dodaキャンパスにエンジニアマネジャーが着任――尾山雅史ってどんな人?

alt

株式会社ベネッセホールディングスとパーソルキャリアが合弁で設立したベネッセi-キャリア(以下、BiC)が展開する、成長したい学生のための成長支援型オファーサービス「dodaキャンパス」。3期目に入った、このサービスをシステム面から支えるコアメンバーのひとりとして尾山が新たに加入し、誕生したばかりの「dodaキャンパス企画部 IT企画課」をリードし始めています。彼が目指す理想のサービスとは何か?どのような組織を創っていきたいのか?思いの全てを語ってもらいました。

※尾山は退職していますが、本人の同意を得て掲載を継続しています。

 

課題がどこにあるかを見つけることすら楽しんでいる

――尾山さんがパーソルキャリアに入社するまでの経緯からお話しいただけますか。

尾山:Amazonやウォルマートといった外資系企業をはじめ、さまざまな企業でエンジニア、プロジェクトマネジャーとしての経験を一通り重ねてきました。一時期は起業も考えていたのですが、企業で働く面白さ、組織で働く面白さに気付いてしまったので、転職先として大手企業を志望。そしてオンプレミスでなくクラウドに関わっていきたいというエンジニアとしての志向、さらに“自分で決めて、自分でやる”という環境を求めたときに目についたのが、このパーソルキャリアでした。決定打となったのは、「はたらいて、笑おう。」というビジョン。それに対して真摯に取り組んでいるビジョナリーカンパニーである点に強く惹かれましたね。

 

――この会社が本気で「はたらいて、笑おう」を目指していると思われたのは、どのような点だったのですか。

alt

尾山:本気かどうかは、話をしていれば伝わってきました。例えば、面接のときにまず「尾山さんって働く上で何を大切にしているんですか」って聞かれました。ただ、求職者と会社がマッチするかどうかだけを考えて、確認テストをしているような会社が多い中で、この会社だけは、面接に登場してくる皆さんが、求職者が大切にしていることを聞き、そして「私たちはこういうことを大切にして働いてもらいたい」と説明してくれます。もう、そのインタビューの仕方が明らかに違いましたね。

 

――尾山さんは何と答えたのですか?

尾山:転職活動においては先ほど申し上げた通りですが、「これまでは自分の家族のためだけに働いてきたのですが、これからは仕事を通じて社会課題を解決したい」と話しました。。そこで学生の悩みや社会課題を解決するBiCの事業に共感し、好きになってしまいました。

 

――社会的意義について共感した一方で、実はこのdodaキャンパスの仕事は、技術負債など難しい側面があることは聞かれたのではないでしょうか。率直にどう思いましたか。

 尾山:そうですね。良いことだけではなく、課題もちゃんと説明してくれたので、そこは信頼できるなと思いました。でも、“大変そうだから辞退しようかな”とは思わなかったんですよね。私もこれまで、事業会社を5年経験していますが、社内ITってけっこう泥臭い仕事の割合が多いんですよ。そういう経験をしてきているので“色々あって当たり前”だと思っているし、技術課題さえクリアしたら、前に進めることがわかっているので特に不安に思うことはありませんでした。

難しいのは課題がどこにあるかを見つけることなのですが、僕はそれを楽しんでいるんですよね。テーマがあれば、“それをやればいいじゃん”という思考で、課題があるだけマシだなと思うのですよ。もちろんどの会社にも課題があるのですが、まずいのはそれが見えていない、もしくは見えているのに何にもしようとしないことです。課題があることもわかっているし、それが問題だと認識しているから全然OKだと思いました。

 

――事前に課題も理解しておくことって重要ですよね。入社してからも相違はなかったですか?

尾山:はい。入社後に蓋開けてみても想定の範囲内でした。“ああ、こういう性質の問題ね”みたいな(笑)。

alt

「技術的負債」と聞くと、一貫性のないコードだったり、品質というかアーキテクチャー上の問題を想像されると思います。要するに局所的ではない。なので、一旦、負債を全部並べて見える形にして、一個ずつの重さやそれぞれの関係性を確認して、“どれから返済していこうか”と考えて実行していくことが、これから必要な仕事のひとつですね。

BiCは立ち上げてから3期目ですが、創成期から“作り上げること”をゴールに置いて走り抜けてきましたよね。だから走り抜ける中で置いてきたものもあるわけです。課題とか、目を背けてきた問題とか、そういうものが散見している。例えば、僕がおかしいなと思ったのは、インシデント管理のマネジメントプロセスがあるんですけれど、その基準が整っていない印象です。適切にワークするものになっていないから、誰もワークしないし文書だけ残っているような状態。恐らくその改善にかける時間がなかったから、そのままになってしまったのだろうと容易に予測されます。

セキュリティもそうですし、コーディング標準もないですし、それって技術的負債だけでなくてプロセスの負債なんですね。全然現実的でなく、ルールが形骸化しているとか、それに縛られていてうまく動けないとか。そういう課題が色々なエリアに存在していうことが6月中旬ぐらいにわかりました。

 

3年後のビジョンを示すことでチームは強くなる

――入社してわずか2ヶ月で、そこまで明確に見えるのって、尾山さんのどういう経験、能力が活きているのでしょうか。

尾山:ウォルマートとAmazonの経験が大きいですね。それらの会社はベストプラクティスをベースにシステマティックに正しい姿を構築して実践しているんですよね。Amazonとかウォルマートって世界に何億人というユーザーがいて、非常にクリティカルなサービスをたくさん展開しているのですが、それを回すためのフレームワークや仕組みがかなり洗練された状態で降りてきて、さらにトライアンドエラーを繰り返しながら完成させていく。僕らはそれをベースに仕事していたので、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないか、ということが体感としてわかるわけです。

alt

ただ、技術負債を明らかにして改善していくフェーズは非常に難しいですよね。なぜ難しいかというと、人の行動を変えることってすごく骨が折れる話ではないですか。人の行動を変えるには理由がないとダメなんですよね。今、僕が入ってまだ2ヶ月ぐらいしか経っていないのに、「これが違う」「あれが違う」と言ったところで聞いてもらえないし、丁寧に理由を説明して「こういう風に変えると、あなたにこういうメリットがありますよ」とセットで説明しないと動いてくれませんからね。

 

――それは、今、不具合がある現状において、“人の働き方に合わせてシステムだけを変えればいいわけではない”ということですよね。人の行動も変えないといけないというお話でしょうか? 

尾山:そうです。プロセスの問題はプロセスを変えるしかないですね。プロセスというのは、仕事の手順やルールとセットです。ルールを変えるというのは反発が大きいです。やっぱりこれまでそのルールでやってきた方が大半なので、変更に対しても抵抗があると思います。その人の気持ちに立ってちゃんと丁寧に説明しないと失敗しますよね。

 

――入社して3ヶ月ぐらいの尾山さんがプロセスの改善を進めていくには、何からどのように進めていくべきだと考えていますか。

 

尾山:“何を課題にするか”“どこで問題を見つけるか”ですね。まずは鳥の目で全体感を見てみる。問題はあらゆるところにあって、目につくところからやっても仕方ないので、どこからやればいいかを考える必要があります。システムとプロセスってそもそも関連性があるし、切り離してやってしまうと効率が悪いことがほとんどです。なので今は全体を見て、そして現状を把握している段階ですね。入ってすぐぱっと目に入ったこともありますけど、やはり1人1人に聞いてわかることもあります。何か設計図があって上から見れるわけではないので、テーマごとに問題を洗い出して実行するイメージです。

 

――担当者に話を聞きながら問題を洗い出していくということですね。長期的に捉えている課題はありますか?

尾山:そうですね。感じているのは、次の3年後にどのような目標をもって進めるか、どこにその情熱をささげるかを検討しています。少し先のビジョンを持ちながら、目の前のKPIやUXの改善をする、という双方を進めていかないといけないなと思ってます。ここを僕が作らないといけないんです。旗を振って導くリーダーの役割をしないといけない。これが長期的な課題です。

 

――常に少し先の目標を見据えながら進めていくことが大事ですよね。その中で、チームとして大切にしている価値観や考え方ってありますか?

尾山:はい。大事にしないといけない開発組織の価値観って創造性と革新性が生み出せるチームであるかどうか、だと思っています。それがないと現状維持しかできなくて、いつの間にか後退してしまう。この普遍的なテーマにチャレンジしていくことが重要ですね。 

alt

――尾山さんから見たときに、どんな3年後のビジョンがあるとエンジニアは走りやすくなるのでしょうか。

尾山:アイデアのスケール感はAmazonやウォルマートレベルで良いと思うんですよ。発想するにはリソースに関係なく、想像力を解放していいと思うんですよね。それぐらいの大胆さと具体性をもって発想したほうが良いですね。

dodaキャンパスにも具体が必要で、大胆に発想して新たな機能やサービスを開発するために、エンジニアとしてどういう勉強をするべきか。自分の方向性が定まりますよね、

 

――dodaキャンパスを就活サービスではなくプラットフォームとして考えたときに、エンジニアのメンバーとして、そこまで発想して取り組んでほしいという思いが根底にあるということでしょうか。

尾山:取り組まなければならないです。 “できるわけがない”が“できるかも”になって、さらに“できるんだ”になっていきますが、この“できるわけがない”から“できるかも”に変換する段階でテクノロジーの着想や知見、経験が必要になります。すなわち、ここにエンジニアが必要だと感じています。

多くのエンジニアは、ここに気づいていないケースが多いと思っています。自分たちがやってきた経験値だけで仕事を進めていますが、それってどこかで止まるんですよね。絶対にここから入らなくてはいけないという課題感を持っています。だから3年後のビジョンが必要なんですよ。

 

お客様を笑顔にすると同時に、自分とその家族が笑顔になれるように

――尾山さんの目からみて、このdodaキャンパスには大きな可能性があるということでしょうか。

尾山:そうですね。今はリクルーティングサービスですけれども、LINEのようなプラットフォームになっていく必要があるし、その可能性は大いにあると思っています。まずは目の前のこと整理になりますが、ワクワクするようなビジョンを示すことでみんなやる気になります。今と未来の仕事がわかると、今の仕事の意味がわかって未来の仕事に繋がってきますよね。モチベーションもあがるし、パフォーマンスもあがるではないですか。その三角形を早く作らなければと思います。

 

――足元の質も大事だけど、先のことも考えていかないといけないということですね。

山:先ほどの話の通り、大胆な発想をしないといけないんですよ。私が最初に作るチームは創造性と革新性を大切にしたいというのは、発想を大きくしてアウトプット総量を出すことです。どんなステージであってもそこを持っていないといけないというのが普遍的なテーマですね。

 

――今のIT企画課を一言で表現するとどのような感じでしょうか。

尾山:企画課は、できてホヤホヤの組織です。ですから、本当にこれからって感じですね。僕のミッションはIT戦略の立案と人材開発、採用と育成ですが、それに僕が生産性の改善というのを加えました。まさにビジョナリーなことと足元の課題と、その真ん中あたりを固める役割と自覚しています。時間軸で見ると足元と未来のための課題があって、ごっちゃにしてはいけないけれども、関連性あるし、繋げないといけない。それを見せてあげるというのも僕の役目の一つですね。仕事はかなり楽しんでいますよ。冒頭に、「自分で考えて決められる職場でないといやだ」と話しましたが、それが実現しているのは幸せですね。なのでジョインして本当に良かったと思っています。

alt

――最後に、今後の目標についてお聞かせください。

尾山:先ほども申し上げましたが、新たなゴールを設定して、みんなで走り出したいと思っています。先ほどチームづくりをする上で大切にしていることは創造性と革新性といいましたが、実はもうひとつあって、「はたらいて、笑おう。」とかなり近いんですが、僕らがやることってお客様を笑顔にすることなんですけれど、それと同時に、自分自身と自分の家族も笑顔になれるようになってほしいと思っています。

仕事に充実感を感じていてほしいし、仕事していないときも幸せな気分でいてほしい。メンバーにそう思ってもらいたいし、何に充実感を覚えるかってみんな違うと思います。この人のやる気スイッチはなんだろうということを拾っていって、そこを追求したいと思っています。傾聴してこの人が大切にしている価値観はなんだろうかということを考えて、会社のミッションだったり、方向とかやることを接続して、それを半期に1回とかではなくて毎日、しっかり拾ってモチベーションを高く持っていてほしいと思っています。

モチベーションが高いとアウトプットの質も全然違ってきます。生産性だけでなく出てくるアイデアとか、雰囲気とかあらゆる面でプラスな効果が出てきます。モチベーションを高く保てる必要条件に信頼関係が築けているかどうかということがあるんですよね。マネジャーと部下、メンバー同士で信頼関係が築けているということがあって、その上でモチベーションというのが初めて出てくるんですよね。

こんな話をしていますが、元々、“俺は俺のやりたいことをやる”というセルフィッシュな人間だったのですよ。それが変わったきっかけはAmazonの経験なんですけど、彼らが本気でやっていて人の本気に触れると変われることを体験しました。まずはBiCの中にカルチャーステートメントを作って、ミクロで見たときの切り口は違うけど、大きな切り口で見たときはみんなぶれないといった状態を作りたいですね。

alt

――目標を持って少しずつ前進していく。尾山さんの考え方が理解できました!ありがとうございました!

alt

尾山 雅史 Masafumi Oyama

株式会社ベネッセi-キャリア 商品サービス本部 dodaキャンパス企画部 IT企画課 課長

自動車業界で8年システムエンジニアリングに従事したのち外資系の流通企業でITマネージャー兼クラウドアーキテクトとして開発チームをリード。2020年6月にパーソルキャリアに入社。現在はエンジニア・デザイナー計16名を管掌するマネージャとしてIT戦略立案や組織開発を行う。
現在は退職。

※2020年10月現在の情報です。