だいたい一般論に収束することです。

生成AIは、きれいに整理されたもっともらしい案を、たくさん出すのは得意です。しかし、それだけでは企画として弱いです。無難で、どこかで見たことがあり、誰にでも当てはまりそうな内容になります。

企画を尖らせることができるのは、最終的には人間の意志です。

「このサービスでは、こういう状態を実現したい」
「ユーザーには、こういうメリットを感じてほしい」
「今回はここまで踏み込みたい」
「この方向性で作りこみたい」

こうした理想像や判断軸を持っているのは、企画者です。

コンセプトとコンテキストを与えたうえで、Cursorが出してきた案に対して、「もっとこうしたい」「これは一般論すぎる」「この表現だと誤解される」と修正していくことで、ようやく企画らしい企画になります。

企画者が持っていないといけないものとは?

そのため、Cursorを使う前に、人間側が考えておくべきものがあります。

大まかに3つあります。

・達成したい状態

・資料の目的(読み手にどういうことをしてほしいか)

・共有範囲

 

まず必要なのは、達成したい状態と目的です。何を作りたいのか、誰に向けたものなのか、何を判断してもらいたいのか……これらの情報が曖昧なまま、Cursorにプロンプトを投げても、出てくる案が曖昧になります。

また、資料をどの範囲で共有する想定なのかも、最初に伝えた方がよいです。社内のごく近い関係者に見せるのか、他部署も含めて共有するのか、経営層に見せるのかで、必要な粒度や表現は変わります。

同じ企画でも、見る人によって気にするポイントは違います。近いメンバー向けなら多少ラフでも伝わることがありますが、広い範囲に共有する資料では、誤解を生みそうな表現を削る必要があります。前提を知らない人が読んでも意味が通るように、説明を補う必要もあります。

また、細かいTipsとしては、プロダクト開発のたたき資料で技術スタックを詳細に書きすぎると意図しない方向に議論が向いてしまうので、私は削除するようにしています。エンジニアの知見を持って判断してもらった方がより良くなるからです。

Cursorはこういう文脈を踏まえた調整まで、自動で判断してくれません。

もちろん、それらしい補足はしてくれます。しかし、本当にその説明が必要か、逆に書きすぎていないか、読み手に余計な誤解を与えないかは、人間がレビューしてからチームに展開する必要があります。

 

工数見積もり概算にも注意しよう

特に気を付けているのは、工数見積もりです。

Cursorに相談すると、実装ステップや必要工数のようなものも出してくれます。本当になにも肌感覚がない!という局面ではとても便利なのですが、過信しない方がよいと思っています。

実際の開発には、既存システムの状態、チーム体制、レビューの重さ、関係者調整、運用上の制約など、外から見えにくい要素が多くあります。

そのため、Cursorの見積もりは参考情報として扱い、必要に応じてダブルチェックします。別の観点で再確認を依頼したり、エンジニアに確認をお願いしたりします。生成AIが出した数字を、そのまま意思決定の根拠にするのは危険です。

 

あくまでも自分が主・生成AIコーディングツールは従です

Cursorなどの生成AIコーディングツールを企画に使うときに大事なのは、「AIに企画を作らせる」という感覚を持たないことです。むしろ、自分の考えを早く外に出すための道具として使う方がよいです。

頭の中にある構想をたたき台にする。過去資料を整理する。論点を洗い出す。コンセプト案を複数出す。プロトタイプの初期形を作る。こうした作業を支援してもらうことで、人間はより重要な判断に時間を使えるようになります。

企画者がやるべきことは、なくなりません。むしろ、よりはっきりします。

目的を決めること。
理想像を持つこと。
違和感に気づくこと。
誤解されそうな部分を削ること。
意思決定に耐える形へ整えること。
最後に責任を持って判断すること。

こういった部分は、生成AIコーディングツールだけに頼らず、人間が判断する必要があります。

一方で、企画作業には人によって得意不得意があります。0から構想するのが得意な人もいれば、資料化が得意な人もいます。論点整理が得意な人もいれば、プロトタイプに落とし込むのが得意な人もいます。

生成AIコーディングツールで企画をするときに気を付けることは、AIに任せすぎないことです。

企画の主導権は、人間が持つ。
そのうえで、苦手な工程や時間のかかる工程を生成AIコーディングツールに助けてもらう。

この距離感を持てると、生成AIコーディングツールは単なる時短ツールではなく、企画を前に進めるための実務的なパートナーになります。

 

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當瀬 ななみ Tose Nanami

データ・AIソリューション本部 データ・AIインフラ統括部 AIプラットフォーム部

モバイルゲーム企業の運用ディレクター・医師/薬剤師向けポータルサイトのPdM・経済メディアのPdMを経て、2025年12月にパーソルキャリアに入社。得意技は高速キャッチアップ。現在は生成AIの全社活用を推進中。