作って終わりじゃない!―事業×開発が協力して機械学習PJTを進めるコツとは?

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こんにちは! デジタルテクノロジー統括の田口です。

今回は私たちが取り組んだ、機械学習プロジェクトについて、メンバーと対談形式でご紹介します。その前にどういったマインドで開発を行ったかについて少しだけ触れさせて下さい。

(コロナ影響を鑑みて開発もフィジビリティもリモートでした。実は4人揃ったのは初めて!)

私が考える、モノづくりの本質

今回のお話は、dodaのサービスの一つである、非対面で人材紹介・人材スカウトサービスを提供する“dodaプラス”という事業部でのお話です。法人顧客からお預かりしている求人案件をよりマッチした転職希望者へ提案するために、「AIを通してレコメンドするなどしてエージェント業務をサポートする」仕組みを開発しました。内側ではデータサイエンスや機械学習が活用されているのも特徴です。

ただ、重要なのはAIの部分と言うよりは、こんな部分が大事なんじゃないかな、と考えています。

  • AIの助けによって社内のリソースを最適化するのは、もちろんだけれど
  • それと共に企業からお預かりした案件についての魅力化を促して
  • そのことで転職希望者にとっても自分に合う仕事を見つけやすくなって
  • ひいては企業と転職希望者の幸せな出会い、よい職場、よい仕事を提供し、「はたらいて、笑おう」の世界をつくることにつながる

私たちが掲げるグループビジョンを実現するためのプロジェクトであり、あくまで転職希望者と企業のためのものである、という事です。むしろここが本質である、と認識しています。

 

これまで抱えていた課題、データの中に見いだした光明

田口:まずは皆様、今回のリリースお疲れ様でした。現場では今まさにフィジビリティの最中ですが、振り返る意味も含めて経緯をお話しいただいてもよろしいでしょうか。

 

インタビューも広めの空間で行っております…!

矢野:dodaプラス事業部のゼネラルマネジャーの牛見さんとのミーティングの中で、スカウトメールを送るうえでどういう課題があるか、データを通して解決できることはあるか、などについてディスカッションをしていたんです。

dodaプラス事業部は法人・個人ともにお客様の数が多く、以下の3つの課題を抱えていることがわかりました。

  • どうすればより多くのお客様に質の高いサービスを届けられるか(求人と転職希望者の機会最大化)
  • メンバーの属人的な判断にならないようにするための、効果的な手法を選べていない(同一手法からの脱却)
  • 案件過多に伴い、すべての案件において適切な母集団の形成やサポート難易度の高い案件への対応が後手に回っている。

これをきっかけに法人顧客の求人に対してどのようなサポート方法や改善方法が適しているかをデジタルに判断し、現場の方々にスピーディに提示できないだろうかとデータを見ながら検討を始めました。

 (ご参考:dodaプラス事業部はこんなことをしています) 

 

田口:なるほど。確かに、現場サイドでの課題、データ面での課題、両面から追っていくことが大事ですよね……実際のところ、営業現場ではどのような課題を抱えていたのでしたっけ。 

光谷:今まさに矢野さんがお話してくれたところですね。マネジメント層やベテラン層であれば、「この案件にはこのサポート方法や改善方法がよい」という見立てができるものの、経験が浅いメンバーにそのナレッジを展開しきれないという悩みがありました。同じ企業でも、募集職種や勤務地、募集背景によって最適なサポート方法は異なりますし、経験則から来るところもあるので判断軸を共通知するのが難しいところもあったのですよね。現場としては、難しい案件に対してどう挑戦していくのかが、経験値だけでは難しいところもあったので、トリガーになりうるものがあったらいいのにね、という話はしていました。それをデジタルで実現できるというのは助かりますよね。

dodaプラス事業部 企画統括部 事業推進部業務企画グループ 光谷 サヤカ

田口:そうですよね!エンジニア側からは開発担当としてkazasikiさん、サポートとしてtakahashiさん、プロジェクトマネジャーとして、が合流したという流れでしたね。

 

技術の苦労、事業の苦悩

田口:そろそろ技術の話に移りましょうか。今回の開発ではデータサイエンスによる解析、機械学習を使った実装があったのですけれども、その辺りのお話を伺ってもよいでしょうか。まずは矢野さん、いかがでしたか?

矢野:今回はデータの制限ですね。機械学習ってデータ量が多い方が威力を発揮するのですけれども、社内的な基盤周りの制約上、大量のデータを集計しようとすると難しいところがあったためデータを絞る必要がありました。また、現場からの不安も少なくなかったように思います。AIによって示された結果を基にアクションをするというのは現場からすると、一部不安なところもあると思うので、それを緩和することも大きな課題でしたね。現場のマネジャーの方々を含め、光谷さんがしっかり説得、説明してくれたのは本当に助かりました。

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テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部 ビジネスグループ 矢野 正途

田口:確かにAIが全てを管理するようになる、というのは抵抗がありますよね。分かる気がします。そんな中、kazasikiさん、技術の観点からではいかがでしたでしょうか?

kazasiki手法としては勾配Boostingを使って、求人情報や応募実績などを集計したテーブルデータに対して処理をしているだけなので、そこまで難しいことはしていません。機械学習というと構えてしまいますが、日次でDBからデータを取ってきて、機械学習的な処理をして、csv出力をして…なのでそこまで複雑ではないです。むしろ複雑にし過ぎない、手を入れやすくすることに主眼を置いて設計と実装を進めました。

矢野:社内的に導入事例が多くないAWSをシステム基盤に使ったのですよね。その辺での大変さってありました?

kazasiki:技術観点ではそこまでではないですね。AWSを使った開発には慣れていたので、自分としてはむしろ楽でした。パーソルキャリアでもパブリッククラウドの利用が進んでいて、そこに乗っかる形でサーバレスなアーキテクチャを採用できたのは良かったです。

また、今回はシステムが出力したデータをもとに現場の人がオペレーションをするという前提があったので、Slackに連携したアラートの出力などを潤沢にしました。問題があったときにすぐ気づくためのアラートはもちろんですが、単に日次のバッチ処理が終了したことすらも出力しました。それだけでも安心感があるので。

矢野:今回はシステム的には障害も遅延もなく、大変助かりました。その辺りをしっかり作ってくれたのがkazasikiさんだったりします。営業現場や企画の方々にはなかなか伝わりにくいのですけど、この開発あってこそなんです…!

kazasiki:現場で作業する人が後に控えているので、手が止まるようなことがあってはならないですよね。一度問題が起きるとその後の信頼関係にも関わります。その辺りも意識しつつ実装やチームの体制づくりをしました。

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テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ  kazasiki

田口:そうなのですよね。作って終わりではなくて、後工程の事も長めのスパンで考えておくことで、開発の時点ではちょっと大変だけれども後々楽になりますし。営業現場にこの企画をお伝えする苦労があったと思うのですけれども、光谷さん、その辺りはいかがでしたか?

光谷:正直、最初に牛見さんと意思決定をしていたのでブレなかったこと、リーダーの方々にもサポート頂けたのが一番大きかったですね。フィジビリティが始まってみるとメンバーの方々もルールに沿って行動いただけたのがほとんどで、思っていたよりもスムーズでした。また、今回システム起因の遅延が一度も起こらなかったので、そこも非常に助かりました。

一方、現在の運用にフィットする形で行動できるようやり方を提示するところに苦労したように思います。私が入社したばかりというのもありつつも、業務の複雑性が高いところもあるので、その辺りは今後改善していきたいですね。リーダー陣が問い合わせをすばやく連携してくれていたので、私の方でもなるべく早め早めで打ち返していったのですけれども、それでも現場の方に不安に思わせてしまったところがあったかもしれません。とはいえ、コミュニケーションを丁寧に積み重ねていくことで、より現場のことが理解できましたし、全体展開に向けて必要なことがよりクリアに見えてきたと思います。

田口:ありがとうございます!他にも、開発初期はtakahashiさんがサポートしてくれたし、開発途中はnaomineさんや前田さんといったスペシャリストが適切なフォローをしてくれました。それを受けてkazasikiさんが開発をやりきってくれました。エンジニア側もそれぞれの得意分野を活かして進められたのは大きいです。

他にも、リリース後の振り返りではkazasikiさん提案でKPTを書き出して眺めるだけでなく、全員でお互いに感謝の気持ちを伝えたり。あれは温かかったですよね(笑)。チームとしての動きもお互い任せるところは任せつつレスポンス良くできたし、いいチームで出来て良かったなぁ、と。

 

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テクノロジー本部 デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ  田口 雄一

作って終わりじゃない!これからの話

田口:この辺り、導入して終わりではないので、今後も引き続き粘り強く続けていきたいですよね。そこで、今後の展望というと大げさかも知れませんが、開発、事業、双方の観点でその辺りのお話を伺ってもよいでしょうか。

矢野:いままさにその辺りに着手していまして、複数ステップで進めています。1つめはデジタルによる行動示唆の精度を高めること。2つめは、その行動示唆による案件の魅力化の確度を向上させることです。現モデルの課題としては、法人顧客とエージェントの「関係性」や法人顧客の「採用熱度」などはモデルが捉えられていないことです。実はそれが凄く重要なデータなのですよね。なので、いろいろ工夫をしてそれをデータで表現してモデルに組み込むことが必要になります。それをすることで精度は格段にあがるのでは、と予想しています。

行動示唆については、案件の魅力度合いを高める提案とその結果を細かく分析し、モデルが出す結果の確度を繰り返し検証して改善していく粘り強さが必要だと想定しています。その先には、営業現場の介在価値が最大化される領域(人でしかできない領域)により意識と時間を集中させることができると信じています。大きいことをいうと、このプロジェクトが事業部のDX推進の要となって欲しいですね。

kazasiki:技術的には今回うまく詰め切れていないところを改善したいというのはあります。インフラの性能の改善や、機械学習モデルの性能の数値化などですね。ただ、ここで話すにはちょっと細かい話になってしまいますけれど。

矢野:今後データ活用の範囲を広げていく中で難しくなることってありますか?

kazasiki:いまハードルを感じているのはデータ基盤の環境に起因する課題ですね。クエリが重すぎるとか、データの更新頻度が低いとか。

矢野:ということは、他の案件でも同じようなことが起きると思うんですよね。事業として共通の課題というか。

kazasiki:そうですね。データを使って事業の役に立ったよ、でもデータ基盤としてこういうところにまだ課題があるよ、という話をセットで出来れば、より良い形でその辺りの整備に取りかかれると思います。

光谷:この取り組みが進んでいくと、デジタルで判断できるものはデジタルで、人間でないとできないことは人間で、みたいになっていくと思います。その中で候補者様に寄り添う形、人間しかできないこと、より1to1のコミュニケーションに近づけていきたいね、という話はしていますね。

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話題は尽きません。みんな熱い!

矢野:全くその通りだと思います。あと個人的には、私たちデジタルテクノロジー統括部が光谷さんや現場の方々と協力してオペレーションの深いところで変革を生み出していけてるところに大きな意義を感じています。デジタルテクノロジー統括部って何をしているかよくわからない、みたいなイメージもあると思うんですよね。だから事業の戦略の根幹となるような部分にがっつり入り込んでいく事ってこれまではそこまで実績がなかった。

現場の人にとってどういった変容が起こるかイメージして、オペレーション含め実際に行動いただけるような案件は画期的でした。他拠点からもフィジビリティに参加したい!と手を上げてもらえたことも大きいように思います。何かあったらデジタルテクノロジー統括部に相談したいよね、というひとつのきっかけになったら嬉しいなと思います。 

光谷:確かに、技術部門の方と関わる機会ってそんなにないですよね。私は機械学習のことは詳しくはありませんが、でもこれからはテクノロジーと現場が二人三脚でやっていくことが会社としても増えると思います。これから案件を通して色々お話させていただいて、また機会を作っていきたいですね。

田口:課題も色々、出来そうなことも色々ですよね。事業側と開発側が協力してプロダクトを作っていけるのは事業会社の大変さでもあり良いところでもあるので、これからもいいチームで進めて行きたいです。これからが楽しみですね!皆様ありがとうございました。「はたらいて、笑おう」を実現していくため、引き続きがんばっていきましょう!

 

(編集後記)

今回、対談の参加が難しかったのですが、dodaプラス事業部ゼネラルマネジャーの牛見さんからも、以下のようなコメントをもらいました。

今回のフィジビリティで完全にとはいかないまでも、私たちが大切にしたい法人顧客と転職希望者の機会の最大化に向けて、課題の解消に繋げられそうな気づきを皆さんに導いてもらえたと思います。個人・法人顧客から多くの期待をいただいているからこそ、私たち営業現場の課題に切り込んでいただけたことは、現場推進においても大きな価値になると思っています。まだまだ課題は山積みですが、これからも一緒に頑張っていきましょう!

改めて営業現場とテクノロジーが融合して新しい価値を生み出すことの事例になったと感じています。またパワーアップして取材ができるように私たちも頑張っていきます!

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矢野 正途 Masato Yano

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ビジネス部 ビジネスグループ リードストラテジスト
ITストレージのエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、アメリカ留学、経営コンサルファーム、事業会社を経て2019年8月にパーソルキャリア入社。経営コンサル時代はPOSデータ解析を通して主に大手ファストフードチェーン(日本・韓国市場)のマーケティング・価格戦略を支援。前職では英語&STEM(理系)教育の新規事業を推進。現在は今までに培ったIT知識とデータ分析スキル、業務推進力を武器に部署横断で既存事業グロースと新規ビジネス推進を担当。

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光谷 サヤカ Sayaka Mitsuya
dodaプラス事業部 企画統括部 事業推進部 業務企画グループ

求人募集原稿の制作会社で業務BPRを行い、2019年12月にパーソルキャリア入社。入社後は主にdodaプラス事業部のハンティングエージェントの企画業務に従事。最近ハタヨガにはまっていて、朝5時半からzoomヨガを楽しんでます。

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@kazasiki

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ リードエンジニア

バックエンドエンジニア。VRゲームとダンスミュージックが好き。都内のクラブによく行く。

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田口 雄一 Yuichi Taguchi

デジタルテクノロジー統括部 データ&テクノロジー ソリューション部 エンジニアリンググループ リードエンジニア

設計や営業など様々な職種を経てIT入り。現在はプロジェクトマネージャーとして、音声解析やマッチングAIなどデジタルテクノロジー統括の主要プロジェクトを担当するかたわら、PMチームをはじめメンバーが活動するための下地作りに奔走、部署のオンボーディング周りの業務にも携わる。お空港と温泉とMMOが好き。三味線を習い始めたものの練習の時間が取れないのが最近の悩み。

※2020年9月現在の情報です。

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