ITコンサルタントからエンジニアへジョブチェンジ事例を聞いてみた

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2020年10月、プロダクト開発統括部に所属する5名の社員が、システム企画やプロジェクトマネジメントを担うITコンサルタントから、現場で開発を行うエンジニアへジョブチェンジしました。

今回は、ジョブチェンジを果たし現在エンジニアリーダーとして活躍する福田と、彼のジョブチェンジを支えたゼネラルマネジャーの松岡、dodaアプリ開発グループ マネジャーの地家にインタビュー。ジョブチェンジして“はたらく”ことのリアルから、組織として考えるジョブチェンジの意義まで話を聞きました。

※撮影時のみマスクを外しています。

自身の市場価値を高めるために、エンジニアへの転向を決断

 

――まずは今回ジョブチェンジされた福田さんの、ご経歴やパーソルキャリアで携わっている仕事について教えてください。

 

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ エンジニア 福田 尚亮の写真

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ エンジニア 福田 尚亮

福田:2018年4月に新卒でパーソルキャリアに入社しました。情報系の専攻だった訳ではありませんが、総合職採用からITコンサルタントとして配属され、1年半ほどアルバイト領域でWebサイトのPMを経験していました。その後「doda」領域に異動し、サイトのPMを担当していく中で、ジョブチェンジの機会をいただき、現在は「doda」スマートフォンアプリの開発チームでスクラムマスターとエンジニアリーダーを兼任し、開発に携わっています。

 

――ITコンサルタントからジョブチェンジをされたのですね。組織としてはどのような経緯でジョブチェンジを進めることになったのでしょうか。

 

松岡:以前のIT部門は、どちらかというとプロジェクトマネジメントを中心とした組織だったため、福田さんのように新卒・未経験からITコンサルタントとして入社する例が多くありました。

しかし、そこから現在のテクノロジー本部ができ、“テクノロジードリブンで事業を牽引する組織”へとあり方が変わっていきます。新卒採用ではIT専門職としてメンバーを迎えるようになるなど、これまで総合職だけだった時から比べると見直しが進んでいます。これらの変化の途上で入社された福田さん世代、つまり「IT知識がない中でITコンサルタントになったメンバーのキャリアアップを、どのように実現するか」という課題があったんですよね。

そこで該当するメンバーの意向を確認し、「スキル・キャリアアップのためにエンジニアに転向する」と選択したメンバー5名については、ジョブチェンジを行うことにしました。

 

 

――福田さんとしては、どんな思いからジョブチェンジしたいとお考えだったのですか?

 

福田:1年目の頃から、自身の仕事やキャリアについてモヤモヤした思いはずっと抱えていました。PMとしてサイト開発に携わりながらも、IT知識を理解し切れずエンジニアに判断を任せてしまっていることに対する課題意識もありましたし、PMの仕事がある程度できるようになってきた頃からは、この仕事をずっと続けるのだろうかという葛藤も生まれていて。

ジョブチェンジのお話をいただいた時はちょうど、Web開発やサービス開発全体について、まずは万遍なく知識を身につけたいという思いから「ディレクター組織に異動する選択をすべきか」などと地家さんに相談していたタイミングでもありました。

 

P&M本部 プロダクト開発統括部 プロダクト開発部 ゼネラルマネジャー 松岡 論史の写真

P&M本部 プロダクト開発統括部 プロダクト開発部 ゼネラルマネジャー 松岡 論史

松岡:私からは「企画部署でサービス企画を担う人になるか、ITエンジニアとして専門性を高めていくか、選択してほしい」と伝えました。そこでITの方に進んでいきたいと答えてくれたことが起点になったと思います。

 

福田:もともとエンジニアになりたいという思いが強かった訳ではありませんが、今後、自分の市場価値を高めていくことを見据えたときに「自分にとって一番必要なスキルや経験は何か」を考えて、エンジニア一択だなと結論を出しました。

 

 

――福田さんがエンジニアに転向されると聞いて、地家さんとしてはどのような印象をお持ちでしたか?

 

地家:実は私もIT経験のない中新卒でITコンサルタントとして入社していて、同じようにモヤモヤした思いを抱えていたんですよね。PMとしてエンジニアに指示を出すものの、出した先でエンジニアが何をやっているのかわからないし、自分にはできない。言ってしまえば、自身の役割を“お飾り”のようにも感じていました。

そこから当時の上司に課題感を伝え、なんとかエンジニアとして仕事ができる環境をつくってもらい経験を積めたことで、見える景色が大きく変わりましたし、再びPMをやった際にはやりがいも感じられるようになったと思っています。

 

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ マネジャー 地家 伶人の写真

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ マネジャー 地家 伶人

その経験があるからこそ、福田さんにも好きな道を選んでほしい。これまでとは違う経験をたくさんして、それが楽しければエンジニアを続けてもいいし、エンジニアの仕事が一通りわかってもう一度PMがやりたければやったらいい、そんな気持ちでした。

 

 

 “作ってレビュー”を繰り返し、1年でリーダー層にステップアップ

 

――ジョブチェンジをすることが決まってからは、エンジニアとしての業務に臨むためにどのような準備をされたのでしょうか。

 

福田:「doda」のアプリ開発チームでエンジニアをやると決まった頃から、近くにいるエンジニアの先輩に勉強方法や読むべき書籍などを教えてもらって自学習を始めました。また並行して松岡さんが研修を実施してくださり、Web上でコードを書くことや実際に現場で運用されているコードを見ながら簡単な処理を作ることなども経験させていただいています。

 

 

――しっかりと事前準備をされた上で、実際に業務に携わってみていかがでしたか?

 

福田:正式にエンジニアになる前に、2020年4月から半年間はITコンサルタントの職種のままエンジニアとしての業務を兼任する形で実務に入りました。

事前に初心者向けのコードを教えてもらっていましたが、実際に入ってみると「より複雑なことをより多くのコードを使って行う」という印象で、キャッチアップには苦労しました同じチームのメンバーから都度レビューをもらいながら「ここでのコードはこう書かなければいけないんだな」と一つひとつ身につけていく、OJTに近い期間でしたね。

 

 

――自学習をしっかりとされていても、やはり実務となるとギャップや難しさがあるのですね。同様の経験をされている地家さんとして、フォローされたことや業務上気をつけられていたことなどはありますか?

 

地家:私も同じようなプロセスを踏んでいたことで「今ならこのくらいの難易度のものはできるだろう」とレベル感がある程度わかるので、「まずは何をやってもらうか」「フェーズごとにどのような課題を与えてステップアップしてもらうのが適切か」などを考えながらタスクを精査するよう心がけていました。

 

インタビューを受ける地家、福田、松岡が並んで座っているの写真

福田:入った当時の自分としてはそれでも難しい、作りはするけれども理解し切れていない部分があり、正直ジョブチェンジしたことを後悔する場面もありましたが……(笑)下期に入って「エンジニアの仕事とはこういうもの」と少しずつわかってきた頃には、地家さんが適切なレベル感のタスクを振ってくださっていたんだなと感じるようになりました。

 

地家:加えて、福田さんは“勉強をしにきたお客さん”ではないので、一人前のエンジニアとして接してほしい、とチームメンバーに働きかけていました。「福田さんをスピーディに成長させるか」はチームの責任だと思っているので、特にスキルアップのためのアプローチやコミュニケーションについては、チーム全体で強く意識していたポイントですね。

 

 

――現在はスクラムマスターとエンジニアリーダーを兼任されているとのこと、非常にスピード感のあるステップアップですよね。

 

地家:私自身の経験をふまえても、1年間でここまで成長したのは早かったなという印象ですね。

 

福田:チームから認められ信頼される存在になるためにも、また地家さんや松岡さんに対して弱音を吐くこともあったので、その心配を払拭するためにも、早く一人前にならなければという思いが強くあったんです。

「これをやりたい」「もっと仕事を振ってほしい」と自分からアプローチしてさまざまな仕事に挑戦させていただきながら、とにかく“作ってはレビューを受けて”を繰り返して場数を踏めたこと、その過程でしっかりとサポートいただけたことが大きかったかなと思います。

 

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ エンジニア 福田 尚亮の写真

 

 

ジョブチェンジしたメンバーの定着・活躍をバックアップできる組織でありたい

 

 

――今回は組織としての課題と福田さんの思いがタイミングよくマッチした事例かと思いますが、もともとパーソルキャリアでは、キャリア実現のためのジョブチェンジなどは受け入れられているのでしょうか。

 

福田:頑張って自分を変えようという思いを持って、やりたいことを「やりたい」と言葉にすれば、やらせてもらえる会社だと思っています。

 

地家:そうですね。モヤモヤを抱えたまま「自分の役割はこれだから」と割り切ってやれてしまう方もおそらくいるとは思いますが、私はそうではなかった。そういった一人ひとりの思いには応えてもらえる環境かなと思います。

 

 

――「組織のバランス」を考えると、一人ひとりの思いに応えていくことはある意味リスクにもなり得るのではと思いますが、それでもジョブチェンジを行う意義を組織としてはどのように捉えていますか?

 

松岡:大前提として、私たちが時代の変容の中で求められ続けるプラットフォーマーになるためには “テックドリブン” になる必要がある、そのために開発量を増やしていきたい、という背景があります。そしてそのためには、特定の職能だけではなく「サービス企画もITマネジメントもできて、開発の中身もわかる」と多様な能力を持った人を育てていかなければいけないんですよね。

だからこそ、職種の枠にとらわれて今ある仕事だけではなく、ジョブチェンジも実施しながら一人ひとりの能力の幅を広げていくことが大切になると思っています。

ただ、おっしゃる通りジョブチェンジを行うだけでは、組織としてのバランスを保つことができませんから、体制やプロセスの変革も同時に行う必要があります。

開発をスクラム化してPMに大きく依存しなくとも回せる体制への移行を進めると同時に、これまでPMの方々が担っていた仕事を一つひとつ精査し、自分で巻き取ったり別のチームにお願いしたり、また新たなチームを発足させたり……2020年はジョブチェンジを進めながら、さまざまな変革を行ってきた年でもありました。

 

 

――体制面でしっかりと土台づくりが行われているのですね。個人のスキルやキャッチアップの観点からは、異業種への転向について、定着の難しさなどの懸念はあるのでしょうか。

 

松岡:当社では、戦略的な異動や配置転換もあれば、本人の希望によって異動が叶うケースなど、さまざまな異動事例があります。今回、福田さんのようにITコンサルタント職のまま、開発を経験されたように、いきなり異動することなくまずは業務に挑戦してもらうというのがファーストステップになるケースもあります。その段階を経て一人前としてパフォーマンスが出せると判断できたら正式に異動となりますし、難しければ異動自体をやめてもいい。そのおおよそ半年の期間をマネジメント側としてしっかりサポートできれば、ジョブチェンジは絶対にできると思っています。

 

P&M本部 プロダクト開発統括部 プロダクト開発部 ゼネラルマネジャー 松岡 論史の写真

ただ「時間をかければ順応できる」とはいえ、マネジメント側がサポートにおいて意識すべきは「その期間を短縮すること」なんですよね。“仕事ができる”とは何かを考えた時、技術力や発揮するバリューの高さももちろんありますが、それ以上に「組織や役割が変わった時に、いかにスピーディにその場で活躍できるか」が大切だと思います。そのために、育成のプランを立ててサポートできるメンバーをそばにつけ、最短で良いパフォーマンスが発揮できるようになるためのフォローアップをしていく必要があります。

今回はその部分で地家さんをはじめとしたメンバーがしっかりとフォローしてくださったからこそ、福田さんがスクラムマスター・エンジニアリーダーとして活躍できるまでの時間が短くなった部分がありますね。

 

福田:置かれた環境がとても恵まれていたなと、私としても感じます。地家さんやメンバーの方々がしっかりとついてくださっていなかったら、今のレベルに現時点でなれてはいなかっただろうなと思いますね。

 

 

――周囲のサポートを糧に、これからさらに福田さんの活躍の場が広がっていくことと思います。最後に今後に向けた思いをお聞かせください。

 

福田:入社1,2年目の頃に理解しきれないままエンジニアの方の話を聞いていたところから、実際に開発を経験してみて、改めて開発の奥深さを感じています。

まだまだわからないところもありますし、プロダクトをより良くするために自分が学びを深められる領域もたくさんあるので。リーダーとして教える立場になってきたことに甘んじずに、今まで以上に積極的に、エンジニアに限らず幅広い領域での学びを深めていきたいです。

 

 

――ありがとうございます。それでは地家さんと松岡さんから、今後の福田さんへ期待されることと組織としての展望を伺って締めたいと思います。

 

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ マネジャー 地家 伶人の写真

地家:福田さんには、基本的には好きなことをやってほしいですし、好きなことを周りから何も言われずにできるような能力を身につけていってほしいと思います。そして「doda」アプリという領域にとどまらずに「doda」全体、ひいてはパーソルキャリア全体に対して価値発揮できるような動き方をしていってほしいですね。

「doda」アプリ開発チームとしては、リプレイスを行なったことで新しい仕組みを取り入れてチャレンジしやすい状態になったので、この環境をしっかりと活かしていきたいと思っています。アプリを「doda」全体の成長を引っ張っていくようなプロダクトに育て、アプリで良くなったものをサイト側に展開するような取り組みができるようになっていければと思います。

 

松岡:福田さんには、ここからさらにさまざまなチャレンジをして、幅広く能力を身につけてほしいなと思っています。エンジニアというのも役割の一つなので、エンジニアで終わってほしくないなという思いですね。

組織としては、今後さらに成長していくためにはテクノロジードリブンでやっていくことが不可欠で、そのためには開発ソリューションをたくさん持って開発量を増やしていかなければいけません。

その中で大切なのは、オフショアやニアショアなどさまざまなパターンを自分たちでコントロールできるようになること。今後IT部門として、マネジメントやIT領域でのアウトプット、サービス企画など幅広い知見を持って開発ソリューションをコントロールしていける人材を輩出していきたいと思います。

 

パーソルキャリアロゴの前で並ぶ、地家、福田、松岡の写真

 

――素敵なお話をありがとうございました!

 

(取材=伊藤秋廣(エーアイプロダクション)/文=永田遥奈/撮影 = 小野綾子)

 

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ エンジニア 福田 尚亮の写真



福田 尚亮 Naoaki Fukuda

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ エンジニア

2018年にパーソルキャリアに新卒入社。アルバイト求人情報サービス『an』や転職サイトサービス『doda』でプロジェクトマネージャーとして従事。 その後エンジニアとしてdodaアプリの刷新PJTに参画し、現在はdodaアプリ開発チームのスクラムマスター兼エンジニアとして、チーム運営プロダクトの改善に取り組んでいる。

P&M本部 プロダクト開発統括部 プロダクト開発部 ゼネラルマネジャー 松岡 論史の写真



松岡 論史 Satoshi Matsuoka

プロダクト開発統括部 プロダクト開発部 ゼネラルマネジャー

1983年生まれ。メーカー系SI企業にて、プロジェクトマネジメントを経験。2016年インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。「doda」サービスのIT企画全般を担当し、「BITA(ビータ)」のマネジャーに就任。その後、18年10月よりdoda Recruiters(デューダ リクルーターズ)サービスのプロダクトマネージャーに着任し、ビジネス~ITまでのサービス責任者としてプロダクトの向上に努める。2020年より、プロダクト開発部の責任者に着任。

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ マネジャー 地家 伶人の写真



地家 伶人 Reito Jike

プロダクト開発統括部 第1開発部 dodaアプリ開発グループ マネジャー

2014年にパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に新卒入社。アルバイト求人情報サービス『an』でプロジェクトマネージャーを経験したのちエンジニアとしてanのスマホアプリ開発に従事。その後anアプリや業務システム、dodaアプリのスクラムマスターやプロダクトオーナーを務め、現在はdodaアプリ開発グループのマネジャーとしてメンバー育成、マネジメントを担当している。

※2021年12月現在の情報です。