各事業・プロダクトの戦略や課題解決につながる施策のIT企画、マネジメント、保守運用などを担う「シニアコンサルタント」の、 “はたらくリアル”と“キャリア”に迫る本特集。
第2回となる今回は、BITA統括部 プロジェクトBITA部の中野にインタビュー。難易度の高いプロジェクト推進に取り組む糧となっているこれまでの経験と、キャリア選択と仕事への姿勢を貫く強い思いを聞きました。
※中野は退職していますが、本人の同意を得て、掲載を継続しています。
「決められたものを作る」→「何を作るかから企画し決める」への転身
――まずは、中野さんの経歴を教えてください。
中野:プログラマからキャリアをスタートし、独立系のSIerを2社経験した後、2013年にパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)に入社しました。
1社目では、詳細設計や開発・テストの経験を積んだ後にPMとして従事。やがて、より大規模なプロジェクトに携わりたくなり、SAPを主に扱う会社に転職しました。SAPについての知見や上流工程の経験がなかったことから、2社目では再びプログラマの仕事からスタートし、大規模プロジェクトのPLを2年半経験するなどして、約4年在籍をしていました。
その中で、決められたものを作るのではなく「何を作るか」から自分で考えていきたい、より上流に入り込みたい、という思いが生まれたんです。「営業が強い会社の情シスでありながら、誰かから言われたままに作るのではなくBPRから携わることができる」と魅力を感じ、パーソルキャリア(旧:インテリジェンス)へ入社を決めました。
――パーソルキャリアへの入社後は、どのような経験をしてきたのでしょうか。
中野:インテリジェンスホールディングス付きのIT戦略・企画開発部門においてi-commonや新卒紹介事業部(現ベネッセi-キャリア)、dodaチャレンジのシステム担当をした後に、エージェントBITA部(現プロセス&システムデザイン部)でdodaエージェント事業部のシステムを担当しました。その後BITAとCA企画(※)の兼務を経験し、2019年10月にシニアコンサルタントになって今に至ります。
※ dodaエージェントサービスのキャリアアドバイザーの営業企画を担う部署
――CA企画も兼務されていたのですね。この経験と今の仕事につながりを感じられる部分は、どのようなところでしょうか。
中野:「企画系の仕事を経験したい、企画の立ち上げから携わりたい」とマネジャーにはかねてから伝えており、念願かなっての兼務でした。この企画での経験は、自分にとって得るものが大きかったと思っています。
部長会議での発表や事業責任者とのディスカッションなどを数多く経験し、最上流の企画・要求定義フェーズに必要な資料の作り方やステークホルダーとの調整力を鍛えられましたし、またそれまで見えていなかった営業企画の業務プロセスや苦労を体験したことが、今のプロジェクト推進にも活きていると感じます。
「偉くなる」ではなく、「手本となる存在」
――シニアコンサルタントになるのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。印象に残っているプロジェクトがあれば教えてください。
中野:機械学習を活用して「dodaにご登録された転職希望者様のご経歴や希望に沿って最適なキャリアアドバイザーに振り分ける」プロジェクトが一番印象に残っています。まだ技術的な知見も営業サイドの業務プロセスに関する知見もなく、周りとの関係性も築けていない状態でアサインされ、個性豊かなメンバーが集まるプロジェクトを前に進める難しさと、自身の推進力の未熟さを痛感しました。
SIer時代に培った経験から、まずは現状と課題の整理に着手。システムフローを自分で一度書き出し、知見を持つメンバーに相違がないかを確認してもらうなど、自分が動けるところを探してコミュニケーションを図りにいきました。全体の流れを俯瞰して少しずつ現状が理解できてきたことで、こちらからも意見や案を出せるようになり、プロジェクトもメンバーとの対話も前に進むようになったかなと振り返ります。
当時は苦しい思いをしましたが、計画通りにプロジェクトを進行して企画の方々とも信頼関係を築けるようになった点で、その後のプロジェクト推進の糧となった経験でした。
――その後シニアコンサルタントの道に進まれた経緯や、当時の思いを教えてください。
中野:2019年にマネジャーからシニアコンサルタントにならないかとお話をいただきました。ビジネスとITの両軸を把握し、企画・要求定義から実行フェーズまで主体的に動いて管理ができる「バランス」を評価いただけたと聞いています。
実現したいことに対して「どうやるか」「本当にシステムを入れるべきか」から考える、企画の上段から関わりたい、という自身の志向とも合致するなと思えたことが、この道を選んだ決め手でしたね。
――シニアコンサルタントの役割とはどのようなものだと思いますか。
中野:シニアコンサルタントの役割は、難易度が高いプロジェクトを、関係者を巻き込みながら遂行していくこと、そしてこれまで誰もやったことがないような仕事であっても、着実に進めて結果を出すことだと思っています。
その中で私自身が果たすべき役割は、シニアコンサルタントの仕事を「周りの手本となる形で」遂行することだと自覚しています。
シニアコンサルタントになる=偉くなる、ではなく与える影響やその範囲が大きくなることが求められる、と考えています。技術に尖ったエキスパートなら、自身の技術やスキルをさらに伸ばして周りに影響を与えていく方向性もありますが、私自身はどこかに尖ったタイプというよりはやはり「バランス」だと思うので……。私にできることは、矢印を外に向け、自身の成長だけでなく周りも高めて組織をよくしていけるようにすることなのかなと捉えています。
自分を常にアップデートし、さらなる事業貢献を目指す
――多くの関係者を巻き込みながら前例のないプロジェクトを推進していく役割は、大変な部分も多いと思いますが、モチベーションはどこから来ているのでしょうか。
中野:求められる最終ゴールだけが設定された状況で、そこに至るプロセスや手段、必要な調整を一から考えていくことが、この仕事の醍醐味だと思います。決められたルートで決められたものをつくるのではなく、主体的に考えて進めていけることが、自分にとってのやりがいであり一番のモチベーションになっています。
――中野さんご自身の今後のキャリアはどのように描いていますか?
中野:会社やポジションに依存したスキルセットに囚われたくないので、キャリアパスはあまり強く意識していませんが、マネジメントよりもエキスパート志向が強いので、これからもプロジェクトの最上流から自分で考えて動いていきたいと思っています。
ビジネスや事業計画・戦略の領域にも入っていけるようになると嬉しいですね。
――それでは最後に、今後中野さんがチャレンジしていきたいことをお聞かせください。
中野:一つひとつのプロジェクトで結果を着実に残すことを大切にしながら、常にアップデートして自分を成長させ続け、より高い事業貢献ができる取り組みに介在していきたいと思います。
――素敵なお話をありがとうございました!
(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈)
中野 泉 Izumi Nakano
BITA統括部 プロジェクトBITA部 ビジネスPMグループ シニアコンサルタント
新卒でSIerへ入社後、主に製造/小売/通信分野のITプロジェクトのPG、SE、PLを経験。2013年9月に入社してから新規事業系、dodaエージェント事業部のシステム担当を経て、現在はdodaプラス事業部の基幹システム刷新のPMを担当。現在は退職。
※2021年11月現在の情報です。